~勇者が行く~(3)

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目次( 1 / 1 )

- 目次 -


【本編】

序章
第一章
外伝(壱)
第二章
外伝(弐)
第三章
外伝(参)
第四章
外伝(肆)
第五章
外伝(伍)
第六章
外伝(陸)
第七章
外伝(漆)
第八章
外伝(捌)
第九章
外伝(玖)
第十章

【付録】

登場人物
魔法&特技

本編( 1 / 20 )

第三部:序章

第三部

 

3-1:帝都〔13歳:LEVEL26〕
なんだかんだで季節は流れ…

そして―――
秋…。 五錬邪を倒し、シジャン王国を発った俺達は、船で世界の中心を目指した。
そして、全ての王国を束ねる「帝都」のある、「チュシン」に辿り着いたのだった。
黄錬邪の野望は気になるが、今のところ動きは無いようなのでとりあえずは放置。
やはり、今考えるべきは「魔王」のことだろう。アイツは放っておいたら危険な奴だ。
最近なぜか噂を聞かんが、必ず情報はあるはずだ。 多少時間はかかっても…

都民A「キャー!魔王よー!魔王が来たぁー!!」
勇者は指をさされた。

 

3-2:物騒〔13歳:LEVEL26〕
薄々感づいてはいたが、どうやら今の俺の装備は明らかに変わっているらしい。
まぁ驚異的に呪われた装備が二つもあるんだ、変わってると思われても仕方ない。
やはりここは、笑顔で優しく説明を…いや、そんなのは俺のキャラには似合わない。
…と、昔の俺なら言ったろう。だが俺ももう13、そろそろ大人の対応ができる歳だ。


全員、ブッた斬る。
勇者は変わってない。

 

3-3:使者〔13歳:LEVEL26〕
生意気な民衆を蹴散らしていると、見知らぬ小奇麗なオッサンに声を掛けられた。
紳士「失礼。もしやアナタは…凱空殿のご子息、勇者殿ではありませんか?」
勇者「ん?ああ、残念ながらな。」
紳士「やはり…。若き日のお父上に、よく似ていらっしゃる。」
勇者「イヤなこと言うなよ、将来が不安になるぞ。 ところでお前は誰で何の用だ?」
紳士「「皇女」…芋子様がお待ちです。城の方まで来ていただけますかな?」
勇者「なっ!?あの芋っ子がマジで皇女だと!?ハッタリじゃなかったのか!?」
紳士「ハイ、残念ながら…。」
勇者「残念なのか!使者の身分でそのセリフはアリなのか!?」
紳士「おや?ところで勇者殿、お連れの方々はドチラへ?」
勇者「みんな帝都は初めてだからな、適当にブラついてるよ。それがどうした?」
紳士「…いえ、何も。 では参りましょうか。」

仕方ない、行ってやるか。
民衆は泣いて喜んだ。

 

3-4:依頼〔13歳:LEVEL26〕
謎の紳士に連れられ、帝都の城「帝城(ていじょう)」へと通された俺。
奥の偉そうな部屋まで行くと、そこにはホントに芋子と洗馬巣が居やがった。
勇者「よぉ芋っ子。相変わらず冴えん顔だが衣装はいっちょまえに豪華だなオイ。」
芋子「勇者先輩…アンタも相変わらず芋、食いたい。」
勇者「やっぱお前の方が相変わらずだぞ。」
洗馬巣「ハイ芋子様、どうぞ。」
芋子「モグモグ…でね、早速だけど…モグ…話があるのよ。んぐっ。」
勇者「食いながら喋るな小娘が。食うか喋るかハッキリしやがれ。」
芋子「モグモグ…。」
勇者「って、やっぱそっち取んのかよ!」
芋子「…今日、この帝都で「武術会」があるのアンタ知ってる?」
勇者「武術会…そういや親父がそんなこと言ってたような気がするが、それが?」
芋子「出てほしいのよね。で、優勝してほしいの。 なぜなら…芋、食いたい。」
勇者「だからなんでお前の話は肝心な所で芋にさらわれるんだ!」
洗馬巣「優勝者に贈られる賞品…それが問題なのですよ。」
勇者「賞品だと?そういうことなら任せろ、俺はその手のものが大好きだぞ。」

