算命学余話 #G97
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算命学余話 #G97 (page 1)
前回の『算命学余話#G96玄』では、鑑定実践としてかなり具体的に技法を解説しました。これくらい踏み込んだ話をすると、雑誌に書かれているような占いのレベルではもはや太刀打ちできないことがお判り頂けるかと思います。説明する方だって大変です。中級レベルでこれですから、上級に至ってはどこまで解説できるか自分でも疑問です。
以前、相談者の中から算命学の弟子入りを希望する人が現れたことがありますが、上級技法の説明に自信が持てなかったのでお断りしました。算命学を学べる施設や組織はいくつかあるので、多少時間がかかってもそちらへ入門してカリキュラムに従って学習した方が、技術の習得に漏れがないと思います。『算命学余話』はあくまで学習者・愛好者の気楽な読み物として親しんで頂ければ幸いです。
ところで、前回は生成AIの作り出す作品の「ニセモノ感」について持論を述べました。これを補強する話を耳にしたので、付け加えておきます。
子供の頃アニメ好きだった私がCGを多用した昨今のアニメを見なくなったのは、前回の余話で語った通り、「手抜き感」や「似て非なるもの感・ニセモノ感」が不快を催すのが主な理由でしたが、更にその下にある原因に気付かされました。
例えば巷に溢れる灰色のコンクリートの外壁や、足元の側溝をモヤモヤと彩っている薄黒いシミは、てっきり排気ガスや砂ぼこりによるヨゴレだと思っていましたが、実はヨゴレではなくコケだったのです。顕微鏡で拡大すれば判ります。壁や地面の表面の僅かな湿気から養分を吸い取る微小なコケ類が無言で生きる姿が、モヤモヤとした模様のヨゴレに見えていただけで、実はヨゴレではなかった。
私だってずっとヨゴレだと思っていたのですから、余人が同じように思っていても不思議はありません。そしてCGアニメのクリエイター達もそんなことは知りませんから、背景にコンクリートの壁でも描く時は「それらしく見える」ようにわざとモヤモヤしたシミをランダムに描き足すわけです。そしてそれを見た私は、違和感を覚えて不快になった。なぜなら、リアルな壁に広がるモヤモヤした模様は、生物であるコケ類が何らかの生命活動の結果そのように繁殖した形なのであって、そこには何らかの生命的且つ合理的な法則があるのに対し、CGアニメの背景はそうした法則を全く無視したヨゴレを「テキトーに」押し広げただけだからです。それを「手抜き」と言えばそうですし、「ニセモノ」と言えばそうです。いずれにしても私は真実も誠意も見出せなくて、結果的にCGアニメを見なくなった。こういう図式です。
なぜこのような話を二回に亘ってくどくど述べたかというと、算命学の技法もこれと同じで、「一見してただのヨゴレ」に見えるものでも、精密に分析すれば実は「コケが繁殖する姿であり、そこには法則性があった」ということと通底するからです。
算命学は理論を積み上げたピラミッド状の思想体系です。そこから導き出される宿命診断や運勢鑑定の結果は、一見すればただのヨゴレ、というか、よく言えば脈絡や根拠の曖昧な神仏からのお告げに聞こえ、悪く言えばインチキ占い師の単なるたわごとに聞こえるかもしれません。しかし実際は、法則性や合理性がある。ちゃんと原因があって、その結果が明示されたり推測されたりしているのです。そしてその原因を作っているのは、我々が暮らす自然であり、宇宙であり、そこには自然科学と根を同じくする法則性がある。
この自然法則に即さないものはこの宇宙には存在しない、というのが算命学の基本思想です。従って、顕微鏡で細部を覗き見ても、望遠鏡で広大な宇宙空間を眺めわたしても、そこにあるのは共通の法則であり、人間の営みもその運勢の行方も、その共通の法則から外れるものではないのです。そういう法則をわきまえた上で、鑑定者は鑑定しなければなりません。でなければ、鑑定結果として伝える助言は、真実とは無縁の、不快を催す単なるヨゴレに堕してしまうでしょう。
今回の余話のテーマは「鉄は熱いうちに打て」です。上述の「法則性」に鑑み、なぜ「鉄は熱いうちに打て」という古い俚諺は今日でも通用する真理として日常会話で使われているのか、算命学的に考察してみます。鑑定技法の話ではないので、日常の知恵として、頭を柔らかくするつもりでお読み下さい。
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