ラスボスの思想(10)

                      地球環境

 

 地球環境は、悪化しているのでしょうか? 悪化しているとすれば、悪化の原因は如何なるものでしょうか? 現在のところ、地球に最も悪影響を与えているのは、地球人でしょう。森林を伐採し、砂漠化を拡大しています。原子力発電所を建設し、海水を温め、さらに、海洋に放射性物質を放流しています。最悪なことに、一たび原発事故が起きると、大気に放出された放射性物質によって、世界中の空気は汚染され、さらに、放射性物質を摂取した人間、動物、魚類、植物たちは、内部被曝に苦しめられます。

 

 

 地球の無法者ともいえる地球人の未来は、いかなるものになるのでしょうか? ネズミ以上に繁殖を続ける地球人は、幾度ともなく共食い戦争を繰り返してきました。創造豊かな地球人の脳は、今後、AIやそれ以上の人工知能を開発するでしょう。それらによって、私たちの生活は便利で豊かになるに違いありません。でも、一方では、それらは、より高度な殺人兵器を作り出して、共食い戦争をより一層悲惨なものにすることでしょう。

 

 

 一つ、面白いことが考えられます。それは、過激な共食い戦争を続けて、地球人が全滅したとします。この時に、偶然にも、創造豊かなAIだけが残存したとします。そして、残存したAIが、偶然にも機能し続けたとします。果たして、彼らは、いかなるものを創造するのでしょうか? おそらく、このようなことはないと思いますが、考えるだけで愉快になります。

 

              宇宙人

 

 ところで、地球人より優秀な脳を持った生物が、宇宙のどこかの惑星に存在するのでしょうか? 仮に、地球人より優秀な脳を有した宇宙人が、宇宙のどこかの惑星に存在したと仮定して、その宇宙人は、生物なのでしょうか? 酸素と水を必要とするのでしょうか? 光と電気を必要とするのでしょうか? 雌雄があるのでしょうか? 自然繁殖するのでしょうか? 地球人のような記号を創造するのでしょうか? どのような手段で交信するのでしょうか? 共食い戦争をするのでしょうか? 

 

 

 今、地球人よりはるかに優秀な宇宙人が、どこかの惑星に存在したと仮定しましょう。そして、そのような宇宙人が、地球人に知られないように地球にやってきたとします。この時、宇宙人は、地球人をどのようにとらえるでしょうか? 地球には、二本足で立って歩く下等な動物がいたるところに生存していると宇宙人が認識したしましょう。この時、宇宙人は、地球人を相手にせず、どこかに飛び立っていくのでしょうか? それとも、下等な地球人に改良を加えて、利用するのでしょうか? それとも、地球人をすべて殺処分して、地球上に宇宙人に役立つ、新生物を創造するのでしょうか?

 

 

 地球人は、自分たち以上に知的に優秀な宇宙人の存在を想像します。私たちは、知的に優秀な宇宙人にあこがれているのでしょう。意外なことに、共生と平和を求め、戦争をしない宇宙人を想像しません。戦争しない宇宙人は、優秀ではないのでしょうか? 仮に、戦争をしない宇宙人がいたとして、彼らは、どのようにして、共生するのでしょうか? 妬んだり、憎しみを持ったり、敵意を持ったり、殺意を持ったり、しないのでしょうか? 

 

 当然、地球人は、敵意という感情を持っています。感情を取り去ってしまえば、もはや、地球人ではなくなってしまいます。もし、感情のない宇宙人がいたならば、彼らは、いったいどのような意思が働いて生存しているのでしょうか? 知的な意思と考えた場合、その知的な意思とはいかなるものなのでしょうか? 宇宙人には、食糧や異性の獲得において、戦争を避けることができる何らかの知的な意思が働くのでしょうか?

 

 

 宇宙人を地球人の延長線上に考えてしまえば、謎が深まるばかりです。では、宇宙人を地球人とは全く異なる特異物体と考えてみてはどうでしょう。酸素も水も必要としない、食糧も必要ない、光も電気も必要ない、お金も必要ない、雌雄もない、つまり、お互いに争う要素がまったくない宇宙人を考えてみるのです。このように考えれば、争いの要素がないわけだから、共生できるように思えます。そう考えると、いったい、このような宇宙人とはいかなる物体となるのでしょうか?

 

 

 ここまで条件付けをしてしまうとこのような宇宙人は、存在しないように思えてしまいます。また、このような宇宙人がたとえ存在したとしても、地球人にとって、どのようなメリットがあるのでしょうか? 地球人は、とかく、自分たちに都合のいいような宇宙人を想像するものです。そして、そのような都合のいい想像を楽しんでいるにすぎないように思えてなりません。

 

         

               地球人の幸福

 

 地球人は、共食い戦争をする感情を有する生物です。この特徴を持った生物が地球人であることは、現実の事実です。この事実を踏まえたうえで、地球人の未来を考えなければなりません。現在、共食い戦争と言えるワクチン殺戮が進行しています。このままワクチン殺戮がつづけば、数十億人が、死亡するでしょう。このようなことが現実化し、人口が急激に減少し、地球上に約1億人が生き残ったとしましょう。生き残った約1億人には、いかなる幸福が待ち受けているのでしょうか? それとも、予想もしなかった不幸でしょうか?

 

 

 地球人は、感情を有する生物です。その感情には、「幸福」という愉快な感情と「不幸」という不愉快な感情があります。誰しも、不愉快な感情を排除して、愉快な感情を手に入れようとします。だから、幾度となく、地球人は、争いを繰り返してきました。だからと言って、地球上から争いをなくすために、この地球人の特性を抹殺することができるでしょうか? それは、当然できません。というのは、感情の存在は、地球人の不可欠な条件だからです。ならば、幸福を得るためには、永遠に争い続けなければならないのでしょうか? 今のところ、誰も、戦争をなくす方法を見つけ出すことができません。

 

 

 地球人である限り、感情を有した生物であり続けなければなりません。おそらく、地球人ができることは、争いを可能な限り最小限にすることぐらいではないでしょうか? AIの進化が、共生に役立てばそれに越したことはないのですが、そう、うまくいかないでしょう。むしろ、争いを悲惨なものにする可能性があります。それでは、もはや、地球人の世界には、共生は訪れないということでしょうか? それに対する答えは、誰も持ち合わせていないでしょう。

 

 

 

春日信彦
作家:春日信彦
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