ほんのつくり話

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<1万年の時を越えて>


・あなたは、子供のころ、少し甲羅の形が変ったカメを亀吉くんと呼んで可愛がっていました。
 ある日、あなたの家族は引っ越すことになり、カメは連れていけないと言われて、あなたは泣く泣くカメを近くの公園の池に捨てに行きました。

 それから数十年が経ち、あなたは、かつて住んでいた場所の近くに引っ越して来ました。ある日曜日、あなたが公園に行くと、池の中で泳いでいる少し変った形の甲羅をしたカメを見つけました。あなたはそのカメに話しかけました。
 「もしかして、きみは亀吉くん?」
 「。らかたて来に園公のこらかてい老年はたなあ
      。るてっ知くよはとこのたなあ、もで
         。よいならかわはにクボ、ぁさ」
 とカメは言いました。
・あなたは、驚いて尋ねました。
 「きみは未来から来たの?」
 カメは答えました。
 「。らかすで逆はとたなあ、はき向の間時の私
  。たしまれま生に後年万1はで間時のたなあ」

 あなたは自分の将来のことを訊こうと思いましたが、すぐに思いとどまりました。
 カメは続けてこう言いました。
 「。だんいならか分はとこの去過
  、どけるいてえ憶はとこの来未」

 あなたはカメを捨てたことを知られたくなかったのです。
 カメは子供のころのあなたに会うとも知らず、どこかに泳いでいきました。
・あとで、あなたは、あることに気付きました。
 「そうか! 子供の頃、自分は亀吉くんを池に捨てたけど、
       亀吉くんは僕がひろってくれたと思う筈だ。
  そしたら、その時に流した涙は再会のうれし涙ってことにはならないかなぁ。」 [完]
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作家:無名のヒト
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