算命学余話 #G92

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算命学余話 #G92 (page 1)

 干支歴の新年である立春を迎えますので、今回の余話は恒例の新年大予想です。
 2023年は癸卯年です。癸水は陰水ですので小川や湖、泉や雨といった小規模な水量の真水・飲み水になります。一方、卯木は陰木なので柔らかくしなる柳や草花に当たり、一本の大樹と違って群生するのが特徴です。つまり天干が雨、雨の降り注ぐ地支が草花、と想像すれば判りやすいかと思います。ごく自然な無理のない穏やかな風景なので、この一年は全体としてそういう雰囲気の気を受けるということになります。

 癸水は、海水である壬水と違って飲み水であり、汚れたものを洗い流す浄化の作用が特徴ですから、不純物が入って濁り水となることを嫌います。水性は五徳の印と対応しているため、癸水の清浄さは頭脳の明晰さを表しています。清らかな水であるほど癸水は威力を発揮し、知性が高まり、周囲を浄化する。そういう役目を担ってこの世に生まれる星なのです。
 こうした癸水にとっての大敵は、何と言っても土性です。壬水であれば多少土が混じってもびくともしませんが、癸水に土が混ざればもう飲み水にはなりませんし、泥水ともなれば透過率も下がって、向こうを見通すこともできません。見通しが悪いということは、知性が曇るということであり、人間性に汚く濁った部分が生じるということです。そんな癸水にとっての干合相手は、よりによって戊土です。この点については後述します。

 一方の卯木は、甲木の大樹と違って剛健ではありませんが、柔軟さがあり、圧力を受けても柳や草のようにしなってダメージを回避します。性質は柔和でしなやか、しぶとく生き残るために群れを作って大敵に対抗する姿が特徴です。その群生地は美しく、花の季節は自然美を極め、見る者の心を和ませます。
 生き残り戦術に長けた卯木は、雨風に晒されたり日照りに苦しめられたりしてもそう簡単に根絶やしにはなりません。庭の雑草をいくら取り除いてもまた生えてくる、あのしぶとさが卯木の強さだからです。
引きちぎられたり枯れたりした草花が生き残れるのは、地下に伸びた根っこがまだ生きていて命を繋ぐからですが、その根っこまでが鎌で刈られたり農具で掘り返されたりすれば、もうおしまいです。従って、鎌や農具に当たる金性が大敵ということになります。特に刃物である庚金は天敵です。そして庚金もまた、卯木の唯一の蔵干である乙木とは干合相手であります。

 水性と木性の関係は「水生木」という相生ですから、癸卯の年は全体的に摩擦がなく、生産的な一年となるでしょう。天から降った雨水によって草花が潤されて育つ。そんな穏やかで美しい風景が、この一年間のあるべき自然な姿だというわけです。
 とはいえ、いま各地で起こっている紛争や暴力や理不尽が新年には一挙解決するかといえば、そうではありません。癸卯は確かに穏やかで調和の取れた気を孕んではいますが、上述の通り、水が濁っていないとは限りませんし、草花が群れ集って栄えているとも限りません。
 既に濁った水は見通しが悪く、人々から知性や理性を奪います。目隠しをした状態での不安が募って疑心暗鬼になり、本来傷つける必要のない周囲を恐怖心から傷つけます。しかもそれは、水性の浸透力によって容易に周辺へと広がります。知性が曇ることによって、頭が思い描いた、現実とは合致しないイメージや想像だけで他者を攻撃する方向へ導きやすくなる。それが勝手な妄想や思い込みに過ぎないことが、知性の曇りによって気付けない。そうしたわけで、現在進行中である争い事は、当事者たちが曇りのない知性を取り戻さないことには、事態を好転させることはできないでしょうし、穏やかで生産的な癸卯年を享受することもできないでしょう。

 癸水から卯木を見れば天貴星が出ます。また卯木の蔵干は乙木のみですが、癸水から乙木を見れば鳳閣星が出ます。天貴星は児童の星で、性情は純粋、正義感、知識欲旺盛かつ刷り込まれやすい、意欲に実力が追い付かないジレンマ等です。これに鳳閣星のおおらかさ、自然体、マイペース等を加えてイメージを結ぶと、天真爛漫で心のまっすぐな、前途明るい希望に溢れた自然児が現れます。
 これが新年を覆う気となれば明るい一年だと言えそうですが、上述のように濁り水が裏目に出れば、間違った知識やいらない知識ばかりを頭に詰め込んで判断力を歪ませた、明るい未来を見通す力のないぐずぐずのませた子供といった様相に変わります。同じ児童でもこれだけ違う。鍵はやはり知性の在処、すなわち天干の癸水が握っています。良い一年を過ごすには、自分の知性を自ら磨くか、正しい知性と倫理を備えた他者と交流するのが良いということです。

 争い事や不愉快な出来事はゼロにはできませんが、前回余話#R91に述べたように、それらを軽減するための対処法はありますし、癸卯年の気を上手く利用すれば更に快適で生産的な日々を満喫できます。明暗を分けるのは、聡明か暗愚かの差です。
 また雨が草木を育むように、「育てる」という行為や目標が吉となります。それは未来への真剣な投資です。お金のためではなく、自己研磨と未来の子孫・社会ために知恵を働かせた活動によって、印(英知)と福(幸福)が成果を結ぶでしょう。
 水生木の相生によって、「育てる、増える」現象に親和性のある年であるため、「減る」という現象はあまり予測されません。しかし増えるものが借金であったり、災いの種であったりする可能性は大いにあるので、増やしたくないものがあるなら、せめてそれ以上増えないよう現状維持の対策を練るべきでしょう。減税もなさそうですね。増税はあっても。

 ざっくりとした年間予想はこのくらいにして、以下は癸卯日生まれの宿命について考察します。
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