算命学余話 #G96玄
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算命学余話 #G96玄 (page 1)
生成AIのChatGPTが話題になっています。「こういうテーマで文章を作ってくれ」と指示すると「概ね」そのような文章をAIが数秒で提供してくれるので、文書作業の劇的な効率化につながると注目されているのです。
しかし同時に欠点も見えてきました。「一見してそれらしい事を言っているが、実はウソだらけ」な文章が上がって来るという問題です。原因の一つは、AIが元ネタにしている入力情報がそもそも間違いを抱えているのに、統計的に見て「多数」の一致情報が優先的に採用されるため、それらをつなげた文章を綴った結果、真実よりも偽情報に寄り添った内容が出力されることです。AIは自ら学習する賢さがある一方、その最初の学びは人間が手本なのです。つまり人間の抱える情報に誤情報や意図的なウソが含まれるほど、AIの学びは真実から遠ざかっていくことになるのです。それがAIの作り出す「整った文章だけどトンチンカンな内容」に現れているのです。（尤も、今後は真偽のほどを見定める技術をAIに学ばせて修正することが目指されるようです。）
文章に限らず、AIが学習の末に創作した絵画や動画といった芸術作品も同じ問題を抱えています。AIが生み出した「ゴッホ風の絵」や「賞を獲れそうな写真」なども、我々人間は「それっぽい」ことは認めつつも、違和感を禁じ得ません。私などはもうはっきりと不快感を覚えますが、皆さんはどうですか。私はこの不快感の原因を、「真実が阻害されている」ことや、「偽物を本物らしく見せるための技術がもてはやされている」ことにあるのではないかと考えています。そうしたまがい物に感動するような心を人間は備えていないと思うので、最終的に「相手は私を安上がりな偽物で騙そうといる、そして知らないうちに本物をかすめ取ろうとしている」感に落ち着く。だから不快になるのだと。
ところで、生物化学の分野では、既にRNAレベルでの「生命」のゼロからの創造とその後の自己増殖が成功しています。人間は一個の卵細胞が分裂を繰り返してこういう身体にまで成長するわけですが、その最初の細胞に相当する部分の中身を更に細分化し、そのうちのRNAを人工的に合成して、あれこれの刺激を与えると、まるで細胞が分裂増殖するように加速的に自己増殖した、という研究結果が出ています。これは今までのiPS細胞とは違います。細胞も何もないゼロの状態からRNAを合成して、それを自己増殖させたという話なのです。
しかしながら、その研究者は、「これを生命と呼べるかと言えば、呼べない。なぜなら生命の条件は自立していることだからだ」と断言しています。自己増殖するだけでは生命ではないと言うのです。この話を聞いた時私は、AIが作った文章なり作品なりが腑に落ちないのは、そこに生命が感じられないからだと思い当たりました。合成RNAもAIも、共に分子なり情報なりを無限に増殖させることはできるけれど、決して「自立して」はいない。与えられた刺激やデータの範囲内でグルグル回っているだけです。研究者はこれを「自立していない」と表現しましたが、正に言い得て妙です。
この「生命の条件の一つは自立していることである」という命題は、算命学の思想にピッタリです。これまで何度か述べて来ましたが、運勢鑑定の依頼人の中には、「自分が失敗しないための人生の成功レシピを全部教えてくれ」というガッカリする相談を寄せる人がたまにいます。仮にそんなレシピを算命学が提示できるとしても、その通りに生きる人生に何の価値があるのでしょう。せっかくの自分だけの人生を、自ら他者に譲り渡して放棄したも同然ではないですか。私のこのガッカリな不快感は、この種の依頼人が自ら進んで自立を放棄し、「生命としての条件を満たしていない」ことによるのだと、上述の生物研究者の話を聞いてピンと来ました。皆さんはどうですか。
今回の余話は、前回取り上げた英国のヘンリー王子と、その兄ウィリアム王子の宿命を例題にして、通干と透干を説明します。通干（つうかん）と透干（とおかん）は呼び名が紛らわしいですが、全然違う意味の用語です。既に知っている人にとっては珍しい技法ではありませんが、中級技法として知っておかないと鑑定技術が進みませんので、ここで例題を使いつつ詳しく解説しようと思います。前回の中級編#4があまりにややこしくてウンザリした方には、ずっと読みやすい内容になっています。
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