シンシア -秘宝城-

 一つ一つ丁寧に並べていた。 色々な色の物を置いて、小さい物から、大きい物まで、多種多様な模様を描いて、細工をしてゲームを楽しんでいた。

 体の成長とは、異なり、少し知恵の遅れた争う事を嫌う温厚な子供ゾンビだった。 まだ、時たま立ったり、よちよちと歩いたりしたりする位のレベルの子だった。

 そして中央には、目を引く高く積まれた煌々と輝く宝の山があった。
 スーと開いた自動ドアから、サバイバルルックの永峰美咲が入って来た。
 男勝りのトレジャーハンターらしく顔つきが厳しく、体つきが筋肉質でたくましかった。

 直ぐにドアが閉まる。
 宝の山を見た。 そして冷静に宝の前の 子供ゾンビや周りを観察した。 そしてドミノを崩して宝の山に向かって、分析、直ぐ様 色々な財宝をリックに担がれる限りに入れて閉じた。
 
「ハ~ハッ、ハ~、アハハハハ~、私のお金、私が勝ち組、これで億万長者ね~、世界は、私を中心に回っているのよ」

 急いで入口に向かおうとした。
「バイバ~イ、おチビちゃん」
 手で可愛くサヨナラをした。
「アッ、イッタ~イッ!?」 屈みこんだ。
 右足の親指根元が切れて血が出ていた。

 カタカタカタッ、変な音がして左のかかとが切られ、 美咲は、倒れた。
「イッタ~イ、痛いよ!?」
 ふと子供ゾンビを見たら、おいでおいでをしてヨチヨチと歩み寄って来ていた。
「ガ~オッ、ガオッ」
 血や肉を求める猛獣顔に成っていた。

 そして次の瞬間 驚いた。ガキが醜い顔が憎々しく笑っていた。 
 また次の瞬間に左手をわずかに上げて人差し指を動かした時にも驚かされた。 床から、大小様々な刃物がドミノのように出ては、指や足を切り、消えたからだった。

 ふと感じ取ってしまった。
(両足を切られ、逃げられない・・・人間は、重力で下に接している・・・勝ち目がない・・・ガキに食べられる)

 ドミノを作っては、人差し指を動かして距離を縮めていった。  床からの大小様々な色彩の刃物が美咲に襲い掛かり、体を刻みに刻んでいく。

「ア~アっ・・・た・ス・け・テ~・・・神・様・・・命だけは!?」
 命乞いをしてもガキは、エサを諦めなかった。
  ガッチリと肉を掴み、離さないで、そして、牙をむき、むさぼり喰っていく。

 デリントン 青沼は、ストレス発散の為にも痛み止めの為にも、トラッブゲームがしたく成ってきていた~。  ふへへへへ~。
  また、やりたく、やりたく~成った~。
  ふっ。 (エサをまくか~)

「つまらね~、何か儲かる事をないかな~・・・・・・!?」
  お酒を呑み切り、ガラスビンをストレス発散がてらにコンクリートの壁に思いっ切り投げて割った。 ガシャーン・・・。
  タバコを口に持っていき、吸い込む・・・。 吹き出す、煙が小宇宙が宙を舞う・・・・・・。

  住み慣れたマンションのドアの鍵を開け、中に入った。 鍵を掛ける。 ホッとひと安心する時でもあった。180 度転換して部屋への一歩を踏み出そうとした。「えらばれた」
「えっ、!?・・・・・・何なんだ!?」
  辺りを見渡して確認をする。
 
 座り心地のいい長い座椅子にドサッと座り込んだ。
「いつも平凡な毎日だよな~、何かドキドキ、ハラハラするような事を起こらないかな~・・・・・・」
  薄暗い所や危険領域に足を踏み込んで冒険してみたく成る。

「何かスリリングな事ないかな~、また~・・・・・・」
  アルコールや妄想や幻覚に酔っていて過去の事や予想する未来や夢が繰り返される脳の中で何者かに誘われた。
「来いよ~・・・・・・!?」
「ゲームしようぜ・・・・・・!?」

  いつからか大きめのハエが、部屋を回り始めた。
  気に成り、目で追って行く・・・・・・。
  酔っているのか!? 音だけは、するが、目で追えなく成ってきていた。
  気がつくと後ろでハエが騒いでいる感じがした。

  戸が少し開いていた。
  扉をしめようと戸に手を掛けて閉めようとした。
  その瞬間に多くのハエが止まったタダレた手に手を掴まれた。
「ツ~カマエタ!? ゲームをしようぜ・・・・・・!?」
  かん高い声がビックリ!?しているデリントン 青沼に聞こえた。
  その直後、異世界に飛ばされて行った。

  世界最強のトレジャーハンターと言われるベニー クーガ ショーが異世界へ飛ばされ、宝を掴み、リックに背負って、あとは、扉の向こう、そう元の世界に戻るだけと長い石畳を余裕で歩いていた。

