第三部 |
3-1:帝都〔13歳:LEVEL26〕
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秋…。 五錬邪を倒し、シジャン王国を発った俺達は、船で世界の中心を目指した。 そして、全ての王国を束ねる「帝都」のある、「チュシン」に辿り着いたのだった。 黄錬邪の野望は気になるが、今のところ動きは無いようなのでとりあえずは放置。 やはり、今考えるべきは「魔王」のことだろう。アイツは放っておいたら危険な奴だ。 最近なぜか噂を聞かんが、必ず情報はあるはずだ。 多少時間はかかっても… 都民A「キャー!魔王よー!魔王が来たぁー!!」 |
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3-2:物騒〔13歳:LEVEL26〕 | |
薄々感づいてはいたが、どうやら今の俺の装備は明らかに変わっているらしい。 まぁ驚異的に呪われた装備が二つもあるんだ、変わってると思われても仕方ない。 やはりここは、笑顔で優しく説明を…いや、そんなのは俺のキャラには似合わない。 …と、昔の俺なら言ったろう。だが俺ももう13、そろそろ大人の対応ができる歳だ。 全員、ブッた斬る。 |
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3-3:使者〔13歳:LEVEL26〕 | |
生意気な民衆を蹴散らしていると、見知らぬ小奇麗なオッサンに声を掛けられた。 紳士「失礼。もしやアナタは…凱空殿のご子息、勇者殿ではありませんか?」 勇者「ん?ああ、残念ながらな。」 紳士「やはり…。若き日のお父上に、よく似ていらっしゃる。」 勇者「イヤなこと言うなよ、将来が不安になるぞ。 ところでお前は誰で何の用だ?」 紳士「「皇女」…芋子様がお待ちです。城の方まで来ていただけますかな?」 勇者「なっ!?あの芋っ子がマジで皇女だと!?ハッタリじゃなかったのか!?」 紳士「ハイ、残念ながら…。」 勇者「残念なのか!使者の身分でそのセリフはアリなのか!?」 紳士「おや?ところで勇者殿、お連れの方々はドチラへ?」 勇者「みんな帝都は初めてだからな、適当にブラついてるよ。それがどうした?」 紳士「…いえ、何も。 では参りましょうか。」 仕方ない、行ってやるか。 |
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3-4:依頼〔13歳:LEVEL26〕 | |
謎の紳士に連れられ、帝都の城「帝城(ていじょう)」へと通された俺。 奥の偉そうな部屋まで行くと、そこにはホントに芋子と洗馬巣が居やがった。 勇者「よぉ芋っ子。相変わらず冴えん顔だが衣装はいっちょまえに豪華だなオイ。」 芋子「勇者先輩…アンタも相変わらず芋、食いたい。」 勇者「やっぱお前の方が相変わらずだぞ。」 洗馬巣「ハイ芋子様、どうぞ。」 芋子「モグモグ…でね、早速だけど…モグ…話があるのよ。んぐっ。」 勇者「食いながら喋るな小娘が。食うか喋るかハッキリしやがれ。」 芋子「モグモグ…。」 勇者「って、やっぱそっち取んのかよ!」 芋子「…今日、この帝都で「武術会」があるのアンタ知ってる?」 勇者「武術会…そういや親父がそんなこと言ってたような気がするが、それが?」 芋子「出てほしいのよね。で、優勝してほしいの。 なぜなら…芋、食いたい。」 勇者「だからなんでお前の話は肝心な所で芋にさらわれるんだ!」 洗馬巣「優勝者に贈られる賞品…それが問題なのですよ。」 勇者「賞品だと?そういうことなら任せろ、俺はその手のものが大好きだぞ。」 芋子「ワタイよ。」 |
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3-5:結婚〔13歳:LEVEL26〕 | |
詳しく聞くと、その武術会は皇女の婿を決めるために昔から行われているという。 勇者「結婚か…だがお前まだ11だろ?収穫期にしては早すぎるぞ。」 洗馬巣「以前は15歳だったのですが…わけあって余裕をもって早めたのです。」 勇者「15でも十分に早いと思うが…。ちなみにそのわけとは何だ?」 芋子「先代のせいよ。伯母さんってば散々ゴネて、結局結婚しなかったのよね。」 勇者「オバさん?先代ってのはお前の母親のことなんじゃないのか?」 洗馬巣「いいえ。芋子様は皇子様の…先代天帝の姪っ子様なのです。」 芋子「で、天帝は天帝からしか生まれないの。この意味わかる?」 勇者「つまりお前は天帝にはなれん、形式的な皇女にすぎんというわけだな?」 芋子「…ま、そんなとこね。 ワタイは別にそれでもいいんだけど…」 洗馬巣「列国を治めるには、「天帝の力」という脅威は欠かせないのです。」 勇者「・・・・・・・・。」 話が真面目すぎて辛い。 |
