算命学余話 #G63

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算命学余話 #G63 (page 1)

 世間の常識に挑む発言で人気の社会学者、古市憲寿氏らが一般人のコアな悩みを聞く深夜番組に、こんな相談者が現れました。「赤ん坊を見ると、虫を見た時のような嫌悪感を覚える」という二十歳くらいの若い女性。「どうしても赤ん坊を可愛いと思えない。親戚の子供を抱かせてもらっても我慢して笑顔を作っている。今後結婚して出産しても自分の子供が可愛く思えずに、育児放棄をするのではないか。そもそも自分は人間として間違っているのではないか」という真剣なお悩み相談でした。
 古市氏を含む相談員はさすがというか、一般常識にとらわれない感性でこれに応じます。「人間誰もが赤ん坊を可愛いと思っているわけではない。苦手な人はいくらでもいる。ただあなたのように世間評が気になって、同調しているフリをしているに過ぎない。人間はそれぞれなので、誰もが赤ん坊を可愛いと思う必要はないし、それを強いられる必要もない。もしかしたら自分の子供が生まれたら、急に赤ん坊が可愛く見えるかもしれないが、そうならなかったとしても別段異常ではない。世の親たちは赤ん坊が可愛いから子育てしているのではなく、責任や義務感から育てているので、可愛いという感情は必須ではない。可愛いと思えたら子育ては楽だろうけど、そうならないからといって人間性が欠けているというのは飛躍し過ぎだ」。概ねこんな回答だったと思います。

 算命学から見れば、こんなのは常識です。地球の半分が昼ならば、もう半分は夜なのです。この自然界の厳然たる陰陽相は、当然自然界の一部である人間にも当てはまります。赤ん坊が可愛い人がいるなら、当然可愛くない人もいる。必ずいるのです。たとえ世の一般的感覚が「殺人は悪だ」と判断していても、殺人を犯す人は後を絶ちません。彼らは殺人を悪だと考えていないか、もっと酷い悪を回避するために殺人を肯定しているか、どちらかです。陽があれば、背後には必ず陰がある。(ちなみに、現在地球上の生物で一番人間を殺しているのは蚊で、年間70万人程。二番目は人類で、年間45万人程だそうです。これが現実です。)
 だから「殺人は悪だ」だとか、「みんな赤ん坊が大好きなはず」などと安易に断定するのは、人間をよく考えも観察もしていない、思考の浅い世間知らずの言うセリフなのです。上述の番組の相談員は、その点はちゃんと理解している、世間知の豊富な人たちだと言えそうですし、この相談者は二十歳でこの事実に気付いたから良かったけれど、もし気付かないまま社会人となり、結婚して子育てしたら、世界の陰陽相の片側しか認識できない、狭い価値観から抜け出せない大人として、その価値観を子供に押し付け、「赤ん坊が虫に見える」タイプの人間を「人でなし」呼ばわりして苦しめる人間になっていたかもしれません。その方がずっと恐ろしい。赤ん坊が虫に見えるくらいでは、誰かに迷惑を掛けるとも思えないからです。

 より深刻な例をもう一つ挙げましょう。経済格差の弊害が子どものいる家庭に深刻な影響を及ぼしている昨今の世相に応え、政府は「子ども庁」の新設を検討していましたが、この度「子ども家庭庁」という名称に決まりました。これについて、親による虐待経験を持つ某市民活動家は、名称に「家庭」が付いたことに大いに失望していました。つまり、子どもの人権と家庭即ち親の意向や存在は、一体と見做してはいけないというのです。
 世間一般の感覚では、「親はわが子を大事に思って進んで養育するのが当たり前」かもしれないが、実際にはそうでない家庭があり、そこでは子どもはいわゆる毒親の餌食となって、人権を大いに侵害されている。「親の満足が即、子どもの幸福ではない」という事実は、虐待経験者にしか判らないかもしれないが、だからといって「親はわが子を大事にするもの。毒親なんて存在しない。親と子はいつも一緒にいるのが幸福だ」という片側の価値観で行政が行われるなら、虐待されている子どもはもはや家庭から逃げ出すこともできなくなる。こういう理屈で、子ども庁に「家庭」の文字が入ったことの弊害を危惧しているのです。

 最近流行語にもなった「親ガチャ」という言葉は、ガチャガチャで何が出て来るか判らないように、子どもは親を選んで生まれて来ることはできない、という意味だそうです。多くは親に対する不満の表明として否定的に使われています。それほど現代の親たちは子供の信用に応えていないのでしょうか。それとも今時の子どもたちの要求が昔に比べて贅沢になっているのでしょうか。そもそも本当に子は親を選べないのでしょうか。スピリチュアリストの江原啓之氏などは、「子どもはあの世で親を選んで生まれて来ます。だから子は親を選べないというのは嘘です。忘れているだけです」と明言していますが、私は霊能者でないのでこの点の正否は判断できません。
 では算命学はこの点をどのように捉えているのでしょうか。今回の算命学余話は、親ガチャについて考えてみます。
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