拓也、危機一髪!

 

30分ほどして、桂邸に戻ると二人はリビングで甲高い声で笑っていた。「こんなにいい空気を吸ったのは何年ぶりだろ~」拓也は二人の会話に飛び込んだ。「拓也、どこほっつき歩いていたの、探したんだから」アンナは立ち上がると拓也の背中を押して席に着かせた。アンナはペットボトルの冷えたお茶をグラスに注ぐと拓也の前に置いた。拓也は一気に飲み終えるとどっと汗が噴出した。「拓也、シャワーどうぞ」アンナは浴衣を手渡した。

 

シャワーですっきりした拓也は和室に戻り、しばらく部屋の様子を眺めた。床の間の横には時価数百万はしそうな大きな花瓶が置かれてあった。「拓也、絵はどうだった?」アンナがビンビール2本とグラス、さやかは寿司を運んできた。「絵といい、置物といい、高級なものばかりですね。お父様は何をなされていらっしゃるのですか?」拓也はきっと大手商社の社長ではないかと思った。「ああ、コンピューター会社の会長です」アンナは教えられた通りに台詞を言った。

 

「そうですか、まったく素晴らしい」拓也は部屋を改めて見まわした。「拓也、乾杯しましょう」アンナは3つのグラスにビールを注いだ。夕食を終えるとアンナはブランディーのボトルとグラスを持ってきた。ちょっと用を済ませてからお邪魔するわね、と言っていつの間にか二人は消えてしまった。ビールを飲み終えた拓也は、ブランディーグラスを片手に床の間の前にある黒檀のテーブルに見入ってしまった。そこには光琳の「紅梅白梅図」と思われる金箔の絵が描かれてあった。

 

「拓也、いいかしら」浴衣に着替えた二人は拓也が好きなチョコレートを持ってやってきた。さやかの浴衣姿はかわいかったが、アンナは子供用の浴衣を着ているようで不釣合いだった。バク乳が浴衣に収まりきっていない。バク乳の谷間があらわになっている。「拓也、ベランダからの眺めがとても素敵なの、あちらにどうぞ」さやかはブランディーのボトルを手に取るとさっさと洋間に運んでいった。アンナはグラスをもぎ取り腕を組むと連行するように強引に引っ張っていった。

 

洋間のドアを開けると待ち伏せしていたかのように女性の甘い香りが拓也の理性を麻痺させた。中に入ると左手にはベッド、中央には前衛芸術家が作ったようなブルーとイエローのチェック柄の小さなテーブルとそれを囲むように3つの丸いソファーがあった。拓也がソファーに腰掛けると早速アンナがグラスを前に置いた。拓也は印象派の絵画について得意げに話しているうちにブランディーをかなり飲んでしまった。

 

ブランディーは好きだがお酒には弱く、酔うと寝てしまう悪い癖があった。拓也の瞼は限界に来ていた。拓也の左前には浴衣からこぼれだしそうなバク乳が揺れていた。拓也は半分開けていた瞼を閉じてしまった。「大丈夫、拓也!」アンナが声をかけたとたん、拓也はソファーから倒れ落ちてしまった。どうにか、ベッドに運ばれた拓也であったがすべての神経が眠ってしまった。

 

「さやか、どうしよう、飲ませすぎたみたいよ」アンナは拓也の意識がないのを感じ取った。「確かにね、こんなにお酒に弱いとはね。ここまでやったことだし、作戦実行と行きますか」さやかはバク乳にパンチを入れた。さやかは部屋の外で様子を伺うことにした。アンナは浴衣を脱ぐと拓也にまたがり、「拓也、大丈夫、起きて、和室に戻らなきゃ」アンナは拓也の顔面にバク乳を何度もこすりつけた。

 

拓也の瞼は貝のように閉じて手足も死んだように動かなかった。バク乳で顔を4,5回しばいたがまったく反応がなかった。とうとう、アンナはキレた。目を吊り上げたアンナは拓也のあそこにパンチを食らわした。だが、拓也は微動だにしなかった。拓也は歯を食いしばって痛みに耐えていた。

 

春日信彦
作家:春日信彦
拓也、危機一髪!
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