算命学余話 #G108玄

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算命学余話 #G108玄 (page 1)

 世間を騒がす殺人事件等が起きると、昨今の報道は視聴率を上げるためにことさらショッキングな側面を繰り返し強調したり、犯人の人格や人生を安易に総括して全否定したり、或いは「こんな人間を生んだ今の社会に責任がある」という政治批判の方向へと意図的に誘導したりするので、必ずしも真実に向き合わないまま、人々は事件をやり過ごすことになります。
 稀に気骨のあるジャーナリストや作家が、ブームが去った後も根気強く取材を重ねて、事件の真相や犯人の半生、その内面にまで踏み込んで、事件に至る道のりを丁寧に辿ってくれるので、読者はその記録を読んでようやく安易な報道とは違う真実に近い風景を眺めることができますが、それには時間が掛かりますし、それでもなお取材に洩れる諸事情はあります。つまり事件の全容は人の人生と同様、他者には完全には伺い知れないというわけです。

 表面的な報道とも深く探ったノンフィクション作品とも異なる視点から事件を眺める一手段として、算命学を使うことができます。今回の余話は、最近話題になった逃亡犯の命式を模擬鑑定します。
 1975年に爆破テロ事件を起こして指名手配となったこの人物は、偽名のまま50年間も逃亡生活を続けた末、病死する最後の瞬間になって名乗り出てきました。「本名で死にたい」というのが動機でした。算命学者としては、まず50年も別人になりすまして生きたという点に興味を惹かれますし、そのまま静かに死んでもいいものをわざわざ名乗り出てくるという発想がどこから湧いたかも気になります。勿論、死者を出すほどの事件を起こした動機や、頭の作りにも関心をそそられます。50年も逃げおおせるとは、やはり頭のいい人だったのでしょうが、その頭の良さの使い方は明らかに間違っています。ではどうして間違ったのか。宿命から読み解くことができるでしょうか。

 毎回くどいようですが、殺人犯になる命式というものは存在しておりません。そんなものが存在するなら、同じ生年月日の人たちも同様に殺人犯でなければなりません。実際はそんな事実はどこにも見当たらないので、宿命が原因で殺人が起こるわけではないことは明白です。宿命は人生の半分を担ってはいますが、残りの半分は本人自身の生き方が決めるのです。今回扱う人物も、生き方次第では全く別の人生を歩むことができたのに、幸か不幸か、逃亡犯として50年を空しく費やす人生になってしまいました。
 捕まらずに逃げおおせたのは幸運だったのでしょうか。それとも、真実を隠し続けて半世紀を過ごしたことは、不幸だったのでしょうか。恐らく不幸であったから、名乗り出て来たのでしょう。「虚栄心のために名乗り出て来た」と批判する人たちもいますが、そういう人たちは、自身が名誉欲や虚栄心の強い人たちであることを露呈しています。算命学の理屈では、この人物は虚栄心よりも真実に寄り添うために名乗り出て来た、と推測できます。その辺りを中心に、この人物の内面と宿命が示唆する行動・動機について、鑑定してみます。
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