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3-6:求婚〔13歳:LEVEL26〕 | |
どうやら芋子は真の皇女ではないらしい。やはり俺の読みは正しかったようだ。 芋子「…てわけだから、武術会で優勝して嘘がバレるのを防いでほしいのよね。」 勇者「だが俺が勝ったところで、力が無いんならいずれはバレるんじゃないのか?」 芋子「あ~、大丈夫。天帝なら絶対、能力に目覚めるってわけでもないから。」 洗馬巣「15の時に試練に挑み、それを乗り越えた方のみが真の力を得るのです。」 勇者「なら問題無ぇじゃねーか。それならお前が無力でも誰も不思議に思うまい。」 洗馬巣「ハイ、確かに意識的には…。ですが、列国の統治には関わるのですよ。」 芋子「天帝の力が無いなら、それに代わる脅威が必要なわけよ。面倒よね。」 洗馬巣「ですから代々、天帝の婿には最強の戦士が求められるのです。」 勇者「なるほどな…って、まさかそれが俺か!?じゃあ俺がお前と結婚を!?」 芋子「なに?ワタイじゃ不満?」 勇者「「不満」以外の言葉をわかりやすく教えてくれ。」 芋子「「芋」…それは全世界の希望。」 勇者「お前ん中はそればっかかよ!つーかお前は俺でいいのか!?」 芋子「別に構わないわ。ワタイは芋さえ食えればそれで良し。」 勇者「俺はそんな結婚生活すこぶるイヤだぞ。」 芋子「ま、いいわ。続きは食べながらしましょ。」 勇者「なんと言われても気は変わらんが…まぁ飯には賛成だな。俺にも用意しろ。」 勇者「イモ以外で。」 芋子「Σ( ̄□ ̄;)!?」 |
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3-7:譲歩〔13歳:LEVEL26〕 | |
とっても適当に芋子に求婚された。いろんな意味でとってもお断りだ。 勇者「ところで、その天帝の力ってのは実際のところどんなモンなんだ?」 洗馬巣「それが…伝承に今までのものがあるのですが、なんともランダムで。」 勇者「ランダム?例えばどんなだ?」 洗馬巣「えー、確か…全てを癒す力、護る力、財政を潤す力、悪を滅する力…。」 芋子「絶対トーストを焦がさない力、絶対ジャンケンに負けない力…。」 勇者「ず、随分と当たり外れの差が大きいな…。」 洗馬巣「ただどれも、どの職にも無い特殊な能力であることだけは確かなのです。」 勇者「なるほどな。人の恐怖を煽るのに、「未知」って要素は確かに有効だしな。」 芋子「わかったんなら話は早いわ。もちろん出てくれるのよね?」 勇者「断る!俺には心に決めた姫ちゃんがいるんだ!」 芋子「じゃあ半歩譲って結婚はいいわ。」 勇者「半歩かよ!結構どうでも良かったんじゃねーか!」 芋子「だけど頼むわ、試合には出て雑魚ども蹴散らして。」 勇者「む?あぁ、雑魚が残っても困るからか…。 だがホントにそれだけだぞ?」 芋子「まぁその気になれば4年はゴネられるしね。なんとかなるわよ。」 勇者「そうか…ならば任せるがいい。その代わり、報酬は弾めよ?」 勇者「イモ以外で。」 芋子「Σ( ̄□ ̄;)!!」 |
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3-8:再会〔13歳:LEVEL26〕
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~露天市~ 盗子「うわ~☆ すっごくカッコいい武器!これなんかホラ、特に盗賊っぽいよね!」 暗殺美「フン、よくいるのさ。何事も形から入ろうとする雑魚がさ。」 盗子「べ、別にいいじゃん!キッカケってのは大事じゃん!」 暗殺美「そう言う奴に限って「形だけ」で終わるのが雑魚の王道パターンさ。」 盗子「うっさいよ!アタシのお金だもん、何買ったってアタシの勝手じゃん!」 声「あ~、やめとき。素人が調子こいて買い漁ってもろくなことないで。」 盗子「ムッキィー!ついに見知らぬ人にまで…って、アンタは…!」 商南「お?なんや偶然やなぁ。 確か盗子ゆーたっけ?」 |
