算命学余話 #G107

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算命学余話 #G107 (page 1)

 前回の余話#G106では、正義と名誉を司る官星を軸に「尊厳」について考察してみました。読者の中には、納得していたく感動した人と、実感できずに読み流したり、反発したりする人とに分かれたかもしれません。五徳の分配を考えると、納得できた人の方が少数派になると思います。そこでバランスを取るべく多数派におもねり、官から一つ戻った禄にフォーカスしてみます。
 時事ねたになりますが、ここ30年ほど空前の経済発展でイケイケドンドンだった中国が、とうとう不動産バブルの崩壊に行き着きました。建設途中の高層マンションが聳えるゴースト・タウンの話は数年前から局部的に報じられてはいましたが、恒大集団の破産で大局的な致命傷となり、余りに巨大な負債額のため国家経済を揺るがす事態に陥っています。
 西側の国々と違って中国の土地は全て国有財産であり、私有地がないため、不動産バブル崩壊は地方経済を直撃しました。失業率が急上昇し、公務員の給料未払いも発生しています。プーチン以前のロシア混乱期に暮らしていた私は、90年代当時破綻状態にあったロシア経済が生み出す様々な弊害について調べていましたが、その中の典型事例が公務員の給料未払いでした。民間企業における給料未払いは、経営陣のヘマによってしばしば起こることですが、国が雇っている公務員の給料未払いは、国がヘマをやっているということですから、深刻さの度合いは計り知れません。国全体がヘマをやらかしたと言っても過言ではなく、国家が大きいほど損害は甚大です。

 算命学的な見方をすれば、中国経済が好調だったこの30余年は、国民が政府を「信用」していました。それ以前は文化大革命その他で内政が不安定だったため、国民は政府に不信を募らせていました。つまり国民が国家を信用した途端に経済が、即ちカネが、回り始めたのです。算命学の云うところの「禄」や「魅力」「引力」のメカニズムとは、こうしたものなのです。俗に言う「仁義礼智信」のうち、五徳の禄に対応するのは「信」です。
 今や中国はようやく手に入れた「信」を再び失い、従って「禄」も「魅力」も失いました。世界を瞠目させたチャイナ・マネーも人材も、中国という国から離れて海外へと流出していますが、これは正に中国が「引力」を失ったからです。膨大なチャイナ・マネーが行き場を求めて手近な日本のタワーマンションなどに流れ込んで来ており、このあおりで日本でも不動産バブルが再燃しないか心配です。マンションは住居なのですから、人が住んでいるのが正解です。投資目的のマンションなどは算命学で言うところの「虚」ですから、いずれ役立たずの水泡に帰するのは目に見えています。90年代に既にバブル崩壊を経験した日本が二の舞にならないためには、過去の失敗から学んだ教訓が必要です。30年前に骨身に沁みた教訓も忘れるようでは、日本も中国を笑えません。

 以上は「禄」の悪しき回り方の好例です。こうした風景ばかり並べると「禄」は害悪にしか見えませんが、逆に良い回り方をすれば「禄」とて善になり得ます。例えば、日本の歴史には「義商」というものが存在しますが、これは大きな商売で得た利益の一部を、人材育成や科学技術、文化事業、医学、設備建設といった公共の利益や精神文化の向上のための事業に投入する商人のことです。今どきの商人は大儲けすると宇宙旅行をしたり愛人に貢いだりするのがせいぜいですが、こうした個人的で些末且つ卑小な喜びではなく、社会全体や未来の人々の喜びに寄与する活動に大金を投じる。本業が好調なので、こうしたサブ事業は損得抜きで進めても痛手にならない。成功すれば大勢の人々が幸福になれるし、失敗したとしても最低限カネは回る。こういう考え方は算命学で言うところの「回転財」の範疇であり、禄存星がこれを司っています。
 禄存星が正しく輝く時は、このようなカネ回りをするのです。社会や未来に対する資金投入ですから、基本的に資本の無限増殖がベースになってはいるのですが、そこに搾取や不公平はなく、道義的にも立派です。