芋子「ワタイよ。」
勇者は帰り支度を始めた。

 

3-5:結婚〔13歳:LEVEL26〕
詳しく聞くと、その武術会は皇女の婿を決めるために昔から行われているという。
勇者「結婚か…だがお前まだ11だろ?収穫期にしては早すぎるぞ。」
洗馬巣「以前は15歳だったのですが…わけあって余裕をもって早めたのです。」
勇者「15でも十分に早いと思うが…。ちなみにそのわけとは何だ?」
芋子「先代のせいよ。伯母さんってば散々ゴネて、結局結婚しなかったのよね。」
勇者「オバさん?先代ってのはお前の母親のことなんじゃないのか?」
洗馬巣「いいえ。芋子様は皇子様の…先代天帝の姪っ子様なのです。」
芋子「で、天帝は天帝からしか生まれないの。この意味わかる?」
勇者「つまりお前は天帝にはなれん、形式的な皇女にすぎんというわけだな?」
芋子「…ま、そんなとこね。 ワタイは別にそれでもいいんだけど…」
洗馬巣「列国を治めるには、「天帝の力」という脅威は欠かせないのです。」
勇者「・・・・・・・・。」

話が真面目すぎて辛い。
勇者は父に似てきた。

 

3-6:求婚〔13歳:LEVEL26〕
どうやら芋子は真の皇女ではないらしい。やはり俺の読みは正しかったようだ。
芋子「…てわけだから、武術会で優勝して嘘がバレるのを防いでほしいのよね。」
勇者「だが俺が勝ったところで、力が無いんならいずれはバレるんじゃないのか?」
芋子「あ~、大丈夫。天帝なら絶対、能力に目覚めるってわけでもないから。」
洗馬巣「15の時に試練に挑み、それを乗り越えた方のみが真の力を得るのです。」
勇者「なら問題無ぇじゃねーか。それならお前が無力でも誰も不思議に思うまい。」
洗馬巣「ハイ、確かに意識的には…。ですが、列国の統治には関わるのですよ。」
芋子「天帝の力が無いなら、それに代わる脅威が必要なわけよ。面倒よね。」
洗馬巣「ですから代々、天帝の婿には最強の戦士が求められるのです。」
勇者「なるほどな…って、まさかそれが俺か!?じゃあ俺がお前と結婚を!?」
芋子「なに?ワタイじゃ不満?」
勇者「「不満」以外の言葉をわかりやすく教えてくれ。」
芋子「「芋」…それは全世界の希望。」
勇者「お前ん中はそればっかかよ!つーかお前は俺でいいのか!?」
芋子「別に構わないわ。ワタイは芋さえ食えればそれで良し。」
勇者「俺はそんな結婚生活すこぶるイヤだぞ。」
芋子「ま、いいわ。続きは食べながらしましょ。」
勇者「なんと言われても気は変わらんが…まぁ飯には賛成だな。俺にも用意しろ。」

勇者「イモ以外で。」
芋子「Σ( ̄□ ̄;)!?」
芋子は攻撃を封じられた。

 

