ラスボスの思想(3)

 まず、戦争をなくすためには、戦争を引き起こす最大の要因であるマネーゲームを排除しなければなりません。人間組織に利害が生まれるのは、人間が価値を生み出し、それをマネーゲームに変換するからなのです。では、それに代わる方法はあるのでしょうか?

 

 そこで重要な役割を果たすのが、自己満足を求めない非生物のAIロボです。AIロボが価値を生み出し、お金を媒介とせず、人間組織がその価値を平等に享受するのです。つまり、可能な限り、AIロボが人間に必要な物資を生産し、そして、人間は平等に物資の分配を受けるのです。

 

 自己満足を求める人間と自己満足を求めないAIロボが、共存する世界を作り出すのです。一見、妄想のように思われますが、これは実現可能なのです。近い将来、戦争を不要とするAIロボ管理社会が構築されることでしょう。

 

 

            人造人間

 

 私は、小学生のころ、いずれ、人間は、人間を人工的に作り出せるようになるという妄想を持っていました。それは、フランケンシュタインのドラマからの発想でした。

 

 誰しも一度は、子供のころ、どうやって子供が生まれてくるのか、疑問に思い親に質問したことがあるのではないでしょうか? そんな時、ある人はコウノトリが子供を運んでくると聞かされたのではないでしょうか。疑い深い子供は、さらに、コウノトリは、どこから子供を運んでくるのかと質問したかもしれません。

 

 小学校では、生物の時間に、人間は、男子が持っている精子と女子が持っている卵子の結合によって誕生すると習います。一応、教科書に書いてあるから正しいと納得するのですが、不思議な事実だと思いました。

 

 アニメの世界では、鉄腕アトムが空を飛び、ロボットが話をします。さらに、ドラえもんとのび太君がタイムマシーンで原始時代に飛んで行ったり、透明人間になったり、人間では不可能と思われることをやってのけます。これらがアニメだとわかっていても、ますます、人間が人工的に人間を作ることは可能だと思うようになりました。

 

 でも、人工授精に成功した、AIロボが開発された、というニュースはありましたが、精子と卵子を人工的に作り出したというニュースは、いまだ、ありません。やはり、人間の知能にも限界があるとつくづく実感しました。

 

 人工的に作り出された精子と卵子による人造人間はムリだとしても、集積回路(IC)と人工知能(AI)などを使った人間のような感情を発現するAIロボが、いつの日にか開発されるのでしょうか?

 今では、AIが進化し、人間以上の知能を持つようになりましたが、AIロボと人間が共同研究したとしても、AIロボに感情を持たせるようになるには、まだまだ、先のことのように思えてなりません。

 

 人には、複雑な喜怒哀楽の感情があります。感情はどのようなメカニズムで発現するのでしょうか?非生物のAIロボには、当然、感情はありません。AIロボに人間のような感情を持たせるためには、まず、感情とは何かを解明しなければなりません。

 

 感情はニューロン機能によって発現されますが、厄介なことに、ニューロン機能には、電気作用と化学物質作用があるのです。電気作用については、集積回路に見られるように、かなりの技術の進歩がみられますが、化学物質を媒介とする生物的技術開発は、まだまだ、未熟なのです。

 

春日信彦
作家:春日信彦
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