ラスボスの思想(3)

 おそらく、人は、未来永劫、組織を、国家を、作り続けるでしょう。ならば、人は、組織から、国家から、恐怖を与え続けられることになります。

 

 誰しも、戦争をしたくありません。誰しも、人を殺したくありません。でも、組織、国家、があるために、人は戦争し、殺人を犯すのです。

 

 

           AIロボ管理社会

 

 人間の自己満足と恐怖心についいて、考えてみましたが、AIロボはどうでしょうか?AIロボは動物ではないので、恐怖心はありません。だから、恐怖心を起因として、AIロボが殺人を犯すことはありません。また、AIロボには、自己満足もないということです。

 

 国家がなくなれば、戦争もなくなる、という妄想を持つことはできますが、仮に、国家を減少させることはできても、国家をゼロにすることはできません。また、たとえ、世界が一国になったとしても、利害が対立する組織は、必ず、誕生します。

 

 こう考えていけば、永遠に、戦争は続くことになります。それでは、戦争をしない人間をつくることは可能なのでしょうか?AIロボのように自己満足を求めない人間をつくることができればいいように思えますが、それは、言い換えれば、全く欲のない人間をつくるということです。食欲がない人間は、餓死してしまいます。これでは、人間は、全滅してしまいます。

 

 AIロボのような自己満足を求めない人間をつくることは、現実的に、不可能です。また、自己満足を求める人間が人間組織を管理する限り、必ず戦争は起きるということです。

 

 それでは、どのような組織管理をすれば、戦争は起きないのでしょうか?人間組織が戦争しないためには、戦争を必要としない組織環境を作る必要があります。仮に、すべての人間組織が、精神的、物質的に満足できたたならば、戦争は不要となります。

 

 戦争を必要としない人間組織をつくる方法として、自己満足を求めないAIロボが、人間組織の利害調整を行う管理社会をつくることです。

 

 まず、戦争をなくすためには、戦争を引き起こす最大の要因であるマネーゲームを排除しなければなりません。人間組織に利害が生まれるのは、人間が価値を生み出し、それをマネーゲームに変換するからなのです。では、それに代わる方法はあるのでしょうか?

 

 そこで重要な役割を果たすのが、自己満足を求めない非生物のAIロボです。AIロボが価値を生み出し、お金を媒介とせず、人間組織がその価値を平等に享受するのです。つまり、可能な限り、AIロボが人間に必要な物資を生産し、そして、人間は平等に物資の分配を受けるのです。

 

 自己満足を求める人間と自己満足を求めないAIロボが、共存する世界を作り出すのです。一見、妄想のように思われますが、これは実現可能なのです。近い将来、戦争を不要とするAIロボ管理社会が構築されることでしょう。

 

 

春日信彦
作家:春日信彦
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