3-7:譲歩〔13歳:LEVEL26〕
とっても適当に芋子に求婚された。いろんな意味でとってもお断りだ。
勇者「ところで、その天帝の力ってのは実際のところどんなモンなんだ?」
洗馬巣「それが…伝承に今までのものがあるのですが、なんともランダムで。」
勇者「ランダム?例えばどんなだ?」
洗馬巣「えー、確か…全てを癒す力、護る力、財政を潤す力、悪を滅する力…。」
芋子「絶対トーストを焦がさない力、絶対ジャンケンに負けない力…。」
勇者「ず、随分と当たり外れの差が大きいな…。」
洗馬巣「ただどれも、どの職にも無い特殊な能力であることだけは確かなのです。」
勇者「なるほどな。人の恐怖を煽るのに、「未知」って要素は確かに有効だしな。」
芋子「わかったんなら話は早いわ。もちろん出てくれるのよね?」
勇者「断る!俺には心に決めた姫ちゃんがいるんだ!」
芋子「じゃあ半歩譲って結婚はいいわ。」
勇者「半歩かよ!結構どうでも良かったんじゃねーか!」
芋子「だけど頼むわ、試合には出て雑魚ども蹴散らして。」
勇者「む?あぁ、雑魚が残っても困るからか…。 だがホントにそれだけだぞ?」
芋子「まぁその気になれば4年はゴネられるしね。なんとかなるわよ。」
勇者「そうか…ならば任せるがいい。その代わり、報酬は弾めよ?」

勇者「イモ以外で。」
芋子「Σ( ̄□ ̄;)!!」
芋子は持ってたイモを後ろに隠した。

 

3-8:再会〔13歳:LEVEL26〕
その頃、盗子と暗殺美は…。
~露天市~
盗子「うわ~☆ すっごくカッコいい武器!これなんかホラ、特に盗賊っぽいよね!」
暗殺美「フン、よくいるのさ。何事も形から入ろうとする雑魚がさ。」
盗子「べ、別にいいじゃん!キッカケってのは大事じゃん!」
暗殺美「そう言う奴に限って「形だけ」で終わるのが雑魚の王道パターンさ。」
盗子「うっさいよ!アタシのお金だもん、何買ったってアタシの勝手じゃん!」
声「あ~、やめとき。素人が調子こいて買い漁ってもろくなことないで。」
盗子「ムッキィー!ついに見知らぬ人にまで…って、アンタは…!」
商南「お?なんや偶然やなぁ。 確か盗子ゆーたっけ?」
商南が現れた。
盗子(ヤバッ…ちょっ、暗殺美!なんとか誤魔化して逃げるよっ!)
暗殺美(は?なんでさ?私は別にやましいことなんてしてないさ。)
盗子(アタシもね。でも前に勇者が、この子の品代踏み倒して逃げたんだよ…。)
商南「ん?どないしてん?」
盗子「ひ、人違いだよ!アタシの名前は…キャ、キャサリン!キャサリンだもん!」

商南「そうやったな。」
盗子「違うのっ!!」
盗子は印象が薄かった。

 

3-9:警戒〔13歳:LEVEL26〕
偶然商南と再会してしまった盗子。
早く逃げないと身包みどころか内臓のピンチだ。
盗子「あの、えっと、その…さいならっ!」
商南「ん?あぁ逃げんでええよ。あん時の魔防符代はな、後で送ってもろてん。」
盗子「えっ!?で、でも勇者にそんな甲斐性あったなんて聞いてないよ!?」
暗殺美「まぁああいう男さ、人の命を金に変えるくらい平然とやってのけるはずさ。」
盗子「い、いくら勇者でもさすがにそれは…やりかねない…か…。」
商南「おっと、そういや自己紹介がまだやったな。ウチは商南、流しの「商人」や。」
暗殺美「私は「暗殺者」の暗殺美さ。始末したい奴がいたら安く請け負うさ。」
商南「よろしゅう。そん時はええ武器仕入れたるでな。どんな敵さんも細切れやで。」
盗子「どんな乙女の会話だよ!どう聞いても少女の吐くべきセリフじゃないよ!?」
商南「あ、ところでアンタら今ヒマか?ここで会うたんも何かの縁やと思わへん?」
盗子「へ?どういう意味?」
商南「ふっふっふ…おもろい話があんねん。」
商南のメガネが怪しく光った。

盗子は警戒した。
暗殺美は警戒した。

 

