~勇者が行く~(1)

本編( 1 / 11 )

第一章

第一章

 

1:誕生〔0歳:LEVEL1〕
親父がRPG好きだっつーだけの理由で、「勇者」と名づけられた。それ役職だよ!

旅立つまでにコイツを殺す。そう誓った産湯の中。

勇者は〔殺意〕を覚えた。

 

〔殺意(さつい)〕
勇者:LEVEL1の魔法。(消費MP0)
恨みつらみのこもった魔法。使うと親父の顔が脳裏をよぎる。ただそれだけ。
 

 

2:確信〔0歳:LEVEL1〕
母乳の代わりに「聖水」という親父の育児方針は、絶対間違ってる。

聖水がペットボトルで売ってるのは、もっと間違ってる。(絶対ニセモノ)

勇者は栄養が足りない。

 

3:衝撃〔1歳:LEVEL1〕
生まれてから一年が経過した。だが、母乳も飲まずに育ったのでどうにも貧弱だ。
仕方なく俺は、できうる限りのボディーランゲージを駆使して親父に訴えてみた。
するとなぜか理解したらしい親父。こいつ…タダモノじゃねぇ!
父「なぁ母さん。たまには勇者に母乳飲ませてやってもいいかもな。」
母「えぇ~?でもアタシ母乳なんて出ないしぃ~。」

旅の目的に「実母探し」が加わった。

 

4:無駄〔1歳:LEVEL1〕
未来に待ち受ける冒険に新たな目標が生まれた俺。
それにしても迂闊だった。なぜ母親がすりかわったことに気づかなかったのだろう。

いや、現時点の知能の方がおかしいのかもしれない…でちゅ。

勇者は語尾で「赤ちゃんらしさ」をアピールした。
だが今さら無理があった。

 

5:驚愕〔1歳:LEVEL1〕
父「おぉ勇者よ、だいぶ大きくなったな!いいぞいいぞー!」
俺はもうじき2歳になる。そりゃ多少はデカくもなるさ。そんなにはしゃぐなよ親父。
父「あとは魔王さえ…いればなぁ…。」

え゛、いないの!?

勇者は「自分の存在意義」を見失った。

 

6:苦悩〔1歳:LEVEL1〕
親父が召喚魔術の勉強をし始めた。

魔王を呼び出す前に殺すべきかもしれない。

勇者は悩んでいる。

 

7:日記〔2歳:LEVEL1〕
偶然親父の日記を発見。悪いとは思いながらも少し読んでしまった。
日記『勇者が2歳になった。今後の成長も楽しみで仕方が無い。最愛の息子だ。』
親父…なにげに俺の健やかな成長を真剣に願ってくれてるんだな…。
日記『関白でもいい。慎ましく育って欲しい。』

親父、関白ってちっとも慎ましくないよ…。

2歳で読める勇者もおかしい。

 

8:発言〔2歳:LEVEL1〕
俺ももう2歳だ。ぼちぼち言葉くらい発してもいいのかもしれない。
ホントは生後まもなく話せるようにはなった(気がする)のだが、まだ喋っていない。
未来の「勇者」として(今も勇者だが)、恥ずかしくない発言にすべきだと思うからだ。
いつか聞かれるかもしれない。それならば歴史に残るような第一声がいい。

ニュース「みなさんこんばんは。」
勇者「こんばん…ハッ!」

勇者はやってもうた。

 

9:家族〔3歳:LEVEL1〕
あっという間に3歳になった。俺は犬か!てな勢い。いやむしろそれ以上の早さだ。
するとその誕生日、親父が大きな包みを持ってきた。どうやらプレゼントらしい。
なにやら中でゴソゴソいっているので、ペットの類なのかもしれない。楽しみだ。
怪物「…ポピュ?」
勇者「!!」
怪物「ティペポピュ。ペポ。」

い、いらねぇ!!

親父は召喚魔術を習得した。

 

10:家族〔3歳:LEVEL1〕
親父からの誕生日プレゼントは、ペットではなく怪物だった。
あの野郎、知らぬ間に召喚魔術を習得していたらしい。なんて早さだ。
怪物「ピパポプー!プー!」
勇者「…おい親父、一体どこから何を呼んだ!?」
父「コイツは不死鳥のように舞い、竜の如き力をもつ最強の召喚魔獣」
勇者「なっ…マジか親父!?そいつは心強ぇ!ナイスな相方をありがとう!」
父「…だったらいいなと思ってる。」
勇者「くたばれっ!!」
コイツじゃ話にならん。そう思った俺は「魔獣図鑑」で調べてみることにした。
いつか共に旅立つだろう仲間だ、ちゃんとした名前で呼んでやるべきだろう。

図鑑『学名:チョメチョメ』

うわー!呼びたくねー!!

「チョメ太郎(親父命名)」が仲間に加わった。

 

11:友好〔3歳:LEVEL1〕
なんとも呼びづらい名前を付けられた我がペット。なぜか妙に恥ずかしく感じる。
だがまぁ今後強く育つことを期待して、とりあえず友好を深めておくことにした。
勇者「なぁお前、なんか得意技とかあるのか?」
チョメ「プティペポプ。ペポプ。」
勇者「じゃあ好きな食べ物は?」
チョメ「チュピポ。」
勇者「趣味は?」
チョメ「パプーピポー!」

あっはっは。まったくわかんねー。

勇者はタラオにはなれない。

 

12:微妙〔4歳:LEVEL1〕
4歳になった俺は、この春から学校に行かされることになった。
来たるべき出陣の日に向け、できたらここで仲間の一人二人は見つけたいものだ。
すると早速話の合いそうな奴と知り合い、冒険談議に華を咲かせることができた。
少年「僕はいつか「賢者」になりたいんだー☆」
勇者「お、いいねぇ賢者!是非とも欲しい面子だよ!」
少年「うん。だから勇者君、旅立つ時は絶対僕も連れてってね!」
勇者「おうよ! あ、ところでお前…名前は?」

少年「賢二。」

残念ながら「ゃ」が足りない。

 

13:入学〔4歳:LEVEL1〕
そして入学式が始まった。

校長「みなさん入学おめでとう。早速みなさんには殺し合いをしてもらいます。」

勇者は悪の巣窟に迷い込んだ。

 

14:翌日〔4歳:LEVEL1〕
ウチの学校には「冒険科」というクラスがある。
魔王こそいないものの、悪さをする魔獣などは少なからず存在するからだ。
というわけで俺はその科に志願した。「勇者」として、冒険への知識は欠かせない。
教師「みなさん冒険科へようこそ。早速みなさんには殺し合いをしてもらいます。」
勇者「そればっかりかよ!」
教師「フフフ、冗談ですよ。(武器を配りながら)」

そういえば賢二を見かけない。

 

15:安心〔4歳:LEVEL1〕
タチの悪いブラックジョークから始まった俺の学園生活。
ジョークで良かったがブラックすぎだ。4歳児には刺激が強すぎる。
しばらくは皆ビクビクしていたが、一週間もするとだいぶ慣れたようだった。一安心。

だが何故か賢二を見かけない。

 

16:不覚〔4歳:LEVEL1〕
入学から一ヶ月。学園生活にも随分慣れ、友達と呼べるような奴も少しはできた。
勇者「おいコソドロ…じゃなくて、何だっけ?」
盗子「盗子(とうこ)だってば!いい加減覚えて!将来立派な盗賊になる女だよ!」
勇者「盗賊に立派もクソもあるかよ。死ね。」
盗子「ムッキィー!もう怒った!まずはアンタのハートから盗んでやるー!」
勇者「無理。」
盗子「キッパリ言われたー!」
勇者「ブサイクだし。」
盗子「バッサリ斬られたー!」

歯に衣を装備しますか?


はい
いいえ

 

17:出遅〔4歳:LEVEL1〕
隣のクラスに俺好みの可愛い子がいる。
だが俺は「勇者」…将来はどこぞの姫君と結ばれるというのは、もはや暗黙の了解。
たかだか町民風情に熱をあげるわけにはいかない。そこが「勇者」の辛いところだ。

少女「よろしくね勇者君、私は「姫」っていうの。」

アリ…かな。

勇者は〔妥協〕を覚えた。

 

〔妥協(だきょう)〕
勇者:LEVEL1の魔法。(消費MP1)
こだわりをある程度緩和。野菜炒めが多少しょっぱくても我慢できる。
 

 

18:雑魚〔4歳:LEVEL1〕
二つ隣のクラスは「村人科」。みな毎日同じセリフを黙々と復唱している。
俺が思うに村の名前なんて「看板」でいいじゃねーか。くだらん科だぜまったく。
それに比べてウチは実用的だからな。レベルが違うよレベルが。雑魚どもめが!

教師「えー。それでは今日は、ヒーローらしい登場ポーズをレクチャーします。」

くだらん科だぜ…まったく…。

その割に勇者のポーズはキマっている。

 

19:遠足〔4歳:LEVEL1〕
明日は遠足がある。なんだか初めての4歳児らしい行事といった感じだ。
ドキドキ感とワクワク感、そしてわずかなイヤな予感が入り混じる。
教師「えー。今度行く島には「ゴップリンの洞窟」という洞窟がありとても危険です。」
勇者「オイオイ、そんな危険な場所に遠足行くのかよ。」
教師「ですからみなさん、くれぐれも道に迷わないように!」
生徒「は、はーい。」

教師「狙うはゴップリンの首です。」
生徒「…え゛。」

イヤな予感しかしない。

 

20:前日〔4歳:LEVEL1〕
打倒魔人ゴップリン。ここで手柄をあげれば早くも勇者として名を残せる。
命は惜しい。だが胸の奥から込み上げてくる熱い何かが俺を突き動かす。
今夜は眠れそうにない。

勇者「この熱い胸の高鳴り…やはり俺は勇者だ!」

勇者は風邪で遠足を休んだ。

 

21:傷跡〔4歳:LEVEL1〕
不覚にも病欠してしまった遠足の翌日、クラス内は重苦しい空気に包まれていた。
いつもはやかましい盗子でさえ、今日は死んだ魚のような目をしている。生臭い。
いくつか花瓶を乗せた机もあったが、予想の範囲内なので特に驚くのはヤメておく。

そんな地獄のような遠足は、来年もまた春にやってくる。

勇者は「秋の遠足」の存在を知らない。

 

22:間違〔4歳:LEVEL1〕
遠足で人数が減ってしまったため、三つあった冒険科は二つに統合された。
そのおかげで俺は、愛しの姫君と同じクラスになることができたのだ。
勇者「よ、よう!姫…ちゃん。」
姫「あ、こんにちは忍者君。」
勇者「え゛。」
姫「…ん? あ!ごめんね、間違えちゃった。 そうだよね違うよね。」
勇者「あ、あはは。頼むぜオイ…あははは。」
姫「まだ「おはよう」の時間だったね。」
勇者「え゛。」
姫「おはよう亡者君。」

姫はさりげなく二度間違えた。

 

23:職業〔4歳:LEVEL1〕
冒険科の中には俺以外にも「勇者」を目指す輩は存在する。
だがみんな「剣士」や「魔法士」等を極めて「勇者」と呼ばれようとしているのだ。
この腑抜けどもめ…「職業:勇者」を名乗る度胸も無いような奴は死ねばいい。
少年「えっと、キミが「勇者」希望の勇者君?」
勇者「ん?そうだが貴様は?」
少年「実は僕もそうなんだ。お互い勇者目指して頑張っていこうね!」
勇者「おお、そうなのか!んじゃライバルだな、よろしくな!」

とりあえず、邪魔者は消すことにしている。

勇者のキャラは「魔王」向きだ。

 

24:宿題〔4歳:LEVEL1〕
明日から夏休み。 「一人一体魔物を狩ってこい」という無茶な宿題を出された。
そのため旅にでも出ようかと考えていた時、クラスの3バカどもが話し掛けてきた。
少年A「ねぇ勇者君、明日キミんちにお邪魔してもいいかなぁ?」
勇者「あん?貴様らとそれほど仲良かった覚えは無いが?」
少年B「宿題についてキミからの貴重なアドバイスを聞きたいんだ。」
少年C「俺達、できるだけ長い旅とかせずに済ませたいんだよ。」
少年A「だからキミの家で、「勇者」としての意見をじっくりと聞かせてほしいんだ。」

フッ、やれやれ…人気者はこれだから困る。

彼らの狙いはチョメ太郎だ。

 

25:不安〔4歳:LEVEL1〕
3バカトリオがやってきた一昨日の「勇者独演会」は、まんざらでもないものだった。
だが一転して昨日は不安な気分。なぜならチョメ太郎が初めて食事を残したからだ。
体調でも悪いのではと少し心配したのだが、今日は元通りよく食ったので一安心。

一体原因は何だったのだろう…。

あの日以来3バカを見かけない。

 

