江戸川日記

兆候( 4 / 8 )

六月二十八日 晴れ

ここ最近、脈が乱れている。

兆候( 5 / 8 )

七月十二日 曇り

いよいよ堤防が決壊する時がやって来たのだろうか?長年連れ添った相棒だけあって、酒で誤魔化そうとしても身体は正直だ。残された時間を何に使おうか?

兆候( 6 / 8 )

「人の一生なんて打ち上げ花火のようなもんだろうな。いままで何十万発もの花火を見てきたけど、毎年、夏になるとそう思うよ。花火が打ち上がり続けている間の高揚感と、終わった後の何とも言えない感じ。子供の頃は命を感じてたんだけど、最近は死を感じちゃう。俺も年を取り過ぎたからかもしれないけど、一発、一発の花火が亡くなった人たちに見えちゃうんだよね。人は死ぬ瞬間に、人生を走馬灯のように思い出す、なんて言うけど、俺はいまゆっくりと人生を思い出しているのかな・・・」

兆候( 7 / 8 )

夜を彩る打ち上げ花火。人は一瞬の中に、永遠と無常の夢を見る。

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江戸川日記
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