算命学余話 #G66

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算命学余話 #G66 (page 1)

 最近、自殺志願者が殺傷事件を起こしては、「自分も死ぬつもりだった」とか「死刑になりたかった」とか言い訳する事件が続いています。「だったら一人で勝手に首でもくくれ。他人を巻き込むな」と私などは思いますが、こうした事件が模倣犯も含めて増えている件について、算命学はどのように眺めているのでしょう。
 勿論、昨今の世相として、もう足掛け三年にもなるコロナ禍が、国民にストレスを与え続けた結果、各人の忍耐のハードルが下がって短絡的になり、こうした事件を起き易くしているのだ、と推測することはできますが、だからと言ってストレスを受けた誰もがこの種の巻き添え事件を起こすわけではありません。そこには何らかの引き金となる要素があると考えられます。
 しかもこうした事件の加害者は、「自分が死にたかった」と言いながら、結局自分は生き残っている場合が多い。要するに「自殺に失敗した」か、「最初から死ぬつもりはなく、単に腹いせに誰かを傷つけたかっただけ」です。知恵を司る龍高星・玉堂星からすれば、「何で失敗すんの? もっと頭使って計画立てて確実に自分だけ死ね!」というところですが(冷たい!さすがは北方の冷気!)、印星の皆さんがこう思っているということは、こうした不手際な未遂事件を起こすのは、印星と対極にある寿星ということになります。人体図頭部と人体図腹部の差、とでも言いましょうか。

 念のため、寿星の皆さんが不当な批判を浴びないよう補足するなら、どの人も後天運では必ず寿星が回って来るので、宿命に寿星がないからといってこうした事件を起こさないとは限りません。誰しもこうした事件を起こす可能性はあるのです。あるけれども、その可能性を高めるのは寿命を司る寿星であり、鳳閣星と調舒星のどちらかと言うなら、大らかな鳳閣星よりは、毎度お騒がせの調舒星ということになります。調舒星は孤独の星であり、同時に寂しがり屋の星だからです。この性質が「死にたくもない人たちを巻き添えにして死のうとする」のです。孤独と寂しさを、こうすれば同時に消化できる。調舒星に自殺相があるというのは、こういう理屈からなのです。

 寿星がこの種の「事件」を起こすのには、もう一つ理由があります。それは、寿星が表現を旨とする星だからです。彼らの伝達本能が何らかの表現活動を欲しており、それが自殺や他殺となると、あたかもショーのような魅せ方をする。
 印星の皆さんが「何で失敗すんの?」と首を傾げるのは、印星が自殺なり他殺なりする場合、誰かに見てもらうおうという発想がないからです。他に目的がないのなら、完遂することだけに専念すれば良い。そこに頭を使えば良い。死にたいのなら自宅で首を吊るのが一番だ。これが印星の冷えた考え方で、そこにアピール欲はありません。
 しかし寿星はそれでは気が済みません。いくら寿命を司っているからといって、そんな地味な死に方はしたくないのです。もっと派手にやらないと。基本的に、寿星は官星と違って名誉には拘らないので、自分が起こした事件が世間にどう評価されるかはあまり考慮しませんが、自分が起こした事件によって周囲が驚き、自分に注目してくれることは望んでいます。そうすることで、寿星は輝くからです。だから寿星は、芸術や創作に欠かせない星であるわけですが、これが裏目に出ると、ワイドショーが好むような派手な事件を起こすのです。

 冒頭の「なぜ最近この種の事件が増えているのか」に戻ると、一つの回答としては、「実際に数が増えたわけではなく、報道の数が増えただけ」というもの。以前なら伏せられていたような事件も、昨今のマスメディアが人のプライバシーを無視して何でも暴露したがり、視聴者もそれを許しているせいで、世間に晒される機会が増えたという見立てです。
 二つ目の回答は、先天運又は後天運の寿星が「アピール」したがることによって、殺傷事件は「意味」よりも「目立つこと」が重視されるというもの。そしてその数なり報道頻度なりが増えた理由は、世間に「寿」の未消化が広がっており、自然はバランスを取るためにこうした事件を増やして均衡を保とうとしている、というもの。これは算命学らしい考え方です。

 今回の余話は、こうした寿の未消化について、現代社会を斜め下から見上げてみます。寿星が司っている「生命」とは、文字通りの「いのち」を中心とした寿命や健康から、生殖、子孫、遺伝子の伝達、種の保存等々にまで至りますが、現代社会にはこれらが健全に機能していないと思われる点がいくつか挙げられます。その機能の不具合が、冒頭に掲げたような事件、理性の星を輝かせて見れば首を傾げたくなるような事件を誘発しているのではないか。そういう観点から、算命学的な分析を試みます。
 また余談として、十大主星の自殺度も考えてみます。以前「十大主星の浮気度」を考察してみましたが(『算命学余話#G49』参照)、十大主星が自殺するとしたら、どういう理由でどういう行動をするか、参考までに考えてみます。「自殺は調舒星の十八番だ」と思われては困りますので。
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