26:忘却〔4歳:LEVEL1〕
俺の学校には隠された謎の部屋がある。入学初日に偶然見つけてしまったのだ。
何があるのかは知らんが、「番獣」がいたことを考えると多分ヤバいものなのだろう。
勇者「…ん?番獣…?」

勇者はひらめいた。(電球)

プルルルル…ガチャ(電話)
盗子「ハイもしもし盗子だよー。 …勇者?何の用さ?」
勇者「宿題のターゲットが決まった、お前も手伝え。実はな…」

盗子「…はぁ!?イヤだよアタシ!そんな番獣なんかに勝てるわけないじゃん!」
勇者「心配するな。万一の時は囮でも残してズラかれば平気だから。」
盗子「そんなのわかんないじゃん!囮とか通じなかったらどうすんのさ!?」
勇者「大丈夫、以前もそれで逃げたことあるん…ハッ!!」

だから賢二を見かけない。

 

27:突入〔4歳:LEVEL1〕
翌日、俺と盗子は番獣を倒すため秘密の部屋の前に来ていた。
盗子「こ、この部屋にその賢二って子を置き去りにしてきたの…?」
勇者「置き去りじゃない!囮だ!」
盗子「なお悪いし!キレるのおかしいし!」
勇者「待ってろよ賢二!いま助けてやるからなー!」

勇者は「除霊グッズ」を装備している。

 

28:番獣〔4歳:LEVEL1〕
扉を開けた先にはやはりあの時の番獣がいた。まるで壁のようにクソでかい。
番獣「ガルルルルル!!」
盗子「こ、コイツってまさか…「ペルペロス」!?」
勇者「む!?盗子、知ってるのか!?」

〔ペルペロス〕
巨犬タイプの高レベル召喚獣。
ぶっちゃけ今の勇者の手に負える相手ではない。

盗子「だ、ダメだよ勇者…勝てっこないよ!逃げようよー!」
勇者「くっ、こうなったらやはり「あの魔法」を…。いや、しかしうまくいくかどうか…。」
盗子「えっ!何かいい手があるの!?なら使って!何でもいいから早く使ってよ!」

勇者「お手!」
盗子「アホかーーー!!」

番獣「バウ。」
盗子「やるのかよ!!」

勇者「伏せ!」
番獣「バウ。」
勇者「おかわり!」
番獣「バウバウ。」
勇者「賢二!」
賢二「こんにちは…。」
勇&盗「出たぁーーー!!」

賢二は生きていた。

 

29:感謝〔4歳:LEVEL1〕
ペルペロスは意外にも大人しく、どうやら奥に進もうとする奴以外は襲わないようだ。
というわけで賢二も生きていた。おかげで除霊グッズが無駄に…。やれやれだ。
賢二「酷いよ勇者君!僕を置き去りにするなんて!」
勇者「置き去りじゃない!囮だ!」
盗子「だからそこはキレるとこじゃないから!」
賢二「僕が今日までどんな思いで生きてきたか…君にはわかる?ううう…。」
勇者「賢二…「ありがとうございます」は?」
賢二「…へ?」
勇者「助けに来てやったんだ。礼を言うのが当たり前だろ?」
賢二「な、何を言ってるんだよ!元はといえば勇者君のせいじゃないか!」
勇者「俺は命の恩人だ。礼は?」

賢二「あ…ありがとうございます。」

勇者は誰にも屈しない。

 

30:策略〔4歳:LEVEL1〕
なんとか賢二を丸め込んだ俺。こんな奴の下手に出てやる気は毛頭無い。
賢二「な、何はともあれ…ありがとう勇者君!これでやっと家に帰れるよ!」
勇者「…いや、そりゃ無理だ。お前の帰る家はもうない。」
盗子「なんかアンタは死んだと思って、親はショックで引っ越しちゃったらしいよ。」
賢二「えぇぇ、そんなぁぁ…!じゃあ僕はこれからどうすればいいんだよぅ…ううう。」
勇者「安心しろ、賢二。俺に任せろ!」
賢二「ゆ、勇者君…。」

勇者の目は怪しく光っている。

勇者「実は俺が経営していた「宿屋」があるんだが…。」
賢二「え゛!まだ4歳なのに!?」
勇者「旅立ちには金がいるだろうからな。今は休業中だが1歳の頃に始めたんだ。」
賢二「え゛!さらに若い頃に!?」
勇者「そこをお前に任せる。分け前は「8:2」でいい。俺からのせめてもの償いだ。」
賢二「そ、そんなに…。 勇者君、キミって人はなんていい人なんだ…!」

もちろん勇者が「8」だ。

 

31:仲間〔4歳:LEVEL1〕
結局ペルペロスを倒せなかった俺は、未だ宿題に悩まされているという状況。
どうやらついに旅立つべき時を迎えたようだ。 しかし、やはり一人で向かうには…。
とりあえず盗子、賢二、チョメ太郎以外にもあと一人くらいは仲間(奴隷)が欲しい。
そんなことを考えながら俺は、旅立つ旨を伝えるために親父のもとへと向かった。
勇者「おいクソ親父、俺は旅に…」
怪物「ギャース!」
勇者「!!!」
怪物「ギャーース!!」
勇者「…オイ親父、テメェまさか…まだ「魔王召喚」とか企んでんじゃねーだろな?」
父「テヘヘ☆」
勇者「照れるとこじゃねーよ! …ん?あ、そうだ!コイツも俺にくれないか親父?」
父「ああ、もちろんだ。旅立ちの際にはきっと、力になってくれるだろうさ。」
勇者「サンキュ☆」


ザシュッ!(斬)

宿題は片付いた。

 

32:同一〔4歳:LEVEL1〕
特に冒険もしないまま夏休みは終わりを告げ、学校が始まる時期となった。
また若干級友が減っていたが、無理もないので驚いたりはしない。
あー、そういえば…新学期には早々に「あの行事」があると盗子が言ってたなぁ…。
教師「明日は遠足です。ちなみに目的地は春と同じ島になります。」
勇者「…オイ、また懲りずに「打倒ゴップリン」とかぬかす気じゃねーだろうなコラ?」
教師「いいえ、同じ轍は踏みません。それがあの子達の望みでもあるでしょうし…。」
生徒(ホッ…よかった…。)

教師「目的は「カタキ討ち」です。」

やることは同じだ。

 

33:準備〔4歳:LEVEL1〕
明日は地獄の遠足。だが俺は前回休んだのでよくは知らない。
何も知らぬまま敵地に乗り込むというのもなんだか不安だ。少し調べる必要がある。
ということで俺は、敵についての詳しい情報を聞くため教師の部屋へと向かった。
ガラガラガラ…(扉)
勇者「おいクソ先公、ちょっと聞き…」
教師「…ふぅ~。あと3つ…いや、5つは必要ですねぇ…。」
勇者「・・・・・・・・。」

教師は花瓶作りに忙しい。

 

34:出陣〔4歳:LEVEL1〕
夜は明け、遠足当日。 生きて帰れるかわからない旅に俺は出る。
父「準備はできたか?集合場所まで獣車(じゅうしゃ)で送ってくぞ。」
勇者「む?怪しいな…。今まで車出してくれたことなんて一度もねーのに。」
父「そりゃあ私もついて…バッ、バッキャロー!何が怪しいだ失敬な!」
勇者「まさか…ついてくる気じゃねぇだろうなこの野郎?」
父「バカ!可愛い息子が遠足前に疲れたら可哀想だからに決まってるだろうが!」
勇者「そ、そうか…。すまん、考え過ぎた。 んじゃ頼むわ。」

親父の愛車は「口車」だ。

教師「あれ?ご父兄の方は同伴できませんよ?」

父「ガーン!!」

親父は攻撃を封じられた。

 

35:合掌〔4歳:LEVEL1〕
俺達を乗せた大獣車は、荒ぶる海上をひた走る。水陸両用とはなかなかの車だ。
教師「みなさん、せっかくの遠足ですし歌でも歌いながら行きましょうか!」
勇者(ケッ、くだらん。だがまぁ4歳児の遠足といやこんなもんか…。)
教師「それでは一緒に歌いましょう。「鎮・魂・歌」☆」
勇者「縁起でもねーよ!テメェ、俺達死なすことしか考えてねーだろ!?」
盗子「ち、違うって勇者!きっと去年の犠牲者のための歌だって!」
教師「いやいや。今さっき心臓発作で亡くなった、この運転手さんのために。」
生徒「うわーーー!!!」

目的地は「あの世」かもしれない。

 

36:登場〔4歳:LEVEL1〕
まだ目的地も見えていない海の上で、突如運転手がくたばった秋の遠足。
「もうダメだ」…そう思った時、突然謎の男が現れ運転を買って出た。救世主だ!
…と最初は思ったのだが、なんだか徐々に嫌な予感がしてきた。もしやコイツ…。
勇者「オイ、どうやってついて来たんだよ…クソ親父!?」
謎「な、何を言う!違う!私は謎のお助け仮面、「父さん」だ!」
父は言い切った。

 

37:相似〔4歳:LEVEL1〕
急遽運転することになった親父。だが大獣車なんて素人に運転できるのだろうか。
父「安心しろ。こう見えても私はかつて、この国一の大獣車乗りだった」
勇者「ほ、ホントか親父!」
父「…夢を見たことがある。」
勇者「ブッ殺す!!」
父「安心しろ、死ぬときは一緒だ☆」
勇者「笑えねーよそのギャグ!」
父「失敬な!ギャグじゃない!」
勇者「なお悪いわ!!」
盗子「ど、どうしよう勇者!?」
勇者「くっ、いざとなったら賢二あたりを車輪に噛ませて…」
賢二「え゛。」
盗子「もう!冗談言ってる場合じゃないってば!」
勇者「失敬な!冗談じゃない!」

似た者親子だ。

 

38:到着〔4歳:LEVEL1〕
出発早々てんやわんやな秋の遠足。
無事では済まないと思ってはいたが、まさか到着前に死にかけるとは思わなんだ。
とはいえ親父の運転は案外まともで一安心。なんだかんだ言って結構やりやがる。

そして
数十分
車は走り
俺達は
やっとのことで
到着した。

出発地点に…。

遠足は終了した。

 

39:宿敵〔4歳:LEVEL1〕
結局行ったのか行かなかったのかわからない結果に終わった秋の遠足。
だがもう一つの冒険科B組は無事着いたらしく、当然の如く人数が激減していた。
というわけでAB二組もまた統合され、冒険科はついに一クラスとなったのだ。
少年「やぁ。キミが元A組の勇者君だね?よろしく。」
勇者「なんだ貴様、いきなり馴れ馴れしい奴だな。ブッた斬るぞ?」
少年「フッ、その強気…さすがは僕がライバルと認めた男!」
勇者「俺のライバルになり得る男なんぞ存在しない。調子に乗るなよ雑魚めが!」
少年「いいやライバルだね!なぜなら僕の名は「宿敵(ライバル)」なのだから!」
勇者「・・・・・・・・。」

勇者「…俺じゃなきゃダメか?」
宿敵「ハッ!そういえば!!」

みんながライバルだ。

 

40:恋敵〔4歳:LEVEL1〕
クラス統合早々、いきなり絡んできた男「宿敵」。 だがハッキリ言ってどうでもいい。
…かと思いきや、そうもいかない状況に。 なぜなら奴も姫ちゃん狙いだったからだ。
宿敵「おはよう姫くん。僕の名は「宿敵」と書いて「ライバル」。よろしくね!」
姫「あ、はじめましてベンガル君。今年もよろしく。」
宿敵「え゛。」
勇者「ププッ!「ル」しか合ってねーし!」
宿敵「う、うるさい!笑うな!」
姫「あ、ミーシャ君おはよう。」
勇者「え゛。」

道は険しかった。

 

41:体祭〔4歳:LEVEL1〕
秋…。 遠足こそ不発に終わったものの、そう簡単に過ぎ去るはずはなかった。
そう、秋には逃れることのできないもう一つの行事があったのだ。
教師「みなさん、もうじき「体育祭(死ぬかもよ☆)」です。楽しみですね!」
勇者「オイ、なんだそのカッコ内は!サラッととんでもないこと言ってんじゃねーよ!」
教師「イヤですね~勇者君、いい加減慣れてくださいよー。」
勇者「慣れるか!!」

教師「…ホントに?」
勇者「いや、ゴメン…慣れた。」

だが教師は慣れすぎだ。

 

42:賞品〔4歳:LEVEL1〕
ウチの体育祭(死ぬかもよ☆)は学年対抗。なおのこと死ぬかもしれない。
この学校で生き抜いている上級生というのは、かなりの強敵なはずだからだ。
勇者「オイ先公、そういや優勝クラスには何か賞品とかあるのか?」
教師「ありますよ。 「勇者の剣」」
勇者「なにっ!?そのネーミング…まさしく俺に相応しい!絶対手に入れてやる!」

教師「…という「あだ名」がもらえます。」
勇者「いらねーよ!!」

クラス全員「勇者の剣」?