3-10:帝牢〔13歳:LEVEL26〕
商南の強引な誘いで、三人はとある建物を目指した。
厳重な警備をかいくぐり、目指した場所。 そこは…。
盗子「へぇ~、ここが世界最高の警備って言われる「帝牢(ていろう)」か~。」
商南「この厳重な警備はな、囚人以外にも宝を守ってるって噂があるんやで。」
盗子「アンタはそれが目当てなわけね…。」
暗殺美「でも五錬邪は脱獄したさ。それに今、私らが侵入できてる時点で微妙さ。」
盗子「いやいや~♪それはアタシらの能力が優れてるって意味じゃな~い?」
ウォーーン!ウォーーン!(警報)
盗子「ちょ、調子コキましたー!」
声「侵入者だ!捕らえてなぶり殺しにしろー!!」
商南「ま、マズいで!こないなとこで捕まったら無実の罪で即投獄やんか!」
暗殺美「入った動機が無実じゃないあたり、特にアンタがヤバいさ!」
盗子「か、隠れられるっていったら牢屋ぐらいしか…!でもカギ開けてる時間なんt」
カチッ(開)
商南「開いたで!」
盗子「早っ!てゆーかそんな簡単に開いちゃっていいわけ!?」
商南「ええからはよ入らんかい!捕まってまうで!?」
盗子は牢屋に入った。
盗子「ふぅ~、これで一安心…って、なんでアンタら入ってないの!?」
暗&商「いや、なんとなく…。」
盗子「なんとなくて!!」
声「オイ、声がしたぞ!こっちだー! 衛兵、集えー!!」
ドドドドドド…!(足音)
暗殺美「この音…かなりの人数さ!とっとと逃げるさ!」
盗子「えっ、やっぱ逃げるの!?じゃあ出るから待っ…」
商南「ほなな!また会えたら会おな!(カチッ)」
盗子「ちょ、待っ…てゆーかなんで今カギ閉めたの!?ねぇ!?ねぇーー!?」
盗子は置き去りにされた。

 

3-11:裏道〔13歳:LEVEL26〕
また、その頃…。
男A「あ?なんだ嬢ちゃん、こんな裏通りに何の用でぇ?まさかヤクでも御所望か?」
姫「?? ちょっとそこまでウィンドウショッピングだよ。」
男B「いや、そんなノリで買える代物じゃねぇぞ。ガキはとっとと失せやが…」
男C「まぁいいじゃねーか。よく見りゃ大層なツラしてやがる…高く売れるぜ?」
姫「いくらなの?」
男C「ん?まぁオメェなら…100銀(100万円)くれぇ出す下衆はいるかもなぁ。」
姫「残念だけどそんなに無いよ。」
男B「いや、誰もお前に買えとは言ってねーよ。」
男A「気ぃ付けろよ野郎ども。大事な商品だ、傷は付けねぇようにな!行けぃ!」
姫「あ~…なんとなくピンチっぽいよ。」

バキィイイッ!!(殴)
男A「ぐぇぇえええっ!!
男B「な、何が…!?」
姫「ほぇ?」
少年「ふぅ…。大の男が寄ってたかって少女一人に…見るに堪えねぇぜよ。」
男C「だ、だだ誰だテメェ!?どこのどいつだ!?」

少年「オイラか? 名は「戦仕」、それより先は…拳で語るぜよ。」
姫は黙って帰った。

 

3-12:天空〔13歳:LEVEL26〕
更にその頃、遙か空の上では…。
ライ「ちょ、ちょっ!痛いニャ!足踏まニャいでほしいのニャ太郎!」
太郎「あ、ゴメン。超わざと。」
ライ「ニャんですと!?」
下端「ふぅ~、やっと目が慣れてきたッスね。でもやっぱ明かりが欲しいッス。」
剣次「にしても、「空に浮かぶ城」か~。まさかこんなモンが…世の中広ぇぜ!」
太郎「ま、普通の人じゃ来られないだろうね、こんな空の上。」
下端「無人なんスかね?人の気配は感じられないッスけど、でもなんか…」
ライ「ニャ、ニャにか嫌ニャ予感がするニャ。悪いことが起きるようニャ…。」
太郎「いや、僕はキミといる時は常に感じてるけどね、嫌な予感。」
下端「!! け、剣次さん見てくださいッス!奥に氷の柱が…!中に…!」
剣次「ん?どれどれ…なっ!?あ、アイツは…!!」
剣次は氷柱を見た。

