江戸川日記

日常2( 1 / 5 )

八月三十一日 晴れ

いつものように散歩に出る。最近、身体が重い。脈も、呼吸も乱れてきたので途中で引き返すが、横になったら、しばらく立ち上がれそうもないので、子猫ちゃんたちのエサを持って公園へ向かう。夏の終わり、蝉の声も随分と寂しくなった。

日常2( 2 / 5 )

閑かさや岩にしみいる蝉の声
閑かさや空にしみいる蝉の声
閑かさや水にしみいる蝉の声
閑かさや土にしみいる蝉の声
閑かさや命にしみいる蝉の声

蝉の死骸で遊ぶ子猫ちゃんたち。芭蕉の生きていた時代と同じように、いまの東京もまた自然の摂理の中にあることを実感する。

日常2( 3 / 5 )

僕は源さんの影響からなのか、孤独感からなのか、アパートの近くの子猫たちにエサをあげるようになっていた。1週間前にその中の1匹が車に轢かれて死んだ。あの時の何とも言えない気持ち。子猫から貰ったあたたかさ。深く係わっていなければ、こんな気持ちにならなかった、という思い。意味も無く猫を殺す人間文明と、そこに所属している自分への怒りと嫌悪感。なぜ死ななければならなかったのか、なぜ一瞬で・・・。

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