 

43:変更〔4歳:LEVEL1〕
結局最上級クラスが優勝して幕を閉じた体育祭。
詳しいことは言いたくない。というか思い出したくもない。
そういえば、優勝クラスには「勇者の剣」というあだ名がホントに贈呈されたらしい
…のだが、当然の如く抗議が殺到し、後に別の賞品に変更されたのだった。


「勇者の槍」に。

こだわりどころが違う。

 

44:不運〔4歳:LEVEL1〕
冬の行事には「地獄の雪山登山」というのがあるらしい。俺に安息の日々は無い。
とはいえ、毎回なんだかんだで旅立ち損ねている俺としては少なからず期待もある。
未来の勇者として活躍するには、やはり実戦経験が多いに越したことはないからだ

が、今年は異常気象で雪が降らなかった…。

勇者は旅立てない。

 

45:一年〔4歳:LEVEL1〕
季節は巡り、冬は終わりを告げようとしていた。
思い返してみると、様々なことがあった一年間。短かったようで…長かった…。

春:無謀な遠足のせいで級友を失った。
夏:無謀な宿題のせいで級友を失った。
秋:恐怖の体育祭のせいで級友を失った。
冬:異常気象のせいで旅立つ機会を失った。

もうじき春が来る。そして俺は二号生になる。

この一年で得たものは無い。

 

外伝(壱)へ

本編( 2 / 11 )

外伝(壱)

外伝(壱)

 

外伝1-1:賢二
僕の名は賢二。これは将来立派な「賢者」になれるようにと付けられた名前。
でも「ゃ」の分、何かが足りないんじゃないかと思うと、ちょっぴり不満なこの名前。
そういえばまだお父さんがいた頃、こんな話をしたことがあったなぁ…。
賢二父「賢二、賢一に果たせなかった夢…お前には期待しているぞ!」
賢二「えっ!?やっぱりいたの「賢一」って!?」
賢二父「あぁ…だが何故か6年前に謎の失踪を…な…。」
賢二「そうなんだ…。 うん、わかった!賢一お兄ちゃんの分まで僕頑張るよ!」

賢二父「…お兄ちゃん?」
賢二「お姉ちゃん!?」

家出の理由は明白だ。

 

外伝1-2:盗子
アタシは盗子。まだまだ修行中だけど、世界一の「盗賊」を目指す可憐な乙女☆
母「盗子、アンタも将来は立派な盗賊になれるように頑張んだよ!」
盗子「もっちろんそのつもりだよ☆ 母ちゃんの子として生まれた時からね!」

母「いや、盗んできたんだけどね。」
盗子「えっ、ええええっ!?」

サラッと言ったが重罪だ。

 

外伝1-3:チョメ太郎
ポピピペップ…ポピュッパ!!

意味がわからない。

 

外伝1-4:姫
私は姫だよ。将来は「療法士」っていう、回復の魔導士になるのが夢だよ。
天然系?そんなことないよ。山椒は小粒でピリリと辛いです。

将来は立派な山椒になるのが夢だよ。

意味がわからない。

 

外伝1-5:勇者父
私は勇者の父。息子勇者を愛し、また勇者に愛される唯一の存在だ。
今日も二人は仲良し。やはりいつまでたっても自分の子というのは可愛いものだ。
父「おーい勇者、今日は久しぶりに父さんが背中流してやるぞー!」
勇者「あぁ、頼む…ってなんで「鉄の爪」装備してんだよ!?」
父「頑固な汚れもこれでバッチリ☆」
勇者「殺す気かっ!」

フッ、照れやがって。

勇者は呪われている。

 

外伝1-6:教師
私は冒険科の担任教師。ここだけの話、名は「凶死(きょうし)」といいます。
出身地は魔k…ゴ、ゴホン。名前以外は基本的に謎ということにしておきます。

みなさんに「冒険への知識」と、ちょっとした「不吉」を運ぶのがお仕事です。

後者はただの趣味だ。

 

外伝1-7:ベンガル
宿敵「いや、「ライバル」だから!!」

どうでもいい。

 

外伝1-8:賢二
学校入学直後のお話。僕はあの「悪魔」のせいで死ぬ程怖い体験したのです。
それは、勇者君にそそのかされて「秘密の部屋」に忍び込んだときのこと。
部屋の中には巨大な化け物「ペルペロス」。そして早速口に咥えられちゃった僕…。
賢二「た、助けて勇者くーん!食べられちゃうよー!!」
勇者「なに!?「僕に構わず逃げてくれ」だって!?賢二…お前って奴は!!」
賢二「え゛っ!?い、言ってない!言ってないよー!?」
勇者「ありがとう賢二。お前のことは…忘れたい!!」
賢二「えっ、えええ!?「忘れない」じゃないの!?せ、せめて覚え…バタン!

勇者はホントに忘れた。

 

外伝1-9:盗子
私は未来の大盗賊・盗子。今のところはまだまだ未熟な修行中の身だけどね。
勇者「たぶん…ここら辺だな…。」

勇者はタンスを開けた。
勇者は「盗子の帽子」を手に入れた。

でもとりあえず、今は周りにアタシより凄腕の盗賊はいないのが自慢かな☆
勇者「ここにもきっと何かが…。」

勇者は机の引き出しを開けた。
勇者は「盗子のペンダント」を手に入れた。

勇者「他には…無いな。よし、帰るか。」
あーあ。学校無いとやることも無いなー。みんな何してんのかなぁー?

「勇者」も立派な「盗賊」だ。

 

外伝1-10:姫
私はよく「天然少女」とか言われるよ。なんか、みんなとはちょっと違うんだって。

仲間ハズレは寂しいよ。私も「養殖」で生まれたかったよ。

そういう意味じゃない。

 

外伝1-11:勇者の義母
えっとぉ~アタシは~、勇者ちゃんの…義母?「ママハハ」ってゆーの?そんな感じ。
でもさ、別にパパちゃんと結婚してるとかじゃないんだよねぇ~、実は。
なんてゆーの?ホラ、「押しかけ女房」ってゆーの?うん、まぁそんな感じなの~。
出会い?んとね~、ちょっと話すと長くなっちゃうんだけどぉ~。 えっとねぇ~。

あれは…そう、あれはまだアタシが「オカマバー」で働(以下略)

義母ですらなかった。

 

外伝1-12:ゴップリン
コンド コソハ チャント キテヨ…?

保証は無い。

 

外伝1-13:賢二
え?「今年度を振り返って」と「来年度への抱負」…ですか?そうですねぇ~…。
思い出したくもない出来事が多すぎて困るのですが、中には楽しかったことも…
楽しかった…ことも?楽し…来年度こそは楽し…

贅沢は言いません、死ななければいいです。

保証は無い。

 

外伝1-14:盗子
ん?「今年度を振り返って」と「来年度への抱負」??う~ん、やっぱ死にたくな…

保証は無い。

 

外伝1-15:姫
…ほぇ?「今年度を振り返って」と「来年度への抱負」?するの?

来年はもっと背が伸びるといいよ。

たくましいくらい着眼点が違う。

 

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本編( 3 / 11 )

第二章

第二章

 

46:進級〔5歳:LEVEL1〕
春…。 5歳になった俺は、今日から二号生として学校に通うことになる。
新しい生活の始まりだ。何かが変わることへの期待で胸が高鳴る始業式。

校長「みなさん進級おめでとう。早速みなさんには殺し合いをしてもらいます。」

不安が高まる始業式。

 

47:補充〔5歳:LEVEL1〕
新学年に上がった俺は、A~CのうちのA組に配属された。みんなも一緒だ。
残りの二組には大量の転入生。どうやら毎年こうやって人数を確保しているらしい。
人数が減っては転入生を募り、それを繰り返す…なんとも恐ろしい学校だ。
数年後、俺達「オリジナル」のうち何人が残り、無事卒業でき…

そういえば、昨年度は「卒業式」が無かった気がする。

なにげに五年目だった。

 

48:反応〔5歳:LEVEL1〕
今は春だ。つまり早速「あの行事」の…そう、遠足の季節なのだ。
転入生らは去年を知らんので、どうやら楽しみにしているようだ。雑魚どもめが。
その点「オリジナル」の連中は違う。賢二、盗子、宿敵…皆がプルプル震えている。
そう、これが本来の反応。この俺ですら多少の不安があるほどなんだよコラ!

姫「遠足楽しみだね勇者君!わくわく!」

俺もまだまだ修行が足りねぇ…。

勇者の自尊心に痛恨の一撃。

 

49:入島〔5歳:LEVEL1〕
遠足の行き先は、もはや当たり前の如く「ゴップリン島」。
去年は辿り着くことすらできなかった俺だが、今年は意外にもすんなり上陸できた。
よーし、今年こそはゴップリンを倒し、「勇者」としての第一歩を踏み出してやるぜ!
危険?いや、大丈夫。この通り武器ならリュックの中にたんまりと…

たんまりと…オヤツが…。

親父が要らぬ気を使っていた。

 

50:失敗〔5歳:LEVEL1〕
ゴップリン島…最初は違う名だったが、奴に支配されこの名にされてしまった島。
街には様々な「ゴップリングッズ」を売る土産物屋が立ち並んでいた。
「ゴップリンTシャツ」?「ゴップリンフィギュア」?こんな悪趣味なもの誰が買うか!
あ゛ぁ?「ゴップリン饅頭」?ふざけるな!こんなものが…美味い!買いだ!

勇者は「ゴップリン饅頭」を手に入れた。

勇者の「すばやさ」が3下がった。
帰りに買うべきだった。

 

51:選抜〔5歳:LEVEL1〕
自由行動の時間も終わり、ついに「ゴップリンの洞窟」に乗り込む時間がやってきた。
だが全員で乗り込むには人数が多すぎるため、まずは少人数が選抜されることに。
勇者「俺は行くぜ。逃げるわけにはいかんからな…「勇者」として!」
教師「おぉ勇者君、素晴らしいです。他にはいませんか?もしいないとなると…」
宿敵(…ハッ!そうかわかったぞ!これはもはや心理戦…)
盗子(えっ、どういうこと!?)
宿敵(こういう時に勇気を出せないような人は、冒険科には不必要。ということは…)
賢二(そ、そっか!となると逆に手を上げていない人が…!)
宿敵(ああ、僕の読みに間違いは無い。一緒に生き残ろう、友よ!)
盗&賢(うん!!)

こうして4人の戦士が選ばれた。

宿敵は2人の友を失った。

 

52:作戦〔5歳:LEVEL1〕
いよいよ敵の根城に突撃することになった俺、盗子、賢二、宿敵の四人。
なんとも心もとないパーティーだが、まぁいないよりはマシだろう。
宿敵「さ、さぁ!とりあえず戦力分析でもして戦いに備えようじゃないか!ね?ね?」
盗子「仮に生き延びてもアンタは死刑だけどね。」
宿敵「ひっ、ひえぇー!!」
賢二「えっと、僕は「魔法士」だから攻撃魔法もちょっとは…でもMP少ないよ?」
盗子「あ、アタシは「盗賊」だから盗むことしか…。」
宿敵「僕は「魔獣使い」なんだが、今のところ誰も懐いてくれなくて…。」
勇者「いま俺に出来るのは、せいぜい「お菓子屋さん」くらいだな…。」
盗子「わっ!何さそのリュック一杯のオヤツは!?」
勇者「文句なら親父に言ってくれ。俺はちゃんと大量の武器を…!」
盗子「なっ…く、クソ親父ー!勇者親父のクソ親父ィーー!!」

父「なんだと失敬な!」
一同「キターーーー!!!」

幸か不幸か「勇者父」が仲間に加わった。

 

53:意外〔5歳:LEVEL1〕
またもやついて来やがったクソ親父。その執念にはもうなんだか脱帽だ。
勇者「な、なんで親父が来てんだよ!またついて来やがったのかこの野郎!」
父「いや、ちょっとタバコ屋に行く途中で道を間違えてだなぁ…。」
勇者「どう間違えたら海まで越えんだよ!」
父「そしたらこの島で偶然気の合う人と出会ってしまい、気づけばここに…。」
勇者「言い訳が毎回苦しいんだよこの嘘つき親父!」
父「嘘なもんかい失敬な!」

父「ねぇ、ゴプさん?」
ゴップリン「ハジメマシテ。」
一同「うわぁーーー!!!」

ゴップリンが現れた。

 

54:不意〔5歳:LEVEL1〕
洞窟奥にいるのかと思ったら、いきなり親父と共に現れたゴップリン。ぶったまげた。
だがこれはチャンスだ。奴は油断している…まさか俺達が刺客だとは思っていまい。
父「ぐぼっ! ゆ、勇者…なん…で…?」
勇者(テメェは油断ならねぇ。ことが済むまで寝てるがいい。)
盗子(勇者、ナイス判断!)
賢二(確かにこの人なら口を滑らせかねないからね…。)
宿敵(今なら「不意打ち計画」でいける!もしかしたら勝てるかも!)
ゴプ「トコロデ オマエラ、ナニシニ キタンダ?」

