算命学余話 #G32

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算命学余話 #G32 (page 1)

 『算命学余話#G29』は副題を「適応に限界あり」とし、人間が生きる環境に適応し得るかどうかの判断や、適応の限界の見極めについて論じました。同じ環境にあっても適応できる人とできない人がいること、あまりに無理な適応を強いると正常な感覚が麻痺し、知らぬうちに自己崩壊へと導かれてしまうことは、特に算命学の知識がなくても常識的に判ることです。しかし昨今の世間が認める人間像は、誤った平等思想の広まりによって、同じ環境にいれば誰もが同じように適応し、或いは逆に誰もが適応しないものであり、その境界線は誰しも一緒だと思われている節があるので、人間はそんな風に一律で単純なものではなく、適応・不適応の境界線はばらけている、ということを算命学の視点から紐解いてみました。

 算命学の役割とは本来こうしたものです。世の中の大多数がひと度「こうだ」と認めたことがその時は正しく思われたとしても、時代の変遷によっていずれは古びて「適応」しなくなるので、その不適応が大きな災いとなる前に、反対意見である少数派の言に耳を傾けてみる。すると以前見過ごしていた些細な見解が、今頃になって大きな影響を及ぼす一大見識になっていたりするものなのです。
 算命学の陰陽論はこうした「大/小」や「多/少」の入れ替わりを自然法則として認めるものなので、陰陽どちらか一方向だけが永遠に続くかのような考え方には与しません。「奢れるものも遂には滅びる」とは日本の歴史と古典の知恵ですが、たとえ奢りがなくても変化のない状態が長く続けば、物事は自然と滅びるものなのです。滅びたくなければ時代に即した変化・適応をすることです。どうしても変えたくないものがあるなら、それだけを変えずに周囲を変えるという手もある。それは工夫次第です。しかし工夫するには何と言っても知恵が要る。算命学はそうした知恵のひとつです。

 時代は変遷期に来ています。これまでの価値基準や方法論では、社会は正しく回らなくなってきました。時代遅れのシステムの中で生きる人間は適応が困難になり、心身は健全でなくなり、生活は苦しくなり、「貧すれば鈍する」で知恵も湧かない。しかしこの時代遅れのシステムでうまい汁を吸って来た一部の人間は、このシステムを変えたくないと思っている。変えれば自分たちが今まで通りのうまい汁を吸えなくなるからです。彼らはあらゆる力を駆使して現状を維持しようとしますが、自然は変遷を止めない。時間を止められないのと同じです。従ってどちらに軍配が上がるか、勝敗は明らかです。
 この流れを無理にでも止めようとブレーキを掛けても、最初はそこそこ効くかもしれませんが、やはり最終的には押し流されます。水の流れは堰き止められない。やがて脇から段々水が漏れてきて、その隙間は徐々に広がっていく。水は溢れ出す。この溢れ出した水が、今年一年を席巻したコロナ禍という形を取ったのではないでしょうか。

 今回の余話は、2020年も終盤ですし、この一年、この話題一色だったコロナ禍について考えてみます。算命学は元より未来予測するための道具ではありませんが、経験深い漁師が夕暮れ時の海と空を眺めるだけで翌日の天気を言い当てるように、算命学も積み重ねてきた理論と実績によってある程度の未来予測は可能です。それでもコロナウィルスの登場にまつわる具体的な災厄までは予見できませんでした。予見できるのは、「時代の変遷期に既に突入している現代社会が、その流れを阻止しようと抵抗し、その抵抗によって出血を強いられる」ということぐらいです。
 出血とは文字通りの意味ではなく、人間にとっての痛みや苦痛、事故や不条理、不安といったネガティブな事象という意味です。当然、出血多量で命を落とす人も出るでしょう。しかしその死や災厄は、果たして不自然なものなのでしょうか。算命学の視点では、不自然ではありません。不自然なのは、現状をいつまでも変えまいとする人間の固執の方なのです。なぜなら、自然は日々刻々移り変わるものであり、その流れに適応しない人間は淘汰されるのが自然だからです。尤も、コロナによって大して打撃を被らなかった人も大勢いますから、彼らの生き方を見れば、時代の変遷に対してどう適応し得るのかを学ぶことができるでしょう。
 算命学の思想をよく理解している読者には既に気付かれていることと思いますが、この一年、人間世界を蹂躙したコロナ禍(※コロナウィルス自体は大した災厄ではありません)によって自然は何を人間に伝えようとしたのか、コロナウィルスを登場せしめた人間社会の所業とは何であったのか、考察してみます。
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