◆便秘解消方法-食事(食べ物)編-
気持ちの良いお通じは、腸内細菌が深く関係していることがわかっています。
腸内細菌には、大きく分けると、身体に有益な働きをする善玉菌と、体に害を及ぼす悪玉菌があります。
これらの腸内細菌バランスは年齢や環境に応じて変化していきます。
腸内細菌の中で、今最も注目されているのがビフィズス菌です。
ビフィズス菌は善玉菌としては腸内に一番多く住んでいて、腸内全体の菌数の10~20%にあたります。
このビフィズス菌をさらに増やすことによって、便秘の解消(便通の改善)はもちろんのこと、食中毒の予防、免疫力の調整、生活習慣病 の予防まで、たくさんの効果が期待できます。
逆に、ビフィズス菌が減り、悪玉菌が増えてくると、便秘など様々な病気のきっかけとなります。
つまり、便秘を解消するためには、ビフィズス菌をできるだけ増やしてやることが重要になります。
このためには、下の要素を持った食事をすることが大切です。
【便秘解消に必要な食べもの】
①善玉菌(ビフィズス菌)の餌になるもの
オリゴ糖(キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖など) ← 野菜、豆類、乳製品などに含まれる。
②善玉菌(ビフィズス菌)の増殖を助けるもの
納豆菌、乳酸菌 ← 納豆、ヨーグルト、漬物などに含まれる。
③善玉菌(ビフィズス菌)の育つ環境を作るもの
食物繊維 ← 野菜、穀類、海藻、豆類、果物などに含まれる。
便秘解消の食事、ビフィズス菌を増やす食事、生活習慣病を予防する食事、免疫力を高める食事、すべて基本は同じです。
穀物、野菜を中心としたバランスの取れた食事、これは日本の伝統食です。
特に、玄米、緑黄色野菜、イモ類、豆類、海藻、果物、そして納豆、味噌、漬物(京の漬物・すぐき漬など)、ヨーグルトなどの発酵食品を上手に利用しましょう。
現在の私たちの食事は、肉類などのタンパク質や脂質の多いものになっています。
この食生活を変えることが、便秘解消の第一歩です。
また、今までは野菜や果物などの食品から補っていた酵素ですが、加工食品を食べることの多い現代人は体内の酵素量が不足してしまい、消化不良を起こしたり、腸の中に老廃物がたまって便秘になってしまう方などが増えています。
◆食物繊維と便秘
食物繊維が不足すると便秘の原因にまります。
食物繊維は消化吸収されないで大腸に直接送られて、それが便の材料になります。
また、善玉菌のエサになって腸内環境を改善します。
なので食物繊維が不足すると、便の材料が作られずに便秘になってしまいます。
野菜をあまり食べない人の便の量が少ないのはこのためです。
便秘解消のためにも毎日継続して食物繊維をとりましょう。
厚生労働省は「日本人の食事摂取基準で1日に男性が19g以上、女性で17g以上の食物繊維をとることを推奨しています。
食物繊維には水溶性と不溶性のものがあります。
水溶性の食物繊維は腸内の有害物質の濃度を薄くしたり、血糖値の急な上昇を防ぎコレステロールや中性脂肪の吸収を阻害してくれます。
不溶性の食物繊維はコレステロールの代謝をよくし、大腸ガンなどを予防してくれます。
両方とも快適な排便には欠かせない食物繊維なので、食事を工夫して多種類の食物繊維を摂るようにしましょう。
食物繊維の役割が発見されたのは、思ったより最近です。
その効果が注目されだしたのは戦後のことで、それ以前は意外なことに「食べものカス」といわれて、邪魔者扱いされていました。
アフリカにいたイギリス人医師達がアメリカでは成人病が多いのに対し、アフリカでは非常に少ないことを疑問に思い、研究がはじまったと言われています。
研究が進んでいくと、食物繊維には便秘解消や成人病予防に効果があることが判明しそれから注目を浴び、現在に至ります。
便秘に効果的な食物繊維ですが、どのような食品に含まれるのでしょう?
