完結
囲む石
官原 有里
五〇を過ぎて、経営していた会社を追いだされた男は、毎日のように公園へ通っている。職を失ってからというもの妻との会話はなくなり、家にいることもためらわれて仕方がない。ある日、いつも座っている園内のベンチで、見知らぬ人物がひとり碁を打っている場面に出くわした。碁石の音に吸い寄せられ、様子をうかがっているうちに、ともに盤を囲むようになる。 同じくらいの歳に見えるが、自分の感情をあらわにする姿に男は好感を覚えはじめる。碁をとおして人生に活気を取り戻していく男だったが……。
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