なんと中にはユーザックがいた。
剣次「コイツ…まさか「魔王」か?なんでこんな姿に…?」
下端「で、でも確かに魔王ッス!この手配書の顔にそっくりッスよ!」
コツン…(物音)
剣次「ッ!誰だ!?」
男「やれやれ、まさか見つかっちまうとは…。ここなら大丈夫だと思ったんだがな。」
剣次「…こりゃ賢者級の魔法みてぇだが、やったのはアンタかい?」
男「フッ、俺が魔導士に見えるか?」
剣次「みんな、逃げろ…。 感じるぜ…俺なんかじゃ到底、コイツには敵わねぇ。」
男「ハハッ、わかってるじゃないか。 殺すには惜しいが…」

キィイイイイン!(受)
剣次「ここは、俺が食い止める!」
男「ほぉ…腕慣らしくらいには、なりそうだな。」
太郎は言われる前に逃げた。

 

3-13:慣諦〔13歳:LEVEL26〕
そして、その頃…。
賢二「…この星も、ダメみたいですね。人間どころか建物まで跡形も無く…。」
亀「こりゃ酷ぇもんだな。前の星もそうだったが、まるで大嵐が通った後だぜぃ。」
無印「伝説では、邪神は「地獄の風雪」を操ったと聞くが…まさかのぅ。」
賢二「じゃ、邪神!?それって前に言ってた、地球を滅ぼしかけたっていう…!?」
無印「そうぢゃ。かつて地球におった12の神…その中より生まれし三悪の一片よ。」
賢二「そ、その人が復活しちゃってるかもってことですか!?はわわ…!」
召々「アハ☆ 別にいいじゃん賢クン。倒しちゃえばいいんでしょ?」
賢二「こ、この人は…とんでもないことをアッサリと…。」
無印「まぁどうであれ、放ってはおけんのぉ。 痕跡を追うとするかねダーリン?」
賢二「何度も言いますがその呼び方だけは死んでも却下の方向で。」
無印「ん~☆ そんなツレないところもまた可愛いのぅ☆」
召々「お婆ちゃんは全然可愛くないけどね♪」
無印「こっ、この小娘は…!」
召々「アハハ☆ 怒ってる怒ってるぅ~♪」
亀「…ま、元気出せよな。」
賢二「慣れました…。」
というか諦めた。

 

3-14:混乱〔13歳:LEVEL26〕
昼食後。 しばしまったりしていると、紳士が戻ってきて妙なことを言ってきた。
紳士「勇者殿、少しお時間をよろしいですかな?」
勇者「ん?まぁいいが手短に済ませろよな。食後で少し眠いんだ。」
紳士「先ほど帝牢に侵入した少女二人が、「連れの勇者を連れてこい」と…。」
勇者「二人…?その中に、髪の長い美少女は?」
紳士「黒髪を束ねた方ですか?」
勇者「なら人違いだ。首だろうが乳だろうが好きに縛るがいい。」
紳士「もしそう答えたら、「例のモンいらんのんかいボケェ!?」と言えと。」
勇者「!? その用意周到さ…商南か? 仕方ない、釈放してやってくれ。」
紳士「いやしかし、帝牢への侵入は重罪で…。」
勇者「フン、責めるなら簡単に侵入を許した自分達の甘さを責めるがいい。」
紳士「いえ、敢えて侵入させて中で捕らえるのが、あそこの基本スタンスでしてね。」
勇者「ったく…ん?二人と言ったが…もう一人ブサイクなのがいなかったか?」
紳士「ブサイク?そのような記録はありませんが、何か?」
勇者「…いや、なんでもない。とりあえず二人を連れてこ…」
ブォーーン!ブォーーン!(警報)
勇者「な、なんだこの音は!?」
洗馬巣「この音は、帝牢の脱獄警報…!まさか先の騒ぎに乗じて…!?」
勇者「なにっ!? 誰だ!誰が収監されていたんだ!?」