姫「アナタを倒しに来たよ。」

姫が現れた。
姫はまず「計画」をブッ倒した。

 

55:開戦〔5歳:LEVEL1〕
突如現れた姫ちゃんにより俺達の目的がバレてしまった。 でも、可愛いから許す!
ゴプ「ホォ、オレヲ タオス ダト? イイ ドキョウダ!」
勇者「チッ、やるしかねぇか…! まずは俺が行く、お前らは援護しろ!」
一同「い、イエッサー!!」

勇者は武器を装備していない。
装備するものを選んでください。

・うまい棒
・チョコバット
・ポッキー
勇者「しまった!駄菓子しか持ってない!」
盗子「死ねっ!!」
宿敵「くっ…!賢二君、とりあえず防御魔法だ!」
賢二「う、うん!えっと…「絶壁」!!」

賢二は〔絶壁〕を唱えた。
ゴップリンの後頭部が微妙に歪んだ。

盗子「えぇっ!?そういう効果なの!?」
勇者「う~ん、3点!」
賢二「ジョークじゃないよ!ただの失敗だよー!」
ゴプ「オ、オレノ アタマガー!!」

だが地味に効いている。

 

〔絶壁(ぜっぺき)〕
魔法士:LEVEL5の魔法。(消費MP5)
絶壁を出現させ、攻撃を1・2回防ぐ魔法。だが術者が使用レベルに満たないと…。
 

 

56:魔剣〔5歳:LEVEL1〕
賢二が余計なことをしたおかげで、敵は怒って本気モードに。 チッ、余計なことを!
ゴプ「キサマラー!ユルサン!コロスッ!!コノ 魔剣デ コロスッ!!」

ゴップリンは「ゴップリンの魔剣」を取り出した。

勇者「うわっ!な…なんて剣なんだ!」
ゴップリン「ハッハッハ!ビビッタカ コゾウ!?」
勇者「なんて趣味の悪いデザインなんだ!」
ゴプ「ソコニカヨ!! …アッ!」

盗子はゴップリンの手から剣を盗んだ。

盗子「勇者!早く受け取ってー!この鞘ヌルヌルしてて気持ち悪いー!」
勇者「ナイス盗子!これで攻撃ができる!」
ゴプ「フッ、ザンネン ダッタナ。 ソノ 魔剣ハ 邪悪ナモノ ニシカ ヌケナ…」
勇者「ふむ。なかなか斬れそうな刃だな。」
ゴプ「ヌイトルゥーーー!!」

勇者は「ゴップリンの魔剣」を装備した。

 

57:不覚〔5歳:LEVEL1〕
初めて役に立った盗子のおかげで、俺は武器を装備することができた。
「魔剣」だろうが何だろうが自由に使いこなす…それが「俺流勇者道」だ!
勇者「さぁ死ねゴップリン!親父を殺すため編み出した、この剣技を食らうがいい!」
ゴプ「マ、マテ!コイツガ ドウナッテモ イイノカ!?」
盗子「ゆ、勇者~!ゴメンー!」

盗子が人質に取られた。

勇者「構わん!死ねぇーー!!」
ゴ&盗「ナニィーーーーッ!!?」
勇者「食らえ!勇者スペシャル・ミラクル・ウルトラ・エクセレント・ローリンぐわっ!

ゴップリンの攻撃。
勇者に29のダメージ。

如何せん名前が長すぎた。

 

58:回復〔5歳:LEVEL1〕
必殺技のネーミングに凝りすぎたせいで、せっかくのチャンスをフイにしてしまった。
今後「伝説」となる俺の人生にこんな汚点は残せない。なんとか誤魔化さねば…。
勇者「ぐっ、やはり人質を取られていては…!」
盗子「嘘つけ!取って付けたような言い訳すなー!!」
姫「勇者君、私が傷を治すよ。そのための「療法士」だよ。」
ゴプ「オット!ソウハ サセルカァー!」
賢二「あ、危ない!」
姫「えっと、回復回復…むー!「死滅」!」

姫は間違って〔死滅〕を唱えた。
その名の通り「死の呪文」だ。

勇者「なにぃーー!!?」

ミス!勇者は間一髪で避けた。

ゴプ「グッ、グヘェエエエエ!!

ゴップリンがとばっちりを受けた。

 

〔死滅(しめつ)〕
魔法士:LEVEL50の魔法。(消費MP70)
敵一体を死に至らしめる高等魔術。だが熟練の術士でも成功させるのは難しい。
 

 

59:不完〔5歳:LEVEL1〕
姫ちゃんのうっかりミスのおかげで、危うく死ぬところだった俺。さすがにビビッた。
一体どう間違えたら「回復系魔法」と「絶命系魔法」を間違えるのだろうか…。
盗子「やった!ゴップリンに命中したよー!」
賢二「で、でもなんで「療法士」の姫さんが「魔法士」の…しかも高等魔術を…?」
姫「不思議なこともあるものだね。」
宿敵「ま、まるでヒトゴトのように…。」
勇者「殺す気…! ま、まぁいい。許しちゃう。」
盗子「わーん!扱いが違うー!違いすぎるー!」
ゴプ「グッ…。ナ、ナンテ コッタ…。」
勇者「む!貴様まだ生きてやがったのか!」
賢二「やっぱさすがに術が不完全だったんだよ!」
勇者「こうなったらやはり勇者スペシャル・ミラクル…」
盗子「懲りろよ!」
ゴプ「マ、マテ!モウイイ…オレノ マケダ…。」

ゴップリンは降伏した。

 

60:決着〔5歳:LEVEL1〕
意外にもあっさりと降伏したゴップリンは、おもむろに自分の想いを語り始めた。
コイツ、ホントは人間と仲良くなりたかったらしい。最初は歩み寄ろうとしたようだ。
しかし、ただ「魔物」というだけで怖がられ、自暴自棄になり思わず支配を…。
ゴプ「ヤハリ ナカマ トイウノハ イイモノ ダナ…。 ウラヤマシイ ヨ…。」
勇者「ゴップリン…。」
コイツはコイツで辛かったのかもしれない。そう思った。


ザシュッ!(斬)
思っただけだった。

 

61:昇格〔5歳:LEVEL1〕
俺のトドメも綺麗に決まり、やっとこさゴップリンを葬り去ることに成功した。
ということで俺達は、しばらくその歓喜の余韻に浸ったのだった。
一同「やったー!勝ったー!(というか生き延びたー!)」

いぃぃよぉお~!ポンポンッ!(効果音)

勇者はレベルが上がった。
勇者はレベル2になった。

「非道」が3上がった。
あと他のパラメータも適当に上がった。

いぃぃよぉお~!ポンポンッ!(効果音)

盗子はレベルが上がった。
盗子はレベル2になった。

盗子は盗みがうまくなった気がした。
(気のせいかもしれない。)

いぃぃよぉお~!ポンポンッ!(効果音)

賢二はレベルが上がった。
賢二はレベル2になった。

パラメータが上がったり下がったりした。
(基本的には下がった。)

いぃぃよぉお~!ポンポンッ!(効果音)

姫はレベルが上がった。
姫はレベル2になった。

姫は「天然」が5上がった。
納豆が少しだけ好きになった。


宿敵…は何もしてないので変化無し。

 

62:用事〔5歳:LEVEL2〕
ひとしきり喜びを分かち合った俺達。ぼちぼち外に出た方がいいのかもしれない。
宿敵「さぁ勇者君、敵も倒したことだしそろそろみんなの所に戻ろうか。」
勇者「なんだ、まだいたのかこの役立たずめ。」
宿敵「そ、そんな…。」
勇者「悪いが俺にはまだ勇者としてやるべきことが残ってる。盗子、付き合え。」
盗子「えっ!こんなところで愛の告白!?イヤン☆」
勇者「死ね。」
盗子「わーん!ひどすぎるぅー!」

~数分後~
勇者「…さて、用事も済んだことだし…戻るか。」

洞窟はすっかりカラになった。

 

63:正直〔5歳:LEVEL2〕
財宝をたんまり抱えた俺達は、皆と合流しようと出口付近まで来てみた。
すると、なにやら外から級友どもの話し声が聞こえてきたのだ。
少女A「あれから…もう随分経つね…。や、やっぱり…。」
少年A「チックショー!勇者達まで…あのクソ怪物めー!」
少女B「盗子ちゃん、姫ちゃん…ううう。」
少年B「もう許せねぇ!あの野郎ブッ殺してやる!」

出るに出られない。

教師「みなさんその意気です。さぁ、第二班出陣といこうじゃありませんか!」

生徒「イヤです!」

みんな正直な子だ。

 

64:離島〔5歳:LEVEL2〕
外にいた奴らは、俺達が死んだと思って勝手に悲しんでいた。
だが、カタキ討ちよりも自分の命が大事らしい。まぁ当然といえば当然なのだが…。
勇者「て、テメェら…!」
教師「なっ…!!」
生徒「出たぁーーー!!」
賢二「ち、違うよ!幽霊じゃないよー!」
教師(…あ、もしもし?さっきの話ですが…ハイ、「慰霊祭」じゃなくて「祝勝会」に。)
教師「いやぁ~、さすがはみなさん!私は信じてましたよ!」
勇者「まる聞こえだよ!勝手に殺すな!」
教師「ホントにすみませんでした。じゃあ次からは責任持って殺しますね。」
盗子「えぇ!そこに謝るの!?意味違うってば!」
教師「さーて、そろそろ帰りましょうかー!」
勇者達「誤魔化すなー!!」

こうして勇者は島を後にした。

忘れ去られた親父を残して。

 

65:転職〔5歳:LEVEL2〕
奇跡的にも死者を出すことなく終わった春の遠足。
翌日俺がボケーッとしていると、宿敵のやつが深刻そうな顔で話しかけてきた。
宿敵「あのさ、勇者君…」
勇者「断る!!」
宿敵「いや、まだ何も…」
勇者「「もっと戦闘向きの職業に転職したいんだが、何がいい?」…だろ?」
宿敵「えっ!なんでわかるんだい!?」
勇者「俺は空気の読める男だ。」
宿敵「読めすぎだよ!不自然だ!」
勇者「行けばいいじゃん、天職探しに。」
宿敵「え?」
勇者「特に出番とか無いし。」
宿敵「え゛?」
一同「逝ってらっしゃい。」
宿敵「えええええっ!?」

宿敵は追い出され旅立った。

 

66:初夏〔5歳:LEVEL2〕
春も過ぎ行き、初夏。 最近はだんだんと転入生らの顔も覚えてきた。
少女「私は「霊媒師」の霊魅(れみ)。勇者君、アナタの後ろに霊が見える…。」
勇者「貴様、初めての挨拶に不気味なオプションを付けるな。」
霊魅「だって…見えるんだもの…。」
勇者「きっと天国の級友達が俺に期待し、応援してるんだろ。フッ。」
霊魅「・・・・・・・・。」
勇者「黙るな!そこで黙るな!」
霊魅「いっぱいいる…。」
勇者「まぁたくさん逝ったからな。」
霊魅「うごめいてる…。」
勇者「だからイヤな表現をするなってば!」
霊魅「宿敵君も…」
勇者「宿敵もいるのか!?もう!?」

霊魅「じきに…。」
勇者「あぁ…じきにか…。」

結構どうでもいい。

 

67:宿題〔5歳:LEVEL2〕
明日から夏休み。きっと今年もろくでもない宿題が出されることだろう。やれやれだ。
教師「去年の「魔獣狩り」は危険すぎたので、今年は「昆虫採集」に変更ですよ。」
生徒「やったー!」
勇者「…いや待て、そんなうまい話があるわけない!気づくんだ貴様ら!」
生徒「ハッ!!」
盗子「そういえば最近…西の小島で巨大昆虫が大量発生してるとか…。」
賢二「あぁ…確かそれで村が壊滅の危機だとか…。」
教師「そうなんですか?じゃあそれで。」
生徒「やってもうたーー!!」

今年の夏も休めない。

 

68:計画〔5歳:LEVEL2〕
宿題発表の後、俺は仲間を募り宿題攻略の作戦を立てることにした。
集めたのは賢二、盗子、姫ちゃんの三人。他の奴らはまだ実力わからんので却下。
勇者「やはり「勇者」としては、全昆虫を駆除するべきだと思うんだが…」
盗子「無理!絶対無理!」
勇者「あぁ、俺もお前は無理。」
盗子「わーん!死んでやるー!」
賢二「こ、こっぴどい…。」
姫「楽しいピクニックになりそうだね。」
盗子「楽しくないしそもそもピクニックじゃなーい!」
勇者「楽しみだな、ピクニック…。」
盗子「ヒイキだー!」