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盗子(ヤバッ…ちょっ、暗殺美!なんとか誤魔化して逃げるよっ!) 暗殺美(は?なんでさ?私は別にやましいことなんてしてないさ。) 盗子(アタシもね。でも前に勇者が、この子の品代踏み倒して逃げたんだよ…。) 商南「ん?どないしてん?」 盗子「ひ、人違いだよ!アタシの名前は…キャ、キャサリン!キャサリンだもん!」 商南「そうやったな。」 盗子「違うのっ!!」 |
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3-9:警戒〔13歳:LEVEL26〕
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盗子「あの、えっと、その…さいならっ!」 商南「ん?あぁ逃げんでええよ。あん時の魔防符代はな、後で送ってもろてん。」 盗子「えっ!?で、でも勇者にそんな甲斐性あったなんて聞いてないよ!?」 暗殺美「まぁああいう男さ、人の命を金に変えるくらい平然とやってのけるはずさ。」 盗子「い、いくら勇者でもさすがにそれは…やりかねない…か…。」 商南「おっと、そういや自己紹介がまだやったな。ウチは商南、流しの「商人」や。」 暗殺美「私は「暗殺者」の暗殺美さ。始末したい奴がいたら安く請け負うさ。」 商南「よろしゅう。そん時はええ武器仕入れたるでな。どんな敵さんも細切れやで。」 盗子「どんな乙女の会話だよ!どう聞いても少女の吐くべきセリフじゃないよ!?」 商南「あ、ところでアンタら今ヒマか?ここで会うたんも何かの縁やと思わへん?」 盗子「へ?どういう意味?」 商南「ふっふっふ…おもろい話があんねん。」 |
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3-10:帝牢〔13歳:LEVEL26〕
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盗子「へぇ~、ここが世界最高の警備って言われる「帝牢(ていろう)」か~。」 商南「この厳重な警備はな、囚人以外にも宝を守ってるって噂があるんやで。」 盗子「アンタはそれが目当てなわけね…。」 暗殺美「でも五錬邪は脱獄したさ。それに今、私らが侵入できてる時点で微妙さ。」 盗子「いやいや~♪それはアタシらの能力が優れてるって意味じゃな~い?」 ウォーーン!ウォーーン!(警報) 盗子「ちょ、調子コキましたー!」 声「侵入者だ!捕らえてなぶり殺しにしろー!!」 商南「ま、マズいで!こないなとこで捕まったら無実の罪で即投獄やんか!」 暗殺美「入った動機が無実じゃないあたり、特にアンタがヤバいさ!」 盗子「か、隠れられるっていったら牢屋ぐらいしか…!でもカギ開けてる時間なんt」 カチッ(開) 商南「開いたで!」 盗子「早っ!てゆーかそんな簡単に開いちゃっていいわけ!?」 商南「ええからはよ入らんかい!捕まってまうで!?」 |
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盗子「ふぅ~、これで一安心…って、なんでアンタら入ってないの!?」 暗&商「いや、なんとなく…。」 盗子「なんとなくて!!」 声「オイ、声がしたぞ!こっちだー! 衛兵、集えー!!」 ドドドドドド…!(足音) 暗殺美「この音…かなりの人数さ!とっとと逃げるさ!」 盗子「えっ、やっぱ逃げるの!?じゃあ出るから待っ…」 商南「ほなな!また会えたら会おな!(カチッ)」 盗子「ちょ、待っ…てゆーかなんで今カギ閉めたの!?ねぇ!?ねぇーー!?」 |
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3-11:裏道〔13歳:LEVEL26〕
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男A「あ?なんだ嬢ちゃん、こんな裏通りに何の用でぇ?まさかヤクでも御所望か?」 姫「?? ちょっとそこまでウィンドウショッピングだよ。」 男B「いや、そんなノリで買える代物じゃねぇぞ。ガキはとっとと失せやが…」 男C「まぁいいじゃねーか。よく見りゃ大層なツラしてやがる…高く売れるぜ?」 姫「いくらなの?」 男C「ん?まぁオメェなら…100銀(100万円)くれぇ出す下衆はいるかもなぁ。」 姫「残念だけどそんなに無いよ。」 男B「いや、誰もお前に買えとは言ってねーよ。」 男A「気ぃ付けろよ野郎ども。大事な商品だ、傷は付けねぇようにな!行けぃ!」 姫「あ~…なんとなくピンチっぽいよ。」 バキィイイッ!!(殴) 男A「ぐぇぇえええっ!!」 男B「な、何が…!?」 姫「ほぇ?」 少年「ふぅ…。大の男が寄ってたかって少女一人に…見るに堪えねぇぜよ。」 男C「だ、だだ誰だテメェ!?どこのどいつだ!?」 少年「オイラか? 名は「戦仕」、それより先は…拳で語るぜよ。」 |