~その頃、帝城のとある部屋では~
コンコンコン!(ノック)
声「…なんだ?うるせぇなー。」
兵士「た、大変です!奴が…S級戦犯の「ソボー」が、脱獄しました!」
声「なにぃ!?最高の警備を誇る、我が帝牢から脱獄だと!?バカなっ!」
兵士「そ、それが人質をとっていて手が出せず…逃走を許しました…!」
声「アホかよ!相手は極悪人だ、一人や二人犠牲にしてでも止めやがれ!」
兵士「い、いえ、それが…その人質というのが…その…。」
声「!! ま、まさかアイツなのか!?アイツが人質に!?」
兵士「…ハイ。」
声「くっ…!何してる!?早く追跡部隊を組織しろ!俺もすぐ行く! 行けぇ!!」
兵士「は、ハッ!!」


武史「チッ、塔子…!!」
シスコンが現れた。
シスコンは混乱している。

 

3-15:始動〔13歳:LEVEL26〕
突如鳴り響いた警報。どうやら刑務所から誰かが脱走したらしい。
バンッ!(扉)
兵士「大変だセバスちゃん!皇女が…皇女様が賊にさらわれた!」
洗馬巣「なっ!?それは本当ですか!? そんな…!」
勇者「オイ、ちょっと待て。芋子ならついさっきまでそこに居たろうが?」
洗馬巣「い、いえ、そうではなく…「本物」の皇女様の話でして…。」
勇者「本物だぁ?さっきの話と違うぞ、俺にわかるように説明しろ!」
洗馬巣「そ、それは…その…。実は皇子様には娘が…ですが…。」
勇者「いいから言え!俺は秘密にされるのと盗子が大嫌いなんだ!」
紳士「…今から13年前、この国が五錬邪の襲撃に遭ったのはご存知ですかな?」
勇者「あぁ、聞いたことあるな。それで負けたアイツらは投獄されたんだろ?」
洗馬巣「ハイ、結末はそうですが…実は城は一度、かなりの侵略を許したのです。」
勇者「なにっ?何気にかなりピンチだったってことか?」
洗馬巣「天帝の血が絶える…そう危惧した皇子様は、地下水路から…」
紳士「一人の忍、「美盗(みと)」に娘を託し、密かに逃がしたのです。」
勇者「みと…どこかで聞い…って、盗子の育ての!? じゃあ、まさか…!」
洗馬巣「…ええ。彼女の本当の名は「塔子」様。天帝の嫡子にございます。」
勇者「!!!」


芋子「武ちゃん、ワタイは何すればいい?ワタイにも何かできるはずだわ。」
武史「いや、いい。お前は大人しく芋でも食ってろ。」
芋子「モグモグ…。」
武史「ってホントに食うなよ!緊迫感が薄れるだろが!」
芋子「じゃあどうすればいいのよ?指示してくれなきゃ芋食うわよ?」
武史「…お前は戻って武術会へ出ろ。民衆に悟られちゃならねぇ。」
芋子「でも…。」
武史「俺に任せろ、それが代々皇族男子の役目だ。塔子は俺が助ける!」
兵士「武史様!追跡部隊の編成が完了いたしました!」
武史「よし、全力で探し出せ! 塔子は…盗子は俺達の、最後の希望だ!」
そして希望と―――
ソボー「さぁもっと速く飛べ飛竜!もっと高くだ!とりあえず追っ手を撒くぜぇ!」
飛竜「グォオオオオオオオ!」
ソボー「あ、テメェは人質な。 さらっただけでこの騒ぎ…使えるニオイがしやがる。」
盗子「は、はーなーせー! もうっ!触んなよぉ!今すぐ放せぇー!!」
ソボー「爆弾投下ぁ、よぉーーい…!」
盗子「ウギャー!放さないでぇー! やっぱ今だけは絶対ヤメてー!!」
ソボー「ギャハハハ!頼まれちゃ仕方ねぇなぁ! まぁ安心しろ、逃がさねぇよ!!」
盗子「いやぁーん!助けて勇者ぁーーん!!」

