そのとき。
「あ、雪だ……」
「あのさ、わたしたちってアリさんたちのように働くなんてできないよね」
「うん、できない」
「歌って踊ることしかできないんだ」
「そうさ、歌って踊るの大好きだもん、私たち!」
「こつこつアリさんたちのように働くってむかないよね、性格的に……」
「だったら、踊ろうよ、歌おうよ」
「そうだな」
「そうだよ」
「最後かもしれないけどぱあっといこうよ!」
開き直ったキリギリスたちは最後の元気を絞り出して歌い始めました。
雪の中、キリギリスたちは歌って踊ってすっかり元気になってきました。
「楽しかった」
「とっても!」
でも、そのとき一匹のキリギリスが突然力つきて倒れてしまいました。
「いよいよおしまいかな、私たち」
「ああ、もう最後なのかなあ」
と、みんなががっくりしていると、
「あれ、あそこにいるのアリさんじゃない」
と、一匹のキリギリスが気がつきました。
「あ、三、四匹ほどアリさんがいるよ」