  薄暗い四隅から、元気のない、弱々しいようなゾンビが、こそこそと足取り重くゆっくりと出て来た。
「来いよ~、化け物~、ハ~、来いよ~」
  一瞬にして剣を手に持って闘う気 満々の姿勢に成った。
 体全体から、闘士がみなぎり出る。

  日本の侍みたいにゾンビの体をズバズバと切り落としていった。
  ゾンビが石畳の上でジタバタしていた。
  ベニーは、戦意を喪失させられた。
「ワリーワリー、私の敗けだ!?」
  両手を軽く開いて微笑んでいた。

  頑丈そうな鉄扉を思い切り、引っ張って難無く開けた。
  そこには、元の世界の自然の山々や木々や滝の音や鳥のさえずりがあった。
「フッ、やったぜっ」

  達成感が出たのもつかの間 行きなり、背中を引っ張られてゾンビと戦った部屋に戻された。
「ソンナ カンタンナ モノジャ ナイダロ!?・・・」
  低い声がして扉が閉まった。

  扉が付いた面の壁が下がる。
  そこには、高い天井までぎっしりとつめられた、切り刻まれたゾンビ達がいた。
  壁面のガラス!?がズルズル~と異様な音を立てて上に上がっていく。

  汚ならしいゾンビの雪崩がベニーを襲った。
  必死に戦い、暴れ、逃げるベニー。
  しかし、ゾンビ群は、竜巻のように立ち上がり、ベニーを何回も襲いまくった。

  次第に傷を負いながら、引きずり込まれていく。
「モウ イイデショ スナオニ ツカマリナサイヨ イイオモイヲ シタンダカラサ  ヒトバシラニ キョウリョククダサイ!?・・・・・・」
  黒い物体が近付いて来て「ブアァァァ~オォ~」×2   と熊のようなビックリする大声を出してベニーを驚かせて動きを止め、ゾンビ達に掴まえられ、飲み込まれて行った。

  下から、硬い石レンガの柱に成っていく。
「テマ カケヤガッテ」
  翼を広げて飛んだ黒い悪魔が、二足で歩く人間!?に変身して石畳を歩いて扉を出て行った。

 控え室!?(牢獄)、ゾンビは、みんな この時間は、住みかを徘徊(パトロール中!?)していて怪物達は、少なかった。
 部屋の天井付近には、六ヶ所の球形蛍光灯があり、それを置く長い円柱の柱も六つ室内には、あった。

 そして、中央のやや小高い所には、池があり、中には、目を奪われそうな位の金光りした宝の山々が無造作に広げられて置かれていた。
 
  デリントン 青沼は、丁度 宝の山とゾンビの間辺りにキョトンと状況が、つまめないといった感じで歩み出て来た。
  全くゾンビには、解ってないといった状況だった。  ふとゾンビを見て足音を立てないように静かに歩き始め、背を低くし、壁際に寄る。

  ゾンビを観察し、辺りを観察し、鉄の棒を手に入れた。
 こいつらには、勝てると思ったのだろう。 宝の山に行き、ジャンパーやズボンの全てのポケットに、そして宝をつめられる物に財宝を入れていった。

  地面に水が溢れ出る、柱の壁が静かに下がる、球形のガラスが下がる、少しずつ中央から電熱バネが赤く成っていく。
  ホタル!?みたいな虫が動き出す。

  財宝をつめ、これから逃げようと思っていた頃 既に四匹のゾンビが宝の山に近付いて来ていた。
  間合いがつまっていく、そして逃げ場を失った六匹のホタルが飛んだ。
 ・・・・・・次に天井のスプリンクラーが動いた・・・・・・。

  電気が室内を駆け巡る。
  ・・・・・・ホタルが死んだものの青沼もゾンビもクラクラとしながらも中腰に成って立っていた・・・・・・。
  ・・・・・・ひそかに動いた・・・・・・ズ・ズ・ズ・ズ・・・ズーピ~・・・・・・キ~・・・pi~・・・・・・!?
  電柱内部の円柱変圧器が立て続けに三つ落ちた。
  電線を引っ張る。

  散水や床の水によって部屋中が光り、火花を散らし続けた。
  デリントン 青沼は、うつ伏せで水中で十字を描いて死んでいた。
  長い時間が立った。
  水中からあぶくが上がる。
  手で地面を押す、水面から顔を出す、立ち上がる。  そして浮いた!?、羽ばたく!?、暗い牢獄の中で慣れない体を使っているせいか、体のそこかしこで火花!?が散っていた。
  特別悪魔の誕生だった。  さまざな色のイルミネーションを点滅させながら、黒い闇の中に溶け込んで消えていく・・・・・・。

迷 彩映 (mei saiei・メイ サイエイ)
作家:MONALI PADORA
シンシア -秘宝城-
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