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3-12:天空〔13歳:LEVEL26〕
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ライ「ちょ、ちょっ!痛いニャ!足踏まニャいでほしいのニャ太郎!」 太郎「あ、ゴメン。超わざと。」 ライ「ニャんですと!?」 下端「ふぅ~、やっと目が慣れてきたッスね。でもやっぱ明かりが欲しいッス。」 剣次「にしても、「空に浮かぶ城」か~。まさかこんなモンが…世の中広ぇぜ!」 太郎「ま、普通の人じゃ来られないだろうね、こんな空の上。」 下端「無人なんスかね?人の気配は感じられないッスけど、でもなんか…」 ライ「ニャ、ニャにか嫌ニャ予感がするニャ。悪いことが起きるようニャ…。」 太郎「いや、僕はキミといる時は常に感じてるけどね、嫌な予感。」 下端「!! け、剣次さん見てくださいッス!奥に氷の柱が…!中に…!」 剣次「ん?どれどれ…なっ!?あ、アイツは…!!」 |
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剣次「コイツ…まさか「魔王」か?なんでこんな姿に…?」 下端「で、でも確かに魔王ッス!この手配書の顔にそっくりッスよ!」 コツン…(物音) 剣次「ッ!誰だ!?」 男「やれやれ、まさか見つかっちまうとは…。ここなら大丈夫だと思ったんだがな。」 剣次「…こりゃ賢者級の魔法みてぇだが、やったのはアンタかい?」 男「フッ、俺が魔導士に見えるか?」 剣次「みんな、逃げろ…。 感じるぜ…俺なんかじゃ到底、コイツには敵わねぇ。」 男「ハハッ、わかってるじゃないか。 殺すには惜しいが…」 キィイイイイン!(受) 剣次「ここは、俺が食い止める!」 男「ほぉ…腕慣らしくらいには、なりそうだな。」 |
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3-13:慣諦〔13歳:LEVEL26〕
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賢二「…この星も、ダメみたいですね。人間どころか建物まで跡形も無く…。」 亀「こりゃ酷ぇもんだな。前の星もそうだったが、まるで大嵐が通った後だぜぃ。」 無印「伝説では、邪神は「地獄の風雪」を操ったと聞くが…まさかのぅ。」 賢二「じゃ、邪神!?それって前に言ってた、地球を滅ぼしかけたっていう…!?」 無印「そうぢゃ。かつて地球におった12の神…その中より生まれし三悪の一片よ。」 賢二「そ、その人が復活しちゃってるかもってことですか!?はわわ…!」 召々「アハ☆ 別にいいじゃん賢クン。倒しちゃえばいいんでしょ?」 賢二「こ、この人は…とんでもないことをアッサリと…。」 無印「まぁどうであれ、放ってはおけんのぉ。 痕跡を追うとするかねダーリン?」 賢二「何度も言いますがその呼び方だけは死んでも却下の方向で。」 無印「ん~☆ そんなツレないところもまた可愛いのぅ☆」 召々「お婆ちゃんは全然可愛くないけどね♪」 無印「こっ、この小娘は…!」 召々「アハハ☆ 怒ってる怒ってるぅ~♪」 亀「…ま、元気出せよな。」 賢二「慣れました…。」 |
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3-14:混乱〔13歳:LEVEL26〕 | |
