脳に良い食べ物

はじめに( 1 / 1 )

はじめに

  脳を機能させるためにはまず5大栄養素(炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル)が必須となるが、脳の機能を最大限に引き出すためにはそれだけでは不十分である。本書では、脳の機能を高めるとされている栄養素について紹介していく。できるだけ科学的な研究成果の出ているものを取り上げていく。

 

  脳の機能とはなにか。最初に思い浮かぶのは、記憶力や計算力といった学習に関することだと思うが、脳というものは体すべてを統括するもので、その機能とは感覚情報の処理や運動の指令、ホルモンや自律神経の調節といったところまで及ぶ。となると、脳機能を高めるということは、これらの機能も高めるということにつながる。

 

  食品で脳の機能が高まるのか?という疑問を持つ方もおられるかもしれないが、正確には脳に足りてない栄養素を補充してやることで脳の本来の働きを引き出そうというものである。現在の「日本人の食事摂取基準」というものは、体が健全に育つため、維持されるための栄養素摂取目標値であり、脳の機能に関してはほとんど考慮されていない。実際、ビタミンを補給しただけで学業成績がよくなるという研究結果もあることから、栄養素摂取基準値を満たしたからといって脳に十分な栄養素が供給されているとは言えないのである。

  摂取することで脳の機能に良い影響を与える栄養素は、脳が求めている栄養素であるといえる。現段階では、どの栄養素がどの発達段階でどれだけ必要かは明らかにはなっていない。今後の研究が求められる分野である。

 

  本書で紹介するのは栄養素であって、薬品ではない。よって、すぐ体感できるような劇的な変化は得られない。しかし、継続していくことで、脳の機能を高め続けるとともに、脳の若さを維持することができる。10年、20年後には大きな差となって現れてくるだろう。

 

  本書で紹介する食品を心がけて食べるようにしてほしい。一緒に健脳生活を始めましょう!

健脳食品( 1 / 11 )

卵 ~若い脳の維持に~

  卵にはレシチンやコリン(レシチンとはリン脂質の総称で、コリンもレシチンに含まれる)といった生きていくために不可欠な栄養素が豊富に含まれている。レシチンは細胞膜などの生体膜の主要構成成分で、当然脳の神経細胞などの細胞の膜の主要構成成分である。レシチンの不足は、疲労、免疫力低下、不眠、動脈硬化、糖尿病、悪玉コレステロールの沈着など多くの症状の原因となる。

 

  コリンは神経伝達物質の一つであるアセチルコリンの原料となる栄養素である。アセチルコリンは副交感神経の伝達物質であるばかりでなく、記憶や認知にも関わる重要な物質で、これが不足すると自律神経の失調や、脳力の低下などが起こる。

 

  レシチンやコリンを豊富に含むことから、卵を食べることは、脳だけでなく体の若さを維持することにつながる。

 

  卵の摂取が認知症の予防につながるという報告もあることから、毎日1個は食べたいものである。

健脳食品( 2 / 11 )

青魚 ~話題のDHAを豊富に含む食材~

  動物の脂は常温では固まっているのに大して、植物の油は常温でも液状である。これは脂肪酸の飽和度の違いによるもので、飽和脂肪酸は融点が高く、不飽和脂肪酸の融点は低い。青魚にはω-3系脂肪酸という不飽和脂肪酸群が多く含まれており、その中にDHAやEPAが含まれる。

 

  DHAも細胞膜に多く含まれ、細胞膜の柔軟性を維持するのに役だっている。DHAを十分摂ることで、細胞間の情報伝達や、神経細胞の成長が維持される。また、DHAにはうつを抑制する働きもあることが報告されている。健全な脳機能の維持のために是非摂りたい栄養素である。

 

  また、ω-3系脂肪酸は血液をサラサラにし、循環器系(心臓や血管)の疾病を予防する働きも持っている。厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2010年版)」でエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)については1日に合計で1g以上の摂取が望ましいとしている。

 

  DHA含量の高い魚は、サバ、さんま、イワシ、鮭で、缶詰でもDHAが変質するということはないようだ。ただ、酸化しやすいものなので空気と長い時間接触すると変質してしまう。また、油で揚げると油に溶け出してしまう。

おそらく毎日1gのDHA、EPAを魚で摂るのは難しいのでサプリメントがおすすめです!

健脳食品( 3 / 11 )

シソ油、亜麻仁油、エゴマ油 ~豊富なω-3系脂肪酸~

  シソ油、亜麻仁油、エゴマ油には豊富にω-3系脂肪酸(主にα-リノレン酸)が含まれる。その他の植物油にはリノール酸を代表とするω-6系脂肪酸が多く含まれるが、このω-6系脂肪酸から作られる生理活性物質には血栓を作る働きがあり、過剰なω-6系脂肪酸の摂取は循環器系の病気のリスクを増大させる。血管の詰まりは当然脳への悪影響を及ぼす。脳梗塞はその最も悪い結果である。

 

  最近の栄養学では、ω-3系とω-6系の摂取バランスが重要であるとしており、1:1~1:3くらいが理想であるとしてる。しかし、最近の我々の食生活では、植物油による揚げ物などが増えてきており、ω-6系の摂取量が過剰傾向となっている。意識してω-3系脂肪酸を摂取するようにしよう。

 

  ω-3系脂肪酸を多く含む食品は、他に緑黄色野菜、海藻(乾燥していないもの)、青魚などがある。

 

  揚げ物は極力控え、ドレッシングなどにシソ油などを使ってみてはどうだろうか。加熱するとω-3系脂肪酸が酸化されてしまうおそれがある。


まさお
作家:大前伍長
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