小さな詩集 強いさざなみ

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「竹の秋」

散文詩  竹の秋


世を空を被ひし桜白々と

  舞ひ散りてのち万緑に色染め変へて

小さき実を小鳥のために結びたる

  その時に竹の秋とぞ


惜しげなき枯れ笹の笹舟の

  尖がりて流るる風に乗り

  いづこへの旅ぞ

突き刺さるかにハタと墜つ

  ほとんど色は黄金に

  先端ありて落ちながら

  ついと漂う

風と重力の作用のまにまに明確に

  指向する先端

  描かるる鋭き斜線は無数にして

垂直の竹林よぎるその眺め

造化の技のいたずらめきて

  息をぞ呑まさる

その組織花びらよりも密なれば

  成す一直線

  斜めの角度は時々に様々にあれ


魂のげに美しき宝子ら

  憶うこの夕に

けふの最期の光の使者は

  竹たちの片側のみを輝かすなり


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東天
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