作戦を決めてください。




・強気に攻めろ
・頭を使え
・逃げ回れ
・運良く生き残れ

 

69:選択〔5歳:LEVEL2〕
話し合いの結果、夏休み初日に早速旅立つことにした俺達。
どうせやらねばならんのなら、早めに済ますに越したことはないからだ。
その朝、俺が一足先に港に向かうと、そこには既に他グループの奴らも数人いた。
勇者「よぉ!お前らも今日発つのか?」
少年「ああ。逃げるなら今だ。」

その手もあった。

 

70:集合〔5歳:LEVEL2〕
学校を恐れた奴らは大陸行きの船で逃げて行った。家族とかどうするのだろうか。
盗子「やっほー!勇者おまたせー!」
賢二「ごめん、ちょっと遅れちゃった。」
勇者「死ねばいい。」
姫「自転車に乗り遅れちゃった。ごめんね。」
勇者「それは大変だったな。許しちゃう。」
盗子「だから扱いが違…ってゆーか自転車には乗り遅れないよ!」
賢二「あ、ちょっと勇者君!先生がいる…。」
賢二が指差す方向を見ると、そこには確かに教師の姿が。でも一体何しに…。


チュドーーーン!!(バズーカ砲)

あ、あの方向には…。

船の残骸がある。

 

71:出港〔5歳:LEVEL2〕
教師が張る港を後にし、俺達を乗せた船は港を出た。
勇者「まぁみんな安心しろ。俺のこの武器さえあれば何も心配は要らん。」
盗子「でもさ、また前みたく親父にリュックいじられてるなんてことが…。」
勇者「フッ、大丈夫だ。そうならぬよう親父には昨夜、一服盛っておいた。」
盗子「マジでー?まぁあの親父なら猛毒盛っても死ななそうだけどね!アハ☆」
勇者「ああ、死ななかったよ。」
盗子「猛毒盛ったのかよ!」
勇者「てなわけで、今回は準備万端な俺の武器コレクションを見よ!」

チョメ太郎「…ポピュ?」

とんだ伏兵が現れた。

 

72:持物〔5歳:LEVEL2〕
武器の代わりにリュックに詰まっていたチョメ太郎。寝相とかそういう次元じゃない。
おかげで俺の作戦はすべてパー。あとは他の奴らに期待するしかないわけだ。
盗子「アタシ「盗賊の腕輪」を持ってきたよ。コレがあれば素早さ上がるんだから!」
勇者「攻撃に役立つものは?」
盗子「はぁ?それってさ、か弱い女の子に期待するもの?」
勇者「帰れ。」
賢二「僕は「魔導符」を持ってきたよ。家財道具とかいくつか売ったんだよ!」

〔魔導符〕
書かれた呪文を読み上げることで、
未修得の魔法であってもMP消費のみで使うことが出来る呪符。
ただし、一度使うとなくなる。

勇者「MPは?」
賢二「足りない…。」
勇者「死ね。」

姫は手ブラだ。

 

73:到着〔5歳:LEVEL2〕
西の小島に到着。大発生と聞いていたのだが、とりあえず港に敵の姿は無かった。
恐らく壊滅的被害を被っているという「ニシコ村」にでも陣取っているのだろう。
勇者「よーし、んじゃ早速戦地へと赴くか!」
盗子「ちょーっと待ったー! あのさ、先に港町で武器とか調達した方が良くない?」
勇者「なるほど、それもそうだな…盗子のクセに生意気な。」
盗子「なにをー!?」
賢二「MPを増幅できる道具さえ売ってれば…。」
姫「私もハチミツとか買いたいよ。」
盗子「木に塗る気かよ!」
勇者「そうか!昆虫なだけに!」
賢二「うぅ~ん…ま、まぁ確かに相手は昆虫だから何かの役には立つかも…。」
勇者「というわけだ。とりあえずハチミツ屋を探すぞ。」
姫「パンも忘れずにね。」
盗子「やっぱアンタ用かよ!」

大好物だった。

 

74:遭遇〔5歳:LEVEL2〕
街にはろくなアイテムが無く、結局ハチミツとパンだけを購入した俺達。
仕方なくそのまま村を目指して歩いていると、途中の山道で行き倒れに遭遇した。
勇者「貴様、ニシコ村の村人か?つーか生きてるか?」
村人「返事が無い。ただの屍のようだ。」
盗子「返事しちゃってるよ!むしろ元気そうだよ!」
賢二「大丈夫なんですか?虫達に酷いことされたんじゃ…。」
村人「ええ、かなりヤバいです。死ぬかもしれません…虫野郎どもめ…くっ!」
盗子「えっ…!ね、ねぇ大丈夫!?ねぇ!?」

村人「水虫が死ぬほど痒くて。」
盗子「死んでしまえ!」

ただの無駄骨のようだ。

 

75:村話〔5歳:LEVEL2〕
妙にナメた態度の村人を救った俺達は、とりあえずそいつに村の話を聞いてみた。
勇者「んで?状況はそんなにヤバいのか?」
村人「ハイ、かなり痒いです。」
勇者「水虫の話じゃねーよ!村のことだ!」
村人「あー、そっちの話ですか。もう完全に占領されちゃいましたよ。」
勇者「やはりそうか。急がねばならんな。」
賢二「でも、ある程度対策を立てないと…。敵はどんな虫なんですか?」

村人「水虫です。」
それが最期の言葉となった。

 

76:苦悩〔5歳:LEVEL2〕
村人を看取った俺達は歩を進め、とりあえず村が視界に入る丘までやってきた。
村周辺には奇怪ないでたちの怪物どもがウジャウジャと…。しかもバカデカい!
勇者「それにしても可哀想な村人だった。カタキは…俺が討ってやるからな!」
盗子「えっ、ひょっとして昆虫達に罪着せた!?着せちゃった!?」
勇者「さて、どう攻めるか。俺には背負ってた「ゴップリンの魔剣」しか無いし…。」
賢二「な、なんか集団行動だね…あれじゃ攻め込んだ瞬間にリンチされちゃうよ。」
盗子「でも、あれだけの数を一気に倒す方法なんて…」
ジャキン!
勇者「ジャキン!?」
盗子「な、何の音!?もしかして敵!?」
ガコン!カチッ!

チョメ太郎は武器を構えた。

・対空迎撃用ミサイル
・対戦車用バズーカ
・32連発ロケットランチャー
一同「どっから出したーー!!?」
チョメ太郎「ポピュッパーー!!」

チュドーーン!!(大爆発)

昆虫軍は滅んだ。(村ごと)

 

77:新敵〔5歳:LEVEL2〕
チョメ太郎のおかげで跡形も無くフッ飛んでしまった俺達の宿題。
仕方なくその旨を教師に話すため学校を訪れると、教師は思わぬことを口にした。
勇者「あのさ、昆虫のことなんだが…」
教師「わかってます、全滅ですよね。でも大丈夫、新ターゲットは決まりましたから。」
賢二「やっぱり宿題は無くならないんだ…ハァ。」
盗子「んで?今度のターゲットは誰なの?」
教師「いや、実はまだハッキリとした正体はわからないのですが…」
勇者「まぁいいさ。どんな奴が相手でもこの俺がブッた斬ってやる!」

教師「敵は、「ニシコ村民惨殺グループ」です。」

勇者は貝のように口を閉ざした。

 

78:心霊〔5歳:LEVEL2〕
宿題の件は心の奥深くにしまうことにした俺達。まぁ多分バレないだろう。
というわけで予想より早く宿題が片付いたため、この夏は遊ぶことができそうだ。
プルルルル…ガチャッ(電話)
勇者「あ、盗子か?俺だ。 今日は「肝試し」やるからみんなを学校に連れて来い。」
盗子「ちょっ…イヤだよ!絶対イヤ!アタシそういうの無理なんだよー!」
勇者「前にも言ったろう?俺もお前は無理。」
盗子「死ね!アンタなんか霊に呪い殺されちゃえ!」
霊魅「霊をナメたらダメですよ…。」
勇者「そうだぞこの野郎!…ってちょっと待て!どうやって電話に割り込んだ!?」
霊魅「だから霊をナメるなと…。」
盗子「えっ!霊の力なの!?そんなことまで出来るの!?」
霊魅「ええ…。ハンドパワーです…。」
盗子「霊じゃないじゃん!思いっきりマジックとかトリックの世界じゃん!」
霊魅「というわけで…肝試しとかやめた方がいいですよ…。では…がちゃ…。」
盗子「えっ!今、口で言ったよ!?「がちゃ」って口で!」

ある意味霊より怖い。

 

79:背後〔5歳:LEVEL2〕
結局肝試しを決行することになった俺、賢二、盗子、姫ちゃん、霊魅の五人。
霊魅の存在は未だに謎だが…まぁいい。とりあえず盗子のビビリ具合いが面白い。
盗子「ほ、ホラ、よく言うじゃん?どこの学校も大抵昔は戦場だったとかで霊が…。」
勇者「何を言ってる?今でもれっきとした戦場じゃないか、生々しく。」
賢二「そうだね…ここほど心当たりのあるスポットもそうは無いよね…。」
姫「夜は墓場で運動会だね。」
盗子「あり得ない!そんな楽しそうな死後はあり得ないー!」
勇者「あれ?お前の後ろに一人…」
盗子「ギャー!ど、どこ!?ヤダヤダヤダやめてぇー!」
勇者「あっはっは!バーカ、騙されやがって雑魚めが。」
霊魅「うふふ…。勇者君って冗談がうまいのね…。」
盗子「む、ムキィー!!」

霊魅「一人どころじゃないものね…。」

これから運動会だ。

 

80:来秋〔5歳:LEVEL2〕
夏休みは終わりを告げ、新学期になった。また命懸けの生活が始まる。
教師「みなさん、お久しぶりです。意外にも生存者多くて先生ビックリです。」
盗子「アタシらはその感想にビックリだよ!」
教師「…あれ?おかしいですね、宿題は早々に無くなったはずなのに何人か…」
勇者「テメェだよ!テメェが港でバズーカで…!」
教師「アレは不幸な事故でしたね…。今でも思い出すと茶柱が熱くなりますよ。」
盗子「それを言うなら「目頭」!「しら」しか合ってな…てゆーか事故じゃ無いし!」
教師「あぁ、もうじき遠足ですねぇ…。」
盗子「事故で合ってました!それに茶柱も合ってます!」
教師「まぁ茶柱よりも「人柱」の方が好きですけどね。」

校舎はそういう造りだ。

 

81:遠足〔5歳:LEVEL2〕
秋だ。 というわけで、遠足の季節だ。果たして春のようにうまくいくだろうか…。
教師「みなさんお待ちかねの秋の遠足、今年は「イモ掘り」になりましたよ。」
勇者(フッ、今度はイモか…い、イモ!?)
賢二(敵の想像がつかない…。)
盗子(まさか「殺人イモ」とか!?あり得ない!あり得ないよ!)
姫「きっと「オナラ魔人」とかだよ。プー。」
盗子(イヤ!絶対イヤ!でもなんかいそうで怖いよー!)

