恋人になるレシピ(書籍のみ)

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第1話( 1 / 3 )

 大好きな人と、必ず両思いになれる。
 そんな恋のレシピがあれば、いいのに……。
 私、森田菜緒は、趣味のお菓子を作りを楽しみながら、ふと、そう考えていた。


 長い長い受験というトンネルを抜けて、晴れて大学生になった私の心は、そのキャンパスを彩る桜の花びらのように、軽やかに華やいでいた。
 こういう時に人というのは、何か新しいことに挑戦したくなるものだ。
 校門前でもらったテニスサークルのちらしを手に、私の足は体育系サークルの部室がいくつか並ぶ校舎のある方に、向かっていた。

「俺達少し、離れないか?」
 突然私は、腕を掴まれた。幼馴染みの河村俊である。
「大学では、俺の行動範囲に入るなよ」
「何よ、それ」
「わかってて来たんだろ、このサークルに」
「別に私はただ、テニスをやりたかっただけで……」
「……」
「え、じゃあ……もしかして俊、ここに入ったの!?」

 確かに同じサークルなら、ラッキーだと思ったのは事実。でも俊がテニスをやるなんて、あり得ないことだと思っていた。
 一緒に通った中高一貫では、365日サッカー漬けだったし。
 それに彼に他のスポーツは、どうも似合わない。

「ね、でも、どうして俊がテニスなの? サッカーは?」
「サッカーはもういいよ」
「大学入ってからも続けたいって」
「受験で半年、体動かしてなかったんだ。俺としては、中途半端にやりたくない」
「ま、わかる気もするけど……でも何で、急にテニス?」
「いいじゃんか」
「だってそんなこと、一言もいってなかったから……」
 
 何かが、変だ。
 私の脳裏に、ピーンときた。
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オリオンブックス
作家:戸塚孝美
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