競争率が上がるということは、それだけ僅差の勝負になります。最近の入試でいえば、併願校を考えるにあたって、安全圏を考える保護者の方が多かったので、中堅校の競争率が上がりました。今までの入試ではその学校をあまり受けなかった上位層が受験することになったのです。特に2月2日以降の学校ではこの現象が顕著でした。その結果、合格ラインにはこれまでだったら上位で悠々合格できた子どもたちが並びました。結果ほんのわずかの差で合否が分かれたのです。
つまり、1問の計算間違い、ちょっとした問題の読み違いをしてしまったために、合格ラインに届かなかった子どもたちが少なくないのです。これまで上位校でしか見られなかった現象が、中堅校へ広がってきています。したがって、中学受験の対策としてこの僅差の勝負をどう制すかという課題が出てきます。
私が受験準備の中で一番重要なのは「ていねいさ」だとお話しているのは、このためです。いかにミスを少なくするか、ということを特に受験前には考えていかなければなりません。1点で10人、20人すぐ変わってしまうのです。そして当たり前ですが合格ライン付近には多くの受験生が集中しています。ここを突破するために、ていねいな勉強は不可欠なのです。
合格ラインに1点不足するだけで補欠になってしまいます。補欠になれば、合格が回ってくる場合もそうでない場合もあるわけですから、あまり精神的に良いものではありません。
さて、ていねいに勉強する具体的な方法として、いくつかあげてみましょう。
1)問題文の条件に下線を引く。
ただ下線を引くだけでは不十分で、解答を書く前にその条件を確認する作業が必要です。時速なのか、分速なのか。リットルなのかデシリットルなのか、条件を確認しましょう。
2)計算、式を残す
途中でこちょこちょこと書いていくと、答えが合わなくなったときに、また最初からやり直しになります。しかし、過程を書いていれば、確認して進めますから、途中で間違いを発見できます。これがなかなか難しい。特に男の子はそうです。ですから、毎日解いている段階から、式や計算を残すということはくせにしておくべきでしょう。できる子どもたちもミスをしないわけではありません。ただ、自分でミスを発見できるから、最終的に正解にたどり着くのです。この違いが合否を分ける差といってもいいでしょう。
3)字をていねいに書く
自分の字を見間違えて、ミスをするということもありますし、0と書いたつもりが、採点者には6と見えて間違う場合もあります。入試は答案が戻ってきません。したがって「これは0です。」と主張することはできません。誰がみても0だという字を書かなければならないのです。子どもたちの答案を見ていますと、まだまだ汚い答案が多いもの。模擬試験を受けながら、そういうところから練習する気持ちが必要でしょう。