教師「敵はオナラ魔人です。」
一同「やっぱりイターーー!!」

とりあえず名付け親は鬼だ。

 

82:芋園〔5歳:LEVEL2〕
今日は遠足の日。敵の正体も定かでないまま、俺達はイモ園に到着した。
園長「みなさん、こんにちは。今日は楽しんでいってくださいね。」
生徒「よろしくお願いしまーす。」

園長「私が園長のオナラ魔人です。」
生徒「園長なのかよ!!」

一同は「ガスマスク」を装着した。
だが勇者だけ「覆面レスラー」になっていた。

親父の差し金だった。

 

83:死闘〔5歳:LEVEL2〕
なんとイモ園の園長だったオナラ魔人。魔人が普通に商売してるとは思わなんだ。
勇者「貴様…魔人の分際で園長とはいい身分じゃねぇか!ブッた斬る!」
オナラ「やかましい!謎の覆面レスラーに言われたかないわい!(プ~)」
勇者「誰が好き好んでこんな…グフッ!臭ェ!!」
オナラ「失敬な!私のオナラはフローラルだ!(プ~)」
勇者「それはそれでイヤだろ!…って喋る度にさりげなく屁をこくな!」
オナラ「おっと、これはすまない。ちょっとマナー違反だったな。(スゥ~)」
勇者「だからってすかすな!音は無くとも臭っ…つーか痛い!目が割れる!」
姫「新しい宴会芸だね。」
勇者「違うから!そもそも宴会で目を割っても笑えな…グェ!」
姫「…新しくはないってこと?」
勇者「そこじゃない!俺が言いたいのは芸じゃな…ぬおぉっ!」

他のみんなはイモ掘りに夢中だ。

 

84:焼芋〔5歳:LEVEL2〕
姿の見えない敵(ニオイ)に苦戦中の俺。あまりの臭さに戦闘どころじゃない。
これ以上は命に関わる…そう思った時、先公が意外な言葉を口にした。
教師「さて、散々イモも採りましたし…そろそろ帰りましょうか。」
勇者「ちょっと待て!まだ敵は倒してな…グハッ!くっさい!」
教師「あぁ、いいですよ。入園料は払うことにしましたから。」
勇者「それで敵扱いかよ!」
オナラ「今年もそのつもりだったんかい!この悪徳教師め!」
教師「そんなに褒めても何も出ませんよ?」
オナラ「褒めとらんわい!」
教師「あ、そうだ。折角ですし、焼きイモを堪能してから帰りましょう。」
オナラ「…やれやれ。じゃあ焼き場まで行きましょう。だいたい五分くらい歩けば…」
姫「面倒だから畑ごと焼こうよ。」
オナラ「お、お嬢ちゃん…物騒なことを本気の眼差しで言わないで…。」

姫「…え?」

既に畑は灯油臭い。

 

85:盲点〔5歳:LEVEL2〕
畑ごと焼きイモを焼こうとした姫ちゃん。「面倒だから」と言い切ったあたりが素敵だ。
盗子「ちょ、ちょっと姫!過激すぎるってば!アンタのイメージじゃないってば!」
賢二「こ、これは「天然」という一言で片付けられるレベルじゃない気が…。」
勇者「それに気づくんだ!そもそも焼きイモに灯油は使わない!」
姫「あー…そこは盲点だったよ。」
教師「まあまあ、勇者君。もういいじゃないですか。」
勇者「そう…だな。」

もう燃えてる。

 

86:炎上〔5歳:LEVEL2〕
どういうわけか気づけば燃えていたイモ畑。
よく見るとついでに生徒も2・3人燃えているが、この際細かいことは気にしない。
姫「綺麗なキャンプファイヤーだね。」
勇者「違うぞ姫ちゃん、焼畑農業だ。」
オナラ「どっちも違うわ! くそっ、こうなったら…!」
勇者「あぁ、「屁をこいてガス爆発」とかそういうベタなオチは却下な。」
オナラ「くっ、しまった!最大の見せ場を奪われた!」
盗子「絶対やめて!そんな遺族が泣くに泣けない死因はイヤ!」
オナラ「あ、あぁ…私のイモ畑が…。この先私は一体…一体どうやって…」
勇者「すまんな園長、これも運命だ。」
オナラ「どうやって屁をこけばいいんだ…。」
勇者「そこかよ!もっと経済的に困れよ!」
盗子「つーか仮にも「オナラ魔人」がイモに頼るってどうよ!?」

教師「…さて、そろそろ帰りましょうか。」
生徒「はーい。」

焼くだけ焼いて食べずに帰宅。

 

87:鼻曲〔5歳:LEVEL2〕
オナラにまみれた遠足の翌日、俺は学校を休んで病院へと向かった。
なぜならあの刺激臭を嗅いで以来、嗅覚が全く機能しなくなったからだ。
女医「あら、久しぶりね勇者君。どうしたの?」
勇者「なにやら嗅覚細胞が反抗期でな。まぁとにかくさっさと治すがいい。」
女医「あら怖い。 まぁとりあえず、詳しく調べてみましょうか。」

~数分後~
勇者「で、どうなんだヤブ医者?治せねぇとかぬかしたらブッた斬るぞ?」
女医「あ~、鼻の方は大丈夫。2・3日すれば治るわよ。 ただ…」
勇者「…ただ?」

女医「口が悪いわ。」

生まれつきだった。

 

88:秋祭〔5歳:LEVEL2〕
遠足は終わった。しかし秋にはもう一つの悪の行事…そう、「体育祭」があるのだ。
教師「えー、体育祭なんですが、今年は二学年一組で行われることになりました。」
賢二(あぁ…今年は秋までもった人が少なかったんだね…。)
教師「みなさんは一号生とペアなので、あっちの教室で作戦会議してきてください。」
勇者「ちょっと待て!ウチは六年制なんだ、バランス考えたら相手は五号生だろ!」
教師「まぁよく言うじゃないですか、「若い時の苦労で勝手に死ね」って。」
勇者「言わねーよ!こんな組分け納得いかん、断固抗議するぞ!」
盗子「アタシも納得いかない!さぁ、みんなも行くよー!」
生徒「オォーー!」
教師「未だかつて、校長に逆らって生き延びた人間が…いるとでも?」

盗子「一号生の教室にっ!」
生徒「オォーーー!!」

盗子は〔応変〕を覚えた。

 

〔応変(おうへん)〕
盗賊:LEVEL2の特技。(消費MP0)
一瞬で考えをアッサリ変える。アッサリというか、むしろチャッカリ。時としてウッカリ。
 

 

89:会議〔5歳:LEVEL2〕
体育祭についての作戦会議を行うため、俺達二号生は一号生の教室を訪れた。
ガラガラガラ…(扉)
勇者「よーし、よく聞け貴様ら!俺が二号生総番の…」
少女「キャー!勇者先輩だー!キャーキャー☆」
勇者「オイそこ、やかましい!黙らんと上下の唇を縫い合わすぞ!?」
少女「えっ、名前ですかぁー?照れちゃいますぅ~☆」
勇者「いや、これっぽっちも聞いてねーよ!」
少女「「弓撃士(きゅうげきし)」の「弓絵」でーす!勇者先輩の大ファンですぅー☆」
盗子「ちょ、ちょっとアンタ!初対面で馴れ馴れしいんじゃない?ウザッ!」
勇者「ああ、確かにウザいな。」
弓絵「盗子先輩…ウザいとか言われてますよ?」
盗子「アンタのことだよ!」
勇者「いや、お前のことだよ。」
盗子「…ぐっすん。」
勇者「ところで、他の奴らはどうしたんだ? まさかもう帰ったのか…?」
弓絵「そうでーす!もう還っちゃいましたぁー!(土に)」

弓絵はうまいこと言った。

 

90:題目〔5歳:LEVEL2〕
今年は大勢消えたと聞いてはいたが、まさか一号生が残り一人だとは思わなんだ。
勇者「一号生は一人か…これで「二学年一組」とか言われてもなぁオイ…。」
弓絵「え?好きなタイプですかぁー?ズバリ勇者先輩でーす☆」
盗子「聞いてないよ!アグレッシブにも程があるよ!」
勇者「まぁいい、とりあえず作戦会議に入るぞ。 賢二、プログラムを。」
賢二「えっと、まずは「騎馬戦」、次は「打撃戦」…「銃撃戦」…「肉弾戦」…。」
盗子「あり得ない!そんな物騒な体育祭はあり得ないよ!」
勇者「はっはっは。賢二、冗談は盗子の顔だけにしてくれ。」
盗子「うわーん!なんでアタシなのー!?」
賢二「冗談だったらどれだけ幸せなことか…。」
姫「晴れるといいよね。」

予報では「血の雨」だ。

 

91:精進〔5歳:LEVEL2〕
いよいよ始まった二度目の体育祭。 どうでもいいが校長の話が長すぎる。
賢二「あうぅ~…僕、もうダメかも…。」
盗子「ちょっ…頑張んなよ賢二!貧血で倒れるなんて恥ずかしすぎだよ!?」
勇者「フッ、雑魚めが。日頃の精進が足らんからそういうことになるんだよ!」

~3日経過~
校長「…で、あるからして……」
勇者「・・・・・・・・。」


パタッ。

パーティーは全滅した。

 

92:昏睡〔5歳:LEVEL2〕
目が覚めたら病院にいた。 見渡す限り生徒の山…皆が貧血というのが恐ろしい。
女医「あら勇者君、お目覚め?」
勇者「まったく酷い目に遭ったぜ。まぁ貧血じゃ死ぬことはないだろうがな。」
女医「それがねぇ…そうでもないのよ。一人だけ昏睡状態の人がいてね…。」
勇者「あん?俺より悪いのか?一番粘ったのは俺だったと思うんだが…。」
女医「キミもよく知る人物よ…。」
勇者「ま、まさか…姫ちゃんじゃねぇだろうな!?助けろよ!絶対助けろよ!」

女医「校長先生。」

死んでよし。

 

93:雪遊〔5歳:LEVEL2〕
秋が過ぎ、冬。 昨夜は大雪が降ったので、校庭は一面の銀世界と化していた。
勇者「よーし、野郎ども外へ出ろ!雪遊びするぞー!」
賢二「えぇ~。さ、寒いよ勇者君~…。」
勇者「賢二よ、雪ダルマ作るのと火ダルマになるの、どっちがいい?」
賢二「それはもはや二択じゃないよ…。」
勇者「血ダルマって線もあるがな。」
賢二「す、素直に雪合戦でもやろうよ…。」

勇者「準備はいいか?雪合戦始めるぞー!負けたチームは春まで雪ダルマだ!」

命懸けの遊びが始まった。

 

94:三対〔5歳:LEVEL2〕
こうして始まったクラス内対抗雪合戦。「勇者」として勝負事には負けられない。
最初は各組十人で始めた争いも、気づけば三人ずつを残して他はくたばっていた。
〔勇者チーム〕
勇者「敵の大将は所詮賢二…悪運続きもここまでだ!仕留めるぞ!」
弓絵「え、将来の夢ですかぁー?もちろん勇者先輩のお嫁さんでーす☆」
勇者「まさか人数合わせで入れた、一号生のお前が残るとはな…。」
姫「きっと名前が「雪絵」だからだよ。いっぱしの雪ん子だよ。」
弓絵「私は「弓絵」ですぅー!」
姫「そうとも言うよね。」
勇者「姫ちゃん、そりゃちょっと失礼だよ。雪絵に謝るべきだ。」
弓絵「弓絵…勇者先輩のために雪絵になります!」
〔賢二チーム〕
賢二「好戦的なのは勇者君だけ…なんとか彼を封じればとりあえず死なない!」
盗子「それだったら任せといて!アタシのお色気攻撃でイチコロよん☆」
賢二「…霊魅さん、何かいい案ないですか?」
盗子「スルーかよ!」
霊魅「アナタの隣を霊がスルー。」
盗子「いやぁあああああっ!!」

勇者組「いくぞぉーーーー!!」
賢二組「負けるかぁーーー!!」


ゴゴゴゴゴゴ…

ズザァアアアアアアッ!!(雪崩)

 

95:救助〔5歳:LEVEL2〕
「大雪×大声=雪崩」という定番方程式にやられ、アッサリ雪崩に飲まれた俺達。
どうやら裏山に積もった雪がすべて校庭に流れ込んだようだ。
なんとか自力で這い出せたのは俺、賢二、霊魅のみ。他の奴らは見当たらない。
勇者「くっ、早く助けないと姫ちゃんが…!他はともかく姫ちゃんがー!!」
霊魅「今日は霊界も大漁でしょうね…。」
勇者「賢二、何かいい魔法は無いのか!?たまには根性見せやがれ!」
賢二「む~…そうだ!夏休みに覚えた炎系魔法…「灼熱」!!」

賢二は〔灼熱〕を唱えた。

 

〔灼熱(しゃくねつ)〕
魔法士:LEVEL2の魔法。(消費MP2)
熱い日差しが降り注ぐ夏の魔法。こんがり焼けてビーチでモテモテだ。
 

 

96:絶望〔5歳:LEVEL2〕
賢二なんぞをアテにした俺がバカだった。早くなんとかしなければ姫ちゃんが…。
…ゴボッ!
勇者「姫ちゃんか!?」
盗&弓「ぷっはーーー!!」
盗子「ゲホッゲホッ! わーん!死ぬかと思ったよー!」
弓絵「寒いですぅ~!先輩の愛で暖めてくださ~い☆」
勇者「・・・・・・・・。」
その後一時間以上探したのだが、結局…姫ちゃんが発見されることはなかった…。

勇者は絶望に包まれた。

姫「イチゴ味しか無かったよ~。」
一同「シロップ買ってたんかい!!」

雪は食い物じゃない。

 

97:雪山〔5歳:LEVEL2〕
明日は冬の行事「地獄の雪山登山」がある。
去年は雪が降らず中止になったのだが、今年はちゃんと降ったので大丈夫だろう。
教師「明日はお待ちかねの雪山登山です。みなさんハリキッて遭難しましょうね!」
勇者「誰がするか!そもそも遭難なんて狙ってするもんじゃねーよ!」
教師「そこを狙うのがプロの腕ってやつですよ。」
盗子「だから狙わないでいいから!てゆーか何のプロだよ!?」
賢二「と、ところで今回の目的…いや、むしろ敵は?」
姫「きっと「ユキダルマン」とかだよ。」
盗子「うわ~、いそうだよ…ベタベタな感じだけどメチャメチャそれっぽいよ…。」

教師「敵は「スイカ割り魔人」です。」

夏にやれ。

 

98:荷造〔5歳:LEVEL2〕
今日は雪山へ行く。この真冬にスイカ割りだとかぬかしてるアホを殺しに行くのだ。
というわけで昨夜は荷造りに励んだ俺。今回こそは失敗は許されない。
まぁ親父とチョメ太郎は鎖で縛っといたので、さすがに大丈夫だとは思うのだが…。
勇者「よう盗子!今日も朝からウザい顔だな!」
盗子「失敬な!死ねっ!!…って、あれ?今日は手ブラ?」
勇者「やってもうたーー!!」

リュックは玄関先だ。

 

99:持物〔5歳:LEVEL2〕
せっかくちゃんと準備したのに、肝心のリュックを忘れてきてしまった俺。
おかげで作戦はすべてパー。今回も他の奴らに期待するしかないようだ。
盗子「アタシ「盗賊の指輪」を持ってきたよ。コレがあれば盗み効率上がるんだよ!」
勇者「攻撃に役立つものは?」
盗子「あ~、アタシは武闘派じゃないから。」
勇者「帰れ。」
賢二「今回は使える「魔導符」を持ってきたよ。僕のMPでもなんとかなるやつを!」
勇者「効果は?」
賢二「増毛…。」
勇者「死ね。」
姫「シロップならなんでもござれだよ。」
勇者「…グッジョブ!」
霊魅「背後霊なら山ほど…」
勇者「要らん!」
弓絵「愛なら誰にも負けません☆」
勇者「なぜここに!?学年違うだろ!」
父「まったくだ。」
勇者「お前こそだよ!なんでいるんだよ!?」
チョメ太郎「…ポピュ?」
勇者「お前もだよ!」
教師「今日は特別ゲストがいます。」
勇者「誰だよ!?」
オナラ魔人「プ~。」
一同「お前かよーーー!!!

