ヒロN式「ヒロN式ガイドブック」

7)ヒロNのこと

              K・TSUIHIZI

 

 

ヒロNは、バカである。

 いい歳をして、全然ダメなやつである。

 

 ボクが、ヒロNと会ったのは、今から20年位前のことで、やつは、某広告代理店のコピーライターをやっていた。

 見たとこ、かっこもさえないし、別に、すごい才能の持ち主という感じもしなかったので、まあ、適当に仲良くしていたけど、ちょっと、同い年ということもあって、気は合ったほうかな。

 

 このヒト、付き合ってみると、本当に、バカであるし、お人よしである。

 だから、バカゆえに、ヒトに迷惑をかけることはあるんだけど、基本、そんなに、ヒトを貶めるような悪さはしない。というか、できない。

 

 ヒロN自身が、書いていないので、僕も書かないけど、このヒト、この本に書いてある以上に、いろいろヒドイ目に遭っています。この本に書いてある3倍くらい悲惨。

 だから、本当のことを全部書くと、しゃれにならないかもしれない。きっと読者は、引いちゃうと思います。

 それなのに、本人は、相変わらず、ケロッとして、オヒトヨシもいいところ。

ヒトに騙されたり、利用されたりしている。作家になってからも、それは変わらない。

 もうバカとしか言いようがない。

 ここまでくると、いっそ、表彰したいくらい。

 

 で、僕は、適当に、この男とはつきあっていたのだけれど、3年前、メイド喫茶を閉店してから、

ちょっとして、「オレ、やっぱ、物書きになるよ」と言ってきてから、どうも、巻きこまれ気味で、ヒロNの表紙装丁とか、デザインとか、全部やらされている。

 だから、forkNにリリースされている本は、全部、僕のデザインです。

 

 もう一度、言いますが、このヒト、バカです。

 なんかエラそうに、「サブカル系恋愛指南役」とか名乗っているけど、もうその時点でバカ。

 だって、50過ぎたおっさんが、女の子のことを、モテない男子のために、毎日毎日考えているんですよ。

 そんなおっさんいないよ。

 立派なおっさんだったら、もっと、取り引きがどうとか、国の助成金がどうとか、銀行の融資がどうとか、女の子のことでも六本木のクラブの女がどうとか、そういうことを考えているものでしょ?

 それが、「合コンのテクニック」とか「メールはこう打て」とか、だもんな。

 本当、よくやるよ。

 

 しかし、僕は、このヒトのファンを、少なくとも、1人だけは知っています。

 それは、うちのかみさん。

 僕が、出版社から、刷り見本として、もらってきた本を、いつのまにか寝室に持ち込んで、寝る前にいつも読んでいた。そして、大爆笑。なんか、ツボに、はまったらしくて、ヒロNの新作を待ちわびる始末。すっかりファンになっています。

 

 どうも、この男、男子より、女子が、はまるみたいで、僕の仕事場にも、しょっちゅう萌え系の女の子を連れてやってくるので、なんか困る。

 金もないし、外見さえないし、バカなのに、どうして、女の子がなつくのか、全く不思議。

 

 「女の子の取扱い」シリーズに出てくる女の子たちは、全員、ヒロNがメイド喫茶やっていた時からの、メイドの子たちで、皆、店がなくなった今でも、ヒロNになついている。

 こんな金のないおっさんについていってもしょうがないのになあ。

 

 案外、この「女の子の取り扱い」シリーズ、本当のことが書いてあるのかもしれない。

 だから、いつも、「こいつ、相変わらず、バカだなあ」とか思いつつも、「ひょっとしたら、もしかしたら、化けるかもしれない」などと、大穴馬券を買ったつもりで、つき合っているのです。

 

 それに、

 世の中、リコウを見ているより、バカを見ているほうが面白いってこともあるから。

 

ヒロN
作家:ヒロN
ヒロN式「ヒロN式ガイドブック」
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