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小川( 2 / 9 )

『テレビや、新聞に係わっている人たちは、繰り返し、繰り返し、言いました。

 

「いまは、みんなが心を1つにして、頑張りましょう!」

「電気なんかなくても、人は死にません!」

 

そんな上っ面と、汚い金に塗れた言葉の裏側で、多くの人たちが、どこかへ居なくなり、犯罪に手を染め、心と、身体を壊し、死んでいきました。

 

俺たちは、存在していないんだ。

 

そのことが分かった時、いままでにあったはずの、楽しかったことや、嬉しかったことや、感動が、俺の中から消えました』

小川( 3 / 9 )

『目の前で、次々と、人が壊れていく。その出来事は、俺にとって、津波に飲み込まれていく街を見た時と同じくらいに大きな衝撃でした。人が壊れ始めると、いままで見たこともない勢いで、闇金融屋たちが動き始めました。

 

けれど、この事実も、マスコミや、政治家たちは全く報じませんでした。

 

底辺世界の人間が、いまよりも上の世界に行ける仕事に就ける可能性は、20パーセントもありません。仮に上に行けたとしても、大半の人たちは、数年以内に、また底辺へと戻ってきます』

小川( 4 / 9 )

『最低賃金で働いている40代、50代の人たちの日常を見たことがあるでしょうか?その人たちの背中を見ている30代の人たちの日常を見たことがあるでしょうか?

 

「甘ったれるな!」

「自己責任だ!」

「50社でも、100社でも、面接を受け続けろ!」

「寝ないで勉強しろ!」

「酒や、タバコを止めろ!」

 

そういう人たちがいます。でも、底辺世界の住人たちに、そんな余裕はありません』

小川( 5 / 9 )

『大多数の人たちは病んでいます。大多数の人たちは壊れています。それでも、変えることは出来ません。分かるからです。ギリギリの所で支えあっているモノが崩れた先に、何が待っているのかを知っているからです。

 

最近、マスコミが、生活保護の問題を大きく報じています。最低賃金で働いている人たちと比べると、生活保護受給者は恵まれ過ぎている。と言う話が出ていますが、その話にも、上に君臨している特権者たちの腐った嘘が大量に塗れています。マスコミは、生活保護者たちが得ている収入は、様々な控除なども含めると、350万円から500万円にも達すると報じていますが、実際には、その倍以上の収入を得ています』

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