屁で挨拶て。

 

100:登山〔5歳:LEVEL2〕
臭いのを乗せた我らが大獣車はひた走り、とりあえず雪山のふもとに到着した。
だが既にこの時点で大半の奴らはグロッキー状態。俺も鼻がもげそうだ。
勇者「んで?これから俺達は何すりゃいいんだ?」
教師「雪道からだと時間が掛かるので、この絶壁を素手で登ってください。」
盗子「無理!絶対無理ー!」
教師「じゃあ気合いで。」
賢二「先生、それは解決策になってないです!」
父「じゃあアロハで。」
勇者「服装は聞いてない!しかもアロハて!」
オナラ「じゃあ「オナラジェット」で。」
盗子「死んでもイヤ!てゆーか死んじゃう!!」
チョメ「ポピュッパ!」
勇者「わからない!」

~その頃、山頂では…~

スイカ「粗茶だが。」
姫「ヌルいね。」

なぜか和んでいた。

 

101:飛翔〔5歳:LEVEL2〕
ふと気づけば姫ちゃんがいない。まさか一人で上に…つーかどうやって!?
勇者「急いで登るぞ!オイ賢二、空飛ぶ魔法とか無いのか!?」
賢二「あ、あるにはあるけど…。」
勇者「なら早く!モタモタしてて姫ちゃんに何かあったら殺すぞオナラ魔人を!」
オナラ「え゛っ、なんで私を!?」
勇者「臭いから。」
賢二「じゃ、じゃあ心置きなく…「飛翔」!!」

賢二は〔飛翔〕を唱えた。

盗子「うわっ、はっやー!やるじゃん賢二!」
賢二「でも…止まり方知らないんだ…。」
盗子「え゛。」
勇者「よし頂上だ!飛び移るぞ盗子!」
賢二「えっと、僕は一体どうしたら…!?」
勇者「さらば賢二、お前は立派な星になれ!」
賢二「え゛!?えええええぇぇぇぇぇぇ…」

キラン☆

勇者は賢二を「思い出」に変えた。

 

〔飛翔(ひしょう)〕
魔法士:LEVEL5の魔法。(消費MP3)
味方1グループを垂直上昇させる魔法。 飛んで飛んで飛んで、回って回って回る。
 

 

102:対面〔5歳:LEVEL2〕
宇宙へと旅立った賢二に別れを告げ、俺達は敵のいる山頂に降り立った。
賢二…お前の犠牲は無駄にしない。時々なんとなく、星空を見上げてやるからな…。
勇者「で、貴様がスイカ割り魔人だな?」
スイカ「いかにも。」
盗子「うわっ、スイカだ!頭がスイカ!!」
勇者「スイカのくせに「スイカ割り魔人」とは大胆な奴め。」
スイカ「よく来たな小僧ども。四方を断崖に囲まれたこの地…逃げ場は無いぞ?」
勇者「俺は逃げも隠れもせん!賢二のカタキは俺が討つ!」
盗子「勇者、違うよ!賢二は自爆だよ!」
姫「あ~、勇者君いらっしゃい。ヌルいお茶はいかが?」
勇者「姫ちゃん、無事だったか! …それじゃ一杯もらおうか。」
盗子「飲むのかよ!そんな場合じゃないっしょ!?」
スイカ「あぁ、ワシも一杯。」
盗子「お前もかよ!もっと緊張感とか大事にしようよ!」

スイカ「では死んでもらおうか。」
盗子「アタシもお茶ね!とびっきりヌルく☆」

小一時間程くつろいだ。

 

103:目隠〔5歳:LEVEL2〕
もう十分くつろいだ。これ以上まったりしてたら闘う前に凍え死ぬ。
スイカ「よし、勝負だ!ルールは単純、どちらかのスイカが割れるまで闘うのみ!」
勇者「一緒にするな!俺の頭はスイカじゃない!」
スイカ「じゃあお互いの…心のスイカを砕くまで。」
勇者「持ってねーよ!」
スイカ「ええい、もう始めるぞ! とりあえずワシが先攻で…目隠しを…」
勇者「(目隠し…?フッ、閃いたぜ!)わかった、俺は動かん!かかって来い!」
スイカ「さぁギャラリー達よ、スイカの位置を教えるがいい!」
盗子「だぁ~れが敵のアンタに…(ハッ、そうだ!姫、嘘の誘導してやろうよ!)」
姫「(あ~、了解。)えっと、三丁目の魚屋さんを右だよ。」
盗子「嘘にも程があるよ!!」
スイカ「フン、やれやれ…まぁいいわ。ワシほどの達人となれば、気配で…」
勇者「(敵前で自ら視覚を奪うとは自殺行為よ!)死ねぇーー!!」

ササッ!(避)
勇者「なっ!避けただと!?」
スイカ「フッ、ナメるでない!その程度の企みが見抜けぬワシではないわ!!」
勇者「・・・・・・・・。」
スイカ「まだまだ甘いな若造!ガッハッハー!(谷底に落ちながら)」

ダイナミックに避けすぎた。

 

104:無事〔5歳:LEVEL2〕
結局自爆しやがったスイカ割り魔人。強いのか弱いのかすらわからなかった。
教師「いや~、みなさんお疲れ様でした。さすがですね~。」
生徒「ブラボー!」
勇者「テメェらいつの間に…って、どうやって!?」
教師「エレベーターで。」
盗子「そんなんあったの!?山なのに!?」
姫「あ~、私もそのインベーダーで来たんだよ。」
盗子「違うよ!インベーダーじゃなくてエレベーターだよ!」
姫「ちょっとした宇宙旅行だったよ。」
盗子「もしやホントのインベーダー!?」
勇者「つーかそもそも今日は「登山」じゃなかったのか?それをエレベーターて…。」
教師「まぁいいじゃないですか。みなさんが無事でホントに良かったですよ。」

賢二のことにはノータッチだ。

 

105:一年〔5歳:LEVEL2〕
季節は巡り、冬は終わりを告げようとしていた。
思い返してみると、様々なことがあった一年間。短かったようで…長かった…。

春:宿敵が旅立っていった…が、結構どうでもいい。
夏:チョメ太郎が村を一つ滅ぼした…が、まぁバレてないようなので別にいい。
秋:姫ちゃんがイモ園を焼け跡に変えた…が、可愛いから許す。
冬:賢二が星になった…が、きっとアイツは恒星じゃないから見えない。

もうじき春が来る。そして俺は三号生になる。

これといって希望は無い。

 

外伝(弐)へ

本編( 4 / 11 )

外伝(弐)

外伝(弐)

 

外伝:宿敵が行く〔1〕
僕の名は宿敵(ライバル)。天職を求めて一人旅するさすらいの無職さ。
今度は「戦士」でもやってみようかと、「戦士道場」師範のもとを訪れてみた。
宿敵「あの~、すみませ…」
師範「戦士心得~、ひとーつ!」
弟子「頑丈だけにー、序盤は重宝ー!」
師範「ひとーつ!」
弟子「力任せにー、敵を討つー!」
師範「でもー、最終的にはー!」
弟子「ただのー、ノロマ扱いー!」
師範「そこをー、突っ込まれたらー!」
弟子「ば、ばーか!鎧が重てぇんだよ!」
師範「ある日ー、ふと気づくー!」
弟子「ひょっとして、俺の役割って…壁?」
師範「精一杯ー、強がってー!」
弟子「MP?なにそれ、うまいの?」
師範「よくよくー、考えるとー!」
弟子「職業「戦士」って…アバウトすぎだよ…。」

…帰ろう。

「戦士」は諦めた。

 

外伝:宿敵が行く〔2〕
僕の名は宿敵(ライバル)。天職を求めて一人旅するさすらいの無職さ。
今度は「剣士」でもやってみようかと、「剣士道場」師範のもとを訪れてみた。
宿敵「あの~、すみませ…」
師範「剣士心得~、ひとーつ!」
弟子「登場はー、颯爽とした感じでー!」
師範「ひとーつ!」
弟子「華麗に舞いー、見えない速さで斬りつけるー!」
師範「剣を鞘にー、納めるとー!」
弟子「服だけパラッと斬れ…できねーよ!」
師範「敵がー、女だった場合はー!」
弟子「くっ、女を斬るわけには…!」
師範「一度でいいからー、言ってみたいセリフはー!」
弟子「安心しろ、峰打ちだ。」
師範「剣が光ればー!」
弟子「前歯もキラリー!」

…帰ろう。

「剣士」は諦めた。

 

外伝:宿敵が行く〔3〕
僕の名は宿敵(ライバル)。天職を求めて一人旅するさすらいの無職さ。
今度は「武闘家」でもやってみようかと、「武闘家道場」師範のもとを訪れてみた。
宿敵「あの~、すみませ…」
師範「武闘家心得~、ひとーつ!」
弟子「素早い動きでー、先制攻撃ー!」
師範「ひとーつ!」
弟子「飛び出すぜー、会心の一撃ー!」
師範「素早さをー、求めるあまりー!」
弟子「やっべ、俺って超薄着じゃん!防具じゃなくてコレただの着物じゃん!」
師範「武道全般ー、できるのにー!」
弟子「寝技使ってる奴って、見たことないよね…。」
師範「カッコよくー、キメてみてー!」
弟子「案ずるな、急所は外しておいた。」
師範「心の中ではー!」
弟子「うっわ、コイツ効いてねーよ!どうしよー!?」
師範「ちょっぴりー、誇らしげにー!」
弟子「拳で魔物に挑むって…俺、スゴくねぇ?」
師範「人から言わせればー!」
弟子「俺、バカじゃねぇ?」

…帰ろう。

「武闘家」は諦めた。

 

外伝:宿敵が行く〔4〕
僕の名は宿敵(ライバル)。天職を求めて一人旅するさすらいの無職さ。
今度は「盗賊」でもやってみようかと、「盗賊道場」師範のもとを訪れてみた。
宿敵「あの~、すみませ…」
師範「盗賊心得~、ひとーつ!」
弟子「ちょこまか動きー、こっそり盗むー!」
師範「ひとーつ!」
弟子「ナイフ片手にー、戦闘だってー!」
師範「おもむろにー、ぶっちゃけてー!」
弟子「でも正直、魔物にナイフってのは無謀だよな…。」
師範「時々ー、納得いかないのはー!」
弟子「スライムが金持ってるのって…どうだろう?」
師範「山田の給食費盗んだ奴ー、手ェあげろー!」
弟子「お、俺じゃねぇって!なんでみんなこっち見てんだよ!?」
師範「いいえー、奴はとんでもないものを盗んでいきましたー!」
弟子「貴女の心でーす!」
師範「ルーパーン!」
弟子「とっつぁーん!」

…帰ろう。

「盗賊」は諦めた。

 

外伝:宿敵が行く〔5〕
ダメだ…ろくな職業が無い…。天職なんて、見つからないかもしれない…。
そう思いながら川原をフラフラしていると、僕は一人の老人に声を掛けられた。
老師「ワシはある職業の師範なんじゃが…おヌシ、名は何と言う?」
宿敵「え、僕ですか?僕の名は「宿敵」と書いて「ライバル」。孤高の無職です。」
老師「いやはや…まさに我が「好敵手」の職を継ぐに相応しい名じゃないか。」
宿敵「こ、好敵手…?一体どんな職業なんですか?」

