ラスボスの思想(3)

            人造人間

 

 私は、小学生のころ、いずれ、人間は、人間を人工的に作り出せるようになるという妄想を持っていました。それは、フランケンシュタインのドラマからの発想でした。

 

 誰しも一度は、子供のころ、どうやって子供が生まれてくるのか、疑問に思い親に質問したことがあるのではないでしょうか? そんな時、ある人はコウノトリが子供を運んでくると聞かされたのではないでしょうか。疑い深い子供は、さらに、コウノトリは、どこから子供を運んでくるのかと質問したかもしれません。

 

 小学校では、生物の時間に、人間は、男子が持っている精子と女子が持っている卵子の結合によって誕生すると習います。一応、教科書に書いてあるから正しいと納得するのですが、不思議な事実だと思いました。

 

 アニメの世界では、鉄腕アトムが空を飛び、ロボットが話をします。さらに、ドラえもんとのび太君がタイムマシーンで原始時代に飛んで行ったり、透明人間になったり、人間では不可能と思われることをやってのけます。これらがアニメだとわかっていても、ますます、人間が人工的に人間を作ることは可能だと思うようになりました。

 

 でも、人工授精に成功した、AIロボが開発された、というニュースはありましたが、精子と卵子を人工的に作り出したというニュースは、いまだ、ありません。やはり、人間の知能にも限界があるとつくづく実感しました。

 

 人工的に作り出された精子と卵子による人造人間はムリだとしても、集積回路(IC)と人工知能(AI)などを使った人間のような感情を発現するAIロボが、いつの日にか開発されるのでしょうか?

 今では、AIが進化し、人間以上の知能を持つようになりましたが、AIロボと人間が共同研究したとしても、AIロボに感情を持たせるようになるには、まだまだ、先のことのように思えてなりません。

 

 人には、複雑な喜怒哀楽の感情があります。感情はどのようなメカニズムで発現するのでしょうか?非生物のAIロボには、当然、感情はありません。AIロボに人間のような感情を持たせるためには、まず、感情とは何かを解明しなければなりません。

 

 感情はニューロン機能によって発現されますが、厄介なことに、ニューロン機能には、電気作用と化学物質作用があるのです。電気作用については、集積回路に見られるように、かなりの技術の進歩がみられますが、化学物質を媒介とする生物的技術開発は、まだまだ、未熟なのです。

 

 脳機能の特徴は、シナプス間隙において神経伝達物質のやり取りを行う点にあります。ここに多くの謎があり、未知の世界が広がっています。一方、集積回路(IC)は、生物ではないので、電気のみで機能しています。

 

 そこで、AIと脳について比較してみると、AIと脳には、相違点もありますが、共通点もあります。それは、ともに電気が流れる点です。 

 

 人造脳を作るとして厄介な点は、脳機能が化学物質を媒介としている点です。シナプスにおけるいくつかの化学物質を特定し、製造したとしても、人造シナプスを作り、人造シナプスから神経伝達物質を放出するための条件を設定しなければなりません。さらに、樹状突起に電位を起こさなければなりません。

 

春日信彦
作家:春日信彦
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