ほんのつくり話

<3匹の猪>


・むかし、ブターンという島に、兄弟3匹の猪がいました。
 一番上の猪は煉瓦で家を建てて住み、
 下の2匹の猪を招いては、
 「どうだ、お前たちの家に比べて立派だろう。」
と自慢していました。
 二番目の猪は木の家を建てて住み、末っ子の猪はワラの家に住んでいました。

 ある日、大きな地震が起こり、煉瓦の家は崩れてしまい、木の家とワラの家は津波で流されてしまいました。
 困り果てた2匹の猪は、末っ子の猪のところにやって来ました。末っ子の猪はまたワラの家を作っていました。
 一番上の猪は、「お前のワラの家に泊めてもらうことはできそうもないな。」と言いました。
 二番目の猪は、「折角建てた家が流されてしまって、どうしようもなくなったよ。」と言いました。
 末っ子の猪は、「ぼくの家は簡単だから、すぐに作れるよ。」と笑って答えました。
・地震と津波に襲われた兄弟3匹の猪は、いっしょにワラの家を作ることにしました。
 3匹が一休みしているとき、
 「もう少しで完成だな。
  ところで、このワラは何処でもらって来たんだ?」と一番上の猪が末っ子の猪に訊きました。
 「農家からもらって来たんだよ。いつだったか、兄さんたちに教えてもらったところだよ。」と末っ子の猪が答えました。
 「ニュースでやってたけど、地震で原発事故が起きたの、知らないの?」と二番目の猪が言いました。
 「もしかすると、お前がもらってきたワラは放射能で汚染されているかも知れないぞ。」と一番上の猪が言ったとき、3匹は互いに目を合わせてしまいました。
 結局、3匹の猪はワラの家を捨てて、別の場所に移ることにしました。
・ワラの家を捨てて3匹の猪がやって来た場所は、海岸から遠く、とても不便なところでした。しかも、家を建てるための材料などは全く見当たりません。
 「これから、どうやって住む家を作るの?」と末っ子の猪は言いました。
 「材料がないから、穴を掘るしかないな。」と一番上の猪が呟きました。
 「あの山に横穴を掘るってのはどう?」と二番目の猪がヒラメキました。
 山に掘られた横穴は、3匹の猪が寝泊まりしてたのに何故か今では「トンネル」と呼ばれています。[完]

<3匹の猪(結末)>

・あなたは、あの3匹の猪が最後にどうなったのだろうか、と思うかも知れない。
 
 3匹の猪は、横穴をさらに掘り進んでいきました。
 「どこまで掘っても、終わりそうもないね。」と末っ子の猪がいいました。
 「ところで、この黄金色の石は何かな?」と2番目の猪がいいました。
 「お前たちは、「豚に真珠」っていうコトワザがあるのを知ってるか?
  俺たちの親戚には関係ないって意味さ。」と、1番上の猪が知ったかぶりに答えました。
 3匹の猪は、黄金には目もくれずにどんどん掘り続け、遂に山の反対側に到達しました。3匹の猪が「トンネル」を抜けると、そこは雪国でした。

P.S.
 3匹の猪は、厳しい冬を耐え抜いて、豊かな自然の中でお互いに助け合いながら幸せに暮らしたそうな。メデタシ、メデタシ。

<呪文>

 <呪文>・貴方はある日、不思議な体験をしましたが、そのことを誰にも言わずにココロの中だけに仕舞っておきました。


・貴方はある日、不思議な体験をしましたが、そのことを誰にも言わずにココロの中だけに仕舞っておきました。

 ある時、貴方は知人が病に倒れたと聞いて、病院に行きました。知人の親族たちが食事に行っている間、貴方は知人と2人だけになり、ある呪文のコトバをかけました。それから間もなく、知人は病気から回復しました。

 別の時、貴方は見知らぬ人が道端で倒れているのを見つけました。貴方は直ぐに駆け寄り、ある呪文のコトバをかけました。そのとき、その人は目を開けたので、貴方は救急車を呼ぼうとしましたが、その人から必要はないと言われました。その見知らぬ人は回復して立ち去っていきました。

 そのようなことが十数回もあった後で、貴方は交通事故に遭いました。歩いていた貴方に車が後ろから突っ込んだのでした。その時、ある人が近づいてきて、あるコトバを貴方にかけました。
 貴方はハッとして意識をとり戻しました。
 それは、貴方が使ってきた呪文のコトバでした。

<1万回家出した犬>



・ある日、あなたの飼っていた犬が家出しました。
 理由は分かりません。あなたは近所を隈なく探しましたが、見つかりませんでした。
 犬は、しばらくの間、野良犬となって自由に暮らしていました。ある時、犬は捕まって保健所に連れていかれましたが、運良く飼い主が現れました。
 それから10回目の家出の後で、次の飼い主のところにいる間、犬は高価な首輪をしていました。
 100回目は、飼い主が帰って来なくなったときでした。
 1000回目は、飼い主が茶トラの猫をつれてきたときでした。
 10000回目のとき、老いた犬は何故かあなたのことを思い出し、長い旅に出ました。ようやく、あなたの家の近くまで辿り着いた犬は、あなたと子供が楽しそうに散歩しているのを見かけました。その子供が連れていたのは同じ種類の子犬でした。


・犬は立ち止まって、あなたを見ていましたが、安心した様子でその場に横たわり、再び起き上がることはありませんでした。
 あなたは、その日の夕方、近所の人から犬のことを訊かれましたが、自分の犬ではないと答えました。

・家に帰ると、あなたは子供とゲームをして遊びました。
 その夜、あなたは最初に飼った犬が家出したときの夢を見ました。
 翌朝、あなたは起き上がると、「もしかすると昨日の犬は」と呟きました。

 成長した子犬は、ある日、子供といっしょに最初の家出をしました。[完]

<1万人眠らせた羊>



・あなたは眠れない夜、よく羊を数えていました。
 ある日、あなたはいつも最初に出てくる羊に尋ねました。
 「あなたは何処から来たの?」
 その羊は「ニュージーランドから。」と答えました。
 あなたはさらに、「これまでどれくらいの人を眠らせたの?」と尋ねました。
 羊は気まずそうに答えました。「数えるのは苦手、数えられるのは得意だけど。」
 あなたはまた尋ねました。「昨日はうまく眠らせた人、いたの?」
 羊は、「あぁ、ぐっすり眠った子供がいたよ。」と答えました。羊にとって1万人目となった子供は、永眠についたのでした。
 「そういえば、次に来る友達の話によると、お姫様をずい分長い間眠らせたこともあったらしいよ。」といって、羊は去っていきました。
 あなたは、羊の話を聞いた後、眠れなくなりました。[完]
krtdrm
作家:無名のヒト
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