〔好敵手〕
闘う相手に合わせ、同じ職種に様変わりする職業。
その性質から「モノマネ師」と呼ばれることもある。
各職の力を発揮できるかどうかは、センスが問われるところ。

宿敵「な、なんて僕向きの職業なんだ…これならすべての人のライバルだ!」
老師「じゃろ?ならば話が早い。ついて参れ。」
宿敵「は、ハイ師匠!」
老師「まずは「営業」からじゃ。」
宿敵「え゛。」

大抵は「芸人」で終わる。

 

 

 

外伝:賢二が行く〔1〕
賢二「…う、う~ん……ハッ!こ、ここは!?」
異星人「…コーヒーじゃだめ?」
賢二「いや、「ここア」じゃなくて!」
異星人「んじゃ、コーヒーでいいよね。もしくは死んでもらうよ。」
賢二「こ、コーヒーを!(その二択なの!?)」
僕は賢二。どういうわけか今、宇宙船らしきものに乗っています。 なぜ!?
確か魔法「飛翔」で…うぅ、思い出せない…。そしてなんだか思い出したくもない…。
賢二「あ、助けていただいたようで…ありがとうございます。僕は賢二です。」
異星人「あぁ別にいいよ。僕の名は「ビブ」、略して「太郎」でいいから。」
賢二「いや、略す必要無いし!むしろ略せてないし!」
太郎「それにしても危なかったね。もう少し寝てたら食べちゃってたところだよ。」
賢二「しょ、食人種!?」
太郎「あ~心配いらないよ、老人とかは食べないから。」
賢二「フォローになってないですから!僕はバリバリ子供だし!」
太郎「…ジュルッ。」
賢二「う、ウソです!僕はもうお爺ちゃんですー!残尿感たっぷりですー!」
太郎「ははは。大丈夫、キミは大事なモルモッ…客人だからね。」

僕はもう…ダメかもしれません…。

結局死ぬかもしれない。

 

外伝:賢二が行く〔2〕
なんか嫌な色した惑星が見えてきました。どうやらもうじき着きそうです。
変な改造とかされるくらいなら、いっそのこと楽にしてもらいたい気がします。
賢二「あの~、そういえば…お仲間さんとかは乗ってないんですか?」
太郎「・・・・・・・・。」
賢二「あ、ごめんなさい。なんか余計なこと聞いちゃったみたいで…。」
太郎「僕以外の人達は、みんな「宇宙病」って病にかかっちゃってさ…。」
賢二「そうなんですか…。お悔やみ申し上げます。」
太郎「あ、いや別にそれで死んだわけじゃないんだ。そうじゃなくて…」
賢二「…え?」
太郎「どうしようかと悩んでいたら、一人の女の子が乗ってきてさ…」
賢二「お、女の子?」
太郎「「私が治すよ。」とか言ったあと「むー!「死滅」!」って…。ううう…。」

広い宇宙には、似たような人っているものですね…。

Yeah!めっちゃ本人。

 

外伝:賢二が行く〔3〕
僕を乗せたインベーダーは、とうとう太郎さんの星に到着しちゃいました。
うん、年貢の納め時です。もう人生で何度年貢を納めたかなんて覚えてません。
太郎「とりあえず王様の所に挨拶行くから、キミもついて来て。ほら、客人だし。」
賢二「なんか悪い予感しかしないのは…僕の気のせいですか?」
~王の間~
太郎「王様、地球からモルモッ…客人を捕ら…じゃなくて、招待したのですが…。」
王「あぁ客人、すまんが忙しいのだ。とりあえず名乗って、後はクソして寝るがいい。」
賢二「え!?えっと、賢二と申します。どうせ食べるならおいしく食べてください…。」
王「…む?なにぃ、「賢者」!?賢者と言えば地球では最高位の…!だ、大臣!」
大臣「ハイ!賢者殿の力なら、奴を…「ユーザック」を倒せるかも知れませぬぞ!」
賢二「あ、ち、違いますよ?僕は「賢二」で「ゃ」が足りな…」
王「頼んだぞ賢者殿!供をつけるゆえ、すぐにでも旅立ってくだされ!」
大臣「これでこの国も安泰ですな!ワッハッハ!」
賢二「い、いや違います!違いますってばー!」
王「宴じゃー!戦士の旅立ちじゃー!」
衛兵「ワァアアアアアア!!(歓声)」

どえらいことになりました。

より一層死ぬかもしれない。

 

外伝:賢二が行く〔4〕
勘違いから賢者にされてしまいました。もうこのまま賢者ぶっていくしかありません。
もしバレたら、今夜のメインディッシュとして食卓に並ぶ自信アリです。
剣士「ほぉ~、アンタが賢者殿か。なんだ、まだガキじゃねぇかよ。」
賢二「アナタがお供の剣士さんですね。はじめまして、賢二です。」
剣士「はぁ?賢者の賢二?ハッハッハ!中途半端に「ゃ」が足りねぇでやんの!」
賢二「ぐっすん。そうなんです…。 あ、そういえばアナタのお名前は?」

剣士「ん?「剣次(けんじ)」。」

目糞が鼻糞を笑った。

 

外伝:賢二が行く〔5〕
太郎さんと剣次さんをお供に、僕は宇宙侵略者「ユーザック」討伐に出発しました。
その敵さんは残虐非道、目的達成のためなら手段も問わない悪党だそうです。
なんだか勇者君ぽくて懐かしいですが、あんな人が二人もいたら僕は自殺します。
太郎「ここだよ、奴の城。じゃ、僕はここまでってことで。さいなら~!」
賢二「早速逃げたー!」
剣次「まぁいいじゃねぇか賢者殿。とりあえず突入の作戦でも練ろうぜ。」
ユーザック「なんだ貴様ら?」
賢二「早速キター!!」
ユーザック「いったい何しに来やがった?敵だとかぬかしたらブッた斬るぞ!?」
賢二「えっと…申し訳ありませんが、この剣次さんがアナタを倒しますよ!」
ユーザック「ほほぉ、上等じゃねぇか!んで、どいつがその「ケンジ」だよ?」
賢二「しまたー!二人ともケンジだー!」
ユーザック「俺の名は「ユーザック・シャガ」、「ユーシャ様」と呼ぶがいい雑魚ども!」

まるっきり勇者君です。

勇者はクシャミが出た。

 

外伝:賢二が行く〔6〕
闘い始めて小一時間。剣次さんとユーシャさんのバトルは未だ白熱しております。
剣次「燃えさかる十字の火炎を身に纏え!「十字炎斬(クロスファイア)」!」
ユーシャ「ぬるいわ!その程度で俺に勝とうとは笑止!秘奥義「暗黒乱舞」!」
剣次「くっ!ならば…虚空に鮮血をブチ撒けろ!「血染十字(ブラッディクロス)」!」
ユーシャ「フッ、なかなかやるな!では俺も本気を出そう!裏奥義「暗黒竜殺剣」!」
剣次「うおおぉ!音速を越え、走れ九つの軌道!「3×3十字(サザンクロス)」!」
ユーシャ「もう茶番は終わりだ!食らうがいい、究極奥義「暗黒滅殺波動」!」

~さらに二時間後~
剣次「ボーイさん、華麗に引っこ抜け!「食卓十字(テーブルクロス)」!」
ユーシャ「超絶究極裏の裏奥義「暗黒歌謡曲(アコースティック.ver)」!」
剣次「今年はお人形さんが欲しいです!「白髭十字(サンタクロス)」!」
ユーシャ「超絶究極裏の裏のそのまた裏奥義「暗黒高校時代~あの頃俺は~」!」

いい加減飽きてほしいです。

命の前にネタが尽きる。

 

外伝:賢二が行く〔7〕
結局4時間ブッ通しでネタ合戦に明け暮れた二人は、現在ぐったり中です。
今ならあの魔法で捕えられます。たまにはこういうオイシイ役もいいですよね…?
賢二「えっと、いいとこ取りでごめんなさい…「束縛」!」

賢二は〔束縛〕を唱えた。
ユーザックを捕まえた。

ユーシャ「くっ、この俺がガキごときに捕まるとは…許さん!絶対許さーん!」
賢二「許さないとか言われても困りますよ。僕だって命懸けなんで…。」
ユーシャ「もしまた会ったらその時は…体中を殴打して、めった刺しにして…」
賢二「う゛っ…。」
ユーシャ「手足をそぎ落としてダルマにして、更に分割してダルマ落としで遊んで…」
剣次「賢者殿、気にするこたねぇぞ。どーせコイツは一生獄中の身だ。」
ユーシャ「それを模して作ったオモチャが大当たりして、そして俺は大金持ちに…」
賢二(うわー…、だんだん方向性がズレていく…。)
ユーシャ「その後は可愛いネェちゃんに囲まれなが…ハッ!と、とにかく殺す!!」

賢二は束縛を解いた。

 

〔束縛(そくばく)〕
魔法士:LEVEL1の魔法。(消費MP2)
敵一体を縛り上げ、自由を奪う魔法。あんまり強いと恋人に嫌われる。
 

 

外伝:賢二が行く〔8〕
僕が臆病なせいで、ユーシャさんを取り逃がしてしまいました。
せっかくのチャンスをフイに…今度は剣次さんに殺されるかもしれません。
剣次「…な~るほどね。さすが賢者殿だ、俺とは頭のデキが違うぜ。」
賢二「…へ?(あれ?怒るんじゃないの??)」
剣次「もし捕えてたら、仲間が助けに来て戦争→国民に大被害…っつーことだろ?」
賢二「え?あっ、いや…僕は別にそういうつもりじゃ…。」
剣次「謙遜すんなって~!まったく腰の低い英雄だぜアンタは。イカスよ!」

~その頃~
部下「ユーシャ様、今後の侵略の方はいかがいたしましょうか?」
ユーシャ「もういい、次の星を探すぞ。 ここはもう…飽きた。下がれ。」
部下「え?いや、しかし…この星にはまだまだ利用価値が…。」
ユーシャ「下がれと言っている!それとも貴様…ダルマ落とされたいのか!?」
部下「ハッ!失礼しました!(だ、ダルマ!?)」
ユーシャ「地球から来た賢者か…なかなかキレる男だったな…。」
誤解の連鎖が。

 

外伝:賢二が行く〔9〕
一応敵を追い払うことができたということで、城に帰った僕らは大歓迎されました。
王「おぉ賢者よ、死んでしまうとは情けない。」
賢二「え゛?」
大臣「王様、違いますぞ!パターンBです!「万が一、生きてたらバージョン」の!」
王「あ゛…。よ、よくやった賢者殿、そして剣次よ。なんとなく褒めてつかわす。」
賢二「…ありがとうございます。とっても嬉しくないです。」
剣次「フッ、俺は何もしてねぇさ。すべては賢者殿の功績ってやつだよ。」
賢二「け、剣次さん…。(この人は…純粋なのかアホなのか…)」
太郎「いや~、さすがは賢者君!キミならやってくれると僕は信じてたよ!」

賢二は〔絶壁〕を唱えた。
太郎の後頭部が微妙に歪んだ。

太郎「う、うひゃー!」
賢二「フーンだ!」
王「では賢者よ、何でも好きな褒美を取らそう。欲しい物を言うがいい。」
賢二「えっと…物はいらないので、その代わりに地球に帰してください。」
王「う~む…そうか。残念だが引き止めるのは無理そうだな…。 よし、帰れ!!」

まさか…自力で?

今度の敵は「成層圏」だ。

 

外伝:賢二が行く〔10〕
なんとか頼み込み宇宙船を貰った僕は、太郎さんの案内で地球へと出発しました。
でも惑星を発ってからもう三ヶ月くらい経ったのに、全く着く気配が無いのです。
賢二「あの~…太郎さん、一体どうなってるんでしょうか?」
太郎「う~ん、どうも頭が歪んだせいか方向感覚がイマイチ…。」
賢二「ご、ごめんなさい。ペルペロス事件以来、置いてけぼりがトラウマでつい…。」
太郎「なんとか治せないかなぁ?でないと、あと2秒で燃料が切れるよ。」
賢二「2秒て!もうどうしようもない状況じゃないですか!」
太郎「まぁいいじゃん。とりあえずやってくれる?」
賢二「ハァ…じゃあとりあえずやってみますね。 よーし、「絶壁」!」

賢二は〔絶壁〕を唱えた。

太郎の頭があり得ない形になった。

太郎「ぱ…ぱらっぽぷ。」
賢二「た、太郎さーーん!!」

えっと、みなさんサヨウナラ…。

賢二は覚悟を決めた。

 

第三章へ
創造主
~勇者が行く~(1)
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