昼食後。 しばしまったりしていると、紳士が戻ってきて妙なことを言ってきた。 紳士「勇者殿、少しお時間をよろしいですかな?」 勇者「ん?まぁいいが手短に済ませろよな。食後で少し眠いんだ。」 紳士「先ほど帝牢に侵入した少女二人が、「連れの勇者を連れてこい」と…。」 勇者「二人…?その中に、髪の長い美少女は?」 紳士「黒髪を束ねた方ですか?」 勇者「なら人違いだ。首だろうが乳だろうが好きに縛るがいい。」 紳士「もしそう答えたら、「例のモンいらんのんかいボケェ!?」と言えと。」 勇者「!? その用意周到さ…商南か? 仕方ない、釈放してやってくれ。」 紳士「いやしかし、帝牢への侵入は重罪で…。」 勇者「フン、責めるなら簡単に侵入を許した自分達の甘さを責めるがいい。」 紳士「いえ、敢えて侵入させて中で捕らえるのが、あそこの基本スタンスでしてね。」 勇者「ったく…ん?二人と言ったが…もう一人ブサイクなのがいなかったか?」 紳士「ブサイク?そのような記録はありませんが、何か?」 勇者「…いや、なんでもない。とりあえず二人を連れてこ…」 ブォーーン!ブォーーン!(警報) 勇者「な、なんだこの音は!?」 洗馬巣「この音は、帝牢の脱獄警報…!まさか先の騒ぎに乗じて…!?」 勇者「なにっ!? 誰だ!誰が収監されていたんだ!?」 ~その頃、帝城のとある部屋では~ コンコンコン!(ノック) 声「…なんだ?うるせぇなー。」 兵士「た、大変です!奴が…S級戦犯の「ソボー」が、脱獄しました!」 声「なにぃ!?最高の警備を誇る、我が帝牢から脱獄だと!?バカなっ!」 兵士「そ、それが人質をとっていて手が出せず…逃走を許しました…!」 声「アホかよ!相手は極悪人だ、一人や二人犠牲にしてでも止めやがれ!」 兵士「い、いえ、それが…その人質というのが…その…。」 声「!! ま、まさかアイツなのか!?アイツが人質に!?」 兵士「…ハイ。」 声「くっ…!何してる!?早く追跡部隊を組織しろ!俺もすぐ行く! 行けぇ!!」 兵士「は、ハッ!!」 武史「チッ、塔子…!!」 |
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3-15:始動〔13歳:LEVEL26〕 | ||
突如鳴り響いた警報。どうやら刑務所から誰かが脱走したらしい。 バンッ!(扉) 兵士「大変だセバスちゃん!皇女が…皇女様が賊にさらわれた!」 洗馬巣「なっ!?それは本当ですか!? そんな…!」 勇者「オイ、ちょっと待て。芋子ならついさっきまでそこに居たろうが?」 洗馬巣「い、いえ、そうではなく…「本物」の皇女様の話でして…。」 勇者「本物だぁ?さっきの話と違うぞ、俺にわかるように説明しろ!」 洗馬巣「そ、それは…その…。実は皇子様には娘が…ですが…。」 勇者「いいから言え!俺は秘密にされるのと盗子が大嫌いなんだ!」 紳士「…今から13年前、この国が五錬邪の襲撃に遭ったのはご存知ですかな?」 勇者「あぁ、聞いたことあるな。それで負けたアイツらは投獄されたんだろ?」 洗馬巣「ハイ、結末はそうですが…実は城は一度、かなりの侵略を許したのです。」 勇者「なにっ?何気にかなりピンチだったってことか?」 洗馬巣「天帝の血が絶える…そう危惧した皇子様は、地下水路から…」 紳士「一人の忍、「美盗(みと)」に娘を託し、密かに逃がしたのです。」 勇者「みと…どこかで聞い…って、盗子の育ての!? じゃあ、まさか…!」 洗馬巣「…ええ。彼女の本当の名は「塔子」様。天帝の嫡子にございます。」 勇者「!!!」
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ソボー「さぁもっと速く飛べ飛竜!もっと高くだ!とりあえず追っ手を撒くぜぇ!」 飛竜「グォオオオオオオオ!」 ソボー「あ、テメェは人質な。 さらっただけでこの騒ぎ…使えるニオイがしやがる。」 盗子「は、はーなーせー! もうっ!触んなよぉ!今すぐ放せぇー!!」 ソボー「爆弾投下ぁ、よぉーーい…!」 盗子「ウギャー!放さないでぇー! やっぱ今だけは絶対ヤメてー!!」 ソボー「ギャハハハ!頼まれちゃ仕方ねぇなぁ! まぁ安心しろ、逃がさねぇよ!!」 盗子「いやぁーん!助けて勇者ぁーーん!!」
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洗馬巣「ゆ、勇者殿!外へはコチラが近道です!早く皇女様を…!」 勇者「…あん?なに言ってんだ、俺には武術会で優勝するって役目があるだろ?」 洗馬巣「えっ!?いや、しかし…!」 勇者「早く案内しろ、会場はどこだ?それがイヤなら俺は帰るぞ。」 洗馬巣「それは…本心ですか?」 勇者「当然だ。」 洗馬巣「…コチラです。ご案内します。」 勇者「よし、行くか!!」 |
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