 くどいようですが、五徳の順番では「禄」の次は「官」なのです。つまり禄はいずれ官へと流れていくのが自然のあり方であり、禄は官の礎たるべきなのです。「義商」とは正義に沿って商売する人のことですから、暴利をむさぼってはならないし、従業員を不当に安く雇ったり、給料未払いなどはやってはならない。パワハラ・セクハラなど論外です。こうした正義にもとる行為を退け、誠意ある営利活動をしていれば、その禄は自然と官へと移行していくのです。これが正しい禄の姿です。勿論、このような禄存星は魅力的に映りますから、本領である「魅力本能」がそのまま発揮されて、人もカネも集まってきます。同時に名誉も上がります。
 なおもう一つの禄星である司禄星は「蓄財」を司っており、禄存星のようにカネを回すのは不得手です。ただ禄存星はカネ回りが良すぎて元本割れしたり、自分の家族の生活費まで事業に投じてしまう恐れがあるため、これを制御する「番頭」のような役割が司禄星にはあります。司禄星は節約も得意です。司禄星の難点は、貯めたカネを金庫にしまっていつまでも出さないこと。蓄財が得意であることから、ガメやすいという負の側面を持っています。
 このように、「禄」も正しい輝き方をすれば十分な魅力があります。しかし間違った輝き方をすれば、いずれ破綻して吸引力を失います。日本や中国のバブル経済の崩壊はその典型例です。私たちは、身近な経済ニュースからもその根底に算命学の基盤思想を読み取ることができるのです。

 さて、今回の余話は恒例の「新年大予想」です。新年2024年は、立春から甲辰年です。辰は土性ですので、導入に「禄」の話を取り上げたのでした。つまりこの一年は勿論、財運が大きく関わる年となります。財運と聞いくと財産が増えることばかり考え勝ちですが、借金も財産のうちですから、そう喜んでばかりもいられません。陰陽は常に拮抗しています。
 地支の辰は陽土で温かく、天干の甲木の成長に適した土壌です。木性と土性は木剋土と相剋関係にありますが、樹木が陽土に支えられる風景は穏やかで、健やかな成長を暗示しています。従って、甲辰年の全体的な経済状況は、概ね好調だろうとの予測が立ちます。
 但しその経済活動は、やはり回転財を旨としなければなりません。辰の蔵干は、乙(石門星)・癸(玉堂星)・戊(禄存星)の三つですが、とりわけ本元の戊土が禄存星の輝きを担いますから、蓄財ではなく回転財を心掛けなければ、健やかな成長の軌道に乗せることはできないでしょう。
折しも世間ではNISA(ニーサ)が取沙汰されていますが、この運用も蓄財ではなく回転財を目的としているのなら、樹木が真っ直ぐに成長するような成功が見込めるでしょう。逆にせっかく増やした財産を貯め込んで使わなかったり、ケチった使い方をしたりは、お勧めできません。これは小さな家庭の家計から、国家規模の経済活動にも、反映が見込まれます。

 甲辰は、天干の木性が地支の土性を剋す形であることから、新年も災害が多いことが予測されます。特に地震や土砂災害は多いと思われます。地支の蔵干に癸水があり、地盤に水が浸み出しやすい風景です。但し、蔵干には乙木もあって水を吸収しますし、何より甲木が水を吸い上げてくれるので、水害があっても長続きはしないと推測されます。従って、災害があるとはいえ、総じて「成長」に収斂する前向きな年になるでしょう。
 甲木の樹木としての成長は、一朝一夕ではあり得ません。毎日少しずつ、何年もかけて成長するものです。従って、素早く利益を回収しようとしたり、近道をしてタイパを上げたり、といった拙速な行為は実を結びにくいです。時間をかけてゆっくりと、着実に、という心構えがその先の成果につながります。焦りは禁物です。
 ここから先はやや専門的な話になるので、算命学に関心のある方はお読み下さい。
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