ほんのつくり話

ほんのつくり話100の有料書籍です。
書籍を購入することで全てのページを読めるようになります。
ほんのつくり話を購入

<1万人眠らせた羊>



・あなたは眠れない夜、よく羊を数えていました。
 ある日、あなたはいつも最初に出てくる羊に尋ねました。
 「あなたは何処から来たの?」
 その羊は「ニュージーランドから。」と答えました。
 あなたはさらに、「これまでどれくらいの人を眠らせたの?」と尋ねました。
 羊は気まずそうに答えました。「数えるのは苦手、数えられるのは得意だけど。」
 あなたはまた尋ねました。「昨日はうまく眠らせた人、いたの?」
 羊は、「あぁ、ぐっすり眠った子供がいたよ。」と答えました。羊にとって1万人目となった子供は、永眠についたのでした。
 「そういえば、次に来る友達の話によると、お姫様をずい分長い間眠らせたこともあったらしいよ。」といって、羊は去っていきました。
 あなたは、羊の話を聞いた後、眠れなくなりました。[完]

<1万年の時を越えて>


・あなたは、子供のころ、少し甲羅の形が変ったカメを亀吉くんと呼んで可愛がっていました。
 ある日、あなたの家族は引っ越すことになり、カメは連れていけないと言われて、あなたは泣く泣くカメを近くの公園の池に捨てに行きました。

 それから数十年が経ち、あなたは、かつて住んでいた場所の近くに引っ越して来ました。ある日曜日、あなたが公園に行くと、池の中で泳いでいる少し変った形の甲羅をしたカメを見つけました。あなたはそのカメに話しかけました。
 「もしかして、きみは亀吉くん?」
 「。らかたて来に園公のこらかてい老年はたなあ
      。るてっ知くよはとこのたなあ、もで
         。よいならかわはにクボ、ぁさ」
 とカメは言いました。
・あなたは、驚いて尋ねました。
 「きみは未来から来たの?」
 カメは答えました。
 「。らかすで逆はとたなあ、はき向の間時の私
  。たしまれま生に後年万1はで間時のたなあ」

 あなたは自分の将来のことを訊こうと思いましたが、すぐに思いとどまりました。
 カメは続けてこう言いました。
 「。だんいならか分はとこの去過
  、どけるいてえ憶はとこの来未」

 あなたはカメを捨てたことを知られたくなかったのです。
 カメは子供のころのあなたに会うとも知らず、どこかに泳いでいきました。
・あとで、あなたは、あることに気付きました。
 「そうか! 子供の頃、自分は亀吉くんを池に捨てたけど、
       亀吉くんは僕がひろってくれたと思う筈だ。
  そしたら、その時に流した涙は再会のうれし涙ってことにはならないかなぁ。」 [完]
ほんのつくり話100の有料書籍です。
書籍を購入することで全てのページを読めるようになります。
ほんのつくり話を購入
krtdrm
作家:無名のヒト
ほんのつくり話
0
  • 100円
  • 購入

4 / 8

  • 最初のページ
  • 前のページ
  • 次のページ
  • 最後のページ
  • もくじ
  • 購入
  • 設定

    文字サイズ

    フォント