知る人ぞ知る幻の喫茶店「談話室滝沢」。この店を利用するしないにかかわらず、一度店の前を通ると誰もがその看板やショーケースから醸しだされるあまりに異様な佇まいを忘れることができなくなるという、まさに東京トワイライトゾーン。
ラーメン二郎はラーメンではない。二郎という食べ物だという言葉がありますが、この談話室滝沢も喫茶店というカテゴリーではなく、「談話室滝沢」以外の何ものでもないと言えるのかもしれません。そして2005年3月の全店閉店の後も、依然「談話室滝沢」の存在はミステリアスなまま伝説となっているのです。そんな謎の多い「談話室滝沢」ですが、インターネットなどの情報を頼りに調べることができたわずかながらの情報を追記しておきたいと思います。
・跡地について
談話室滝沢の跡地は現在全て「椿屋珈琲店」という大正時代をモチーフにした喫茶店が引き継いでいます。レトロな佇まいや高級な雰囲気などいくつか共通点はあるものの、あの滝沢独特の料金体系や時代錯誤的な雰囲気はありません。経営上もなんら関連性がない模様です。
・閉店の理由について
新聞記事等に掲載された閉店当時の滝沢次郎社長や赤木勝利専務のインタビューによれば、
社員を全寮制できちんと育てるスタイルが時代にそぐわず人材が集まりにくくなった。
「談話室」というスタイルが時代に合わなくなった。
サービスが低下して皆様に迷惑をかける前に、引き際が大切と思った。
などの内容が語られています。
最終的には寮は廃止されたようですが、当初は全寮制で徹底的にマナーを教え込んでいたというのもすごいです。しかも初期の頃は門限が9時だったとか・・・中学生より厳しいだろこれ。
閉店理由についても経営難だったり採算性だったりということではなく、あくまで接客クオリティの低下を懸念しての閉店とのことで、まさにサムライのような大和魂溢れる心意気。金を稼ぐことばかりを目的とした今時の企業にはない考え方ですよね。さらに最終日前日と当日の売上げは赤十字に災害復興資金として全額寄付したそうです。・・・完璧っ!もうエピソードのひとつひとつが全てが伝説ですね。
・談話室滝沢のルーツについて
Wikipediaによれば、なんと談話室滝沢の起源は「ルノアール」であったとのこと。1959年に喫茶室ルノアールとして開業するも、ルノアールの店舗急拡大路線と袂を分かつ形で接客態度と静かな雰囲気を重視した喫茶店としてのコンセプトを貫くため、談話室滝沢として再出発したそうです。
・失礼なお客さんへの対応について
※談話室滝沢の元ウェイトレスの貴重なインタビューが掲載されているブログ「日々の思考」様の記事より。
「ねえねえお姉さん、名前なんて言うの?」みたいな感じで。お客さんに声をかけられた場合、
その際は制服の胸元の刺繍を指し、 「滝沢でございます。」と答えるように教育されています。
とのこと。「滝沢でございます」・・・なんという接客。完璧な客あしらいですね。これぞ滝沢伝説に相応しいエピソードといえます。