ここでは食物繊維を多く含んだ食品について紹介していきたいと思います。
穀類 |
玄米、胚芽米、そば、麦類、玄米パンなど |
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いも類 |
さつまいも、じゃがいも、山いも、里いもなど |
豆類 |
大豆、納豆、おから、小豆、グリンピースなど |
海藻類 |
ひじき、わかめ、こんぶ、のりなど |
きのこ類 |
しいたけ、えのきだけ、しめじ、なめこなど |
果実類 |
りんご、バナナ、いちご、みかん、すいかなど |
野菜類 |
ごぼう、かぼちゃ、れんこん、たけのこなど |
食物繊維には主に不溶性と水溶性の2種類がありますが、便秘解消には水溶性食物繊維をおすすめします。
便秘の時は腸に便がたまっているにも関わらず、排便できない状態です。
その状態で便を大量につくる不溶性の食物繊維をとると、おなかが張って腹痛を起こすことがあります。
また、便秘になって腸のはたらきが弱ってる時は、硬い不溶性の食物繊維より、こんにゃく・きのこなどの負担の少ない水溶性食物繊維をとる方が好ましいです。
水溶性食物繊維はどのような便秘の状況でも効果を発揮してくれるので、制限のある不溶性食物繊維と比べて非常におすすめです。
◆リンゴ1個は医者要らず
英語のことわざに「リンゴ1個は医者要らず」とあるように、
リンゴに含まれる抗酸化力の強いビタミンCやさまざまなファイトケミカル類(ケルセチン、ミリセチン、ルテイン、フェルラ酸など)には、
ガン・心臓病・脳梗塞の予防、肺機能の促進と、
歯茎の健康保持などの効果があります。
日本人の男性のガンの死因第一位である肺ガンの予防力がお茶よりずっと高いことも知っておいてください。
抗酸化物質は皮に最も多く含まれているため、皮ごと食べましょう!
無農薬のリンゴがベストですが、日本ではなかなか手に入りませんので、普通のリンゴを食べる時には、酢を少量入れた水につけ、タワシでよく洗います。
皮に含まれる食物繊維の効果(血糖値・コレステロール値の降下、便秘予防など)にも絶大です。
私のお奨めは、「朝食を果物にする」ことです。
とくにリンゴを丸ごと食べる、これが便秘には
かなり効果があります。
リンゴには食物繊維が多く含まれていますし、
自らの消化酵素(ファイトケミカル)の働きで、朝の排泄をほとんど
邪魔することなく消化されます。
1971年にカナダのブラウン博士が、
朝はモチリンという消化管ホルモンの分泌が増える事を発見しました。
モチリンの分泌が増えると、腸の蠕動運動が促進されます。
ところが、このモチリンは食事を摂ると分泌量が減ってしまうのです。
だから、モチリンの分泌が増える朝の時間帯は、食事を摂らないのが正しい選択だという事です。
朝は胃腸がまだ充分に覚醒しておらず、そこに食物を詰め込むと、負担が大きくなりすぎて、消化が充分になされない事があります。
太陽が中天に達するまでの時間は老廃物を排出するのに適しているのです。
午前中は主に排泄器官が働く時間で、夜寝ている間は排泄器官も休んでいます。
この排泄しなければならない朝の時間帯に食事を摂ると、自動的に消化吸収が始まり、
胃や小腸に血液が集中するため、毒素や老廃物の排泄が充分行えなくなってしまいます。
飢餓の歴史が長かった人間の生理作用には、吸収は排泄を阻害するという鉄則があり、食べ物が消化器官に入ってくると、自動的に排泄よりも消化吸収を優先させるのです。
その結果、毒素の排泄は充分に行われなくなり、血液中にも毒素が残る事になります。
その汚れた血液が体内を巡る事によって、種々の病気の発症の引き金となるのです。
しかし、果物や生野菜などのはその食品自体が
もっている消化酵素(ファイトケミカル)で、30分から1時間ほどで消化を終えますので、排泄時間を邪魔することはありません。
◆病気になる最も決定的な要因は、果物や野菜を十分に食べていないことである。(ジョエル・ファーマン医学博士の言葉)
この言葉のように、果物や野菜の摂取は不足していると、便秘もそうですが
体調がすぐれない状態になってしまいます。
果物は満たされるまで好きなだけ食べてください。
目安としては1種類の果物2~5個です。
活発に体を動かし消費エネルギーの多い人は、たくさん必要になります。
ただし血糖値に問題のある人は3~4個までにして、たっぷりのレタス、白菜、セロリ、きゅうりなどと一緒に食べるようにしてください。
こうすると、果物の糖代謝をかなりゆっくりさせることができ、血糖値のバランスがさらに保ちやすくなります。
果物は室温で食べてください。
冷蔵庫に保存しておいた果物を出してきて、3個や4個も食べてしまっては、体が冷えてしまうのは当たり前です。
果物は室温で食べてください。
それから、「果物を食べると体が冷える」というのは、私たちが教え込まれ事実無根の神話にすぎないのだということを力説しておきます。