春菜「…どうやら、この星にも居なかったようですね。」
博打「なぁ、ホントなのかいバッキー?マジで「暗黒神」は地球じゃなく…」
邪神「無論じゃ。まぁ先に封印されたゆえ、「魔神」の方は知らんがな。」
春菜「「三大悪神」…その封印の地は、それぞれ「陸・海・空」と聞きます。」
邪神「わらわは大地、暗黒神は空…つまりは「宇宙」に封印されたのじゃ。」
春菜「ま、気長にいきましょう。 すぐに終わってしまっては、つまらない。」
博打「世界の終わりか…。確かにあっけないのは勘弁だぜ。」
邪神「すぐに見つかるわ。 まぁ既に復活しておらねばの話じゃがな。」


相原「…ま、これでしばらくはいいだろう。だがこれ以上酷使すれば…」
教師「わかってますよ。私も死ぬのはイヤですしね~。」
相原「その「死神の目」は、力と引き換えに体を蝕む。幻魔術はもう使わんことだ。」
教師「まったく、凡人は苦労しますねぇ。凱空さんのような天才が羨ましいですよ。」
相原「ところで本当なのかね、暗黒神が生きているというのは?何か悪い噂でも?」
教師「いや~。随分経ちますが、未だに復活を知る人すらいないでしょうね。」
相原「ん?あぁ、そういえば…。暗黒神ほどの者が復活しているというのに…。」
教師「誰かに見られたら消せばいい、そんなの常識じゃないですか。フフフ…。」
相原(ど、どこの世界の…?)
教師「それにどういうわけか、彼の方も目立ちたくなかったようですしね。」
相原「噂じゃない…では何故だね?敵はキミと凱空君で倒したはずだろう?」
教師「…私もそう思っていました。だから魔王ユーザック、彼を見て驚きましたよ。」
相原「魔王を見て…ということは、まさか!」
教師「生きているかもしれない。私から目と、国を奪った暗黒神…「嗟嘆(サタン)」。」


老人「…嗟嘆様、先ほどの剣士ですが…いかがいたしましょう?」
暗黒神「ん? 捨ておけ。あの傷だ、生きてたところでもう助からんさ。」
老人「御意。」
暗黒神「ところで黒猫よ、要塞の起動はもう済んだのか?」
黒猫「いえ、ですがじきに。 動き次第、大都市に向けて出撃の予定です。」
暗黒神「やっと傷も癒えた。あとは奴らをおびき出し、討つだけだ。」
黒猫「長かったですな。あの瀕死のお姿から、よくぞここまで…。」
暗黒神「ああ。 勇者と死神…奴らには、とびっきりの闇をくれてやる!!」



マジーン「邪神に暗黒神…あとは魔神か。俺も少し動いてみっかな…。 フッ。」

様々な陰謀が
洗馬巣「ゆ、勇者殿!外へはコチラが近道です!早く皇女様を…!」
勇者「…あん?なに言ってんだ、俺には武術会で優勝するって役目があるだろ?」
洗馬巣「えっ!?いや、しかし…!」
勇者「早く案内しろ、会場はどこだ?それがイヤなら俺は帰るぞ。」
洗馬巣「それは…本心ですか?」
勇者「当然だ。」

洗馬巣「…コチラです。ご案内します。」
勇者「よし、行くか!!」
動き出す。



第三部:「第二次大戦編」 始動。

 

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