「どうして私の家にりんごを持ってきてくれたの?」
りんごをかじりながらたまごが言いました。
「う、うん。散歩のときにこの家の前を通って、君の庭に咲いているきれいな花を見て、なんて名前なのか聞こうと思ったんだ。」
きなこがそう言うと、たまごは
「そうだったの!あの花の名前は「まつよいぐさ」っていうのよ。
鳥が種を運んできたの。私はずっと庭に素敵な花があったらいいなって考えていたからね。一輪咲いて、あとは
どんどん増えたの。」
「へー、君はとっても運がいいんだね。どうしてそんなに運がいいの?」
「運じゃないよ。簡単な魔法。本当に真剣の気持ちで願ったからよ。」
たまごが言いました。
「そんなことあるわけないよ!考えたくらいでなるわけない。」
きなこが言うと
「ほんとよ。考えたのよ。だから今こうして私とあなたはお茶を飲んでるでしょ?私はあなたとずっと友達になりたいって考えてたの。」
たまごはそう言うと席を立ち、小さな小瓶をきなこに渡しました。
「これ、あげる。」
それはきなこが欲しいと思っていた、あのきれいな花の種でした。
キラキラ咲いた「まつよいぐさ」の花。
君たちのいるところから一番近くて一番遠いところに、
きれいな黄色い花の咲き乱れる赤い屋根と青い屋根の家がありました。
まつよいぐさ 花言葉は 「魔法」