生きている限り、ニューロンは機能します。でも、自分の思い通りに、すべてのニューロンを機能させることができるわけではありません。もし、生きていくために必要なニューロン機能を自分の意思で操作できるならば、自分の意思で心臓を止めることができることになります。これでは、人類は滅亡してしまいます。
ニューロン機能は、遺伝的なものと環境によるものがあります。遺伝的な面では、人は、生まれてすぐには、歩けませんが、一定の栄養が与えられるならば、筋肉と平衡感覚の発達によって、立てるようになります。
環境的な面では、生まれて1年ぐらいは、しゃべれなくとも、親の言葉を聞いているうちに、親と同じ言葉を習得し、話せるようになります。もし、知識が遺伝すれば、受験勉強などしなくて済むのにな~、と思ったことがある人は多いのではないでしょうか。
言語、音楽、イメージなどを作りだしたりする、また、歩いたり、走ったり、泳いだり、などの体をコントロールするニューロンはどこにあるのでしょうか?それは、だれでも知っている頑丈な頭蓋骨の中です。
というのは、ニューロンがとてもか弱いからです。微量の脳内出血だけでも、ニューロン機能に異常をきたします。言語能力に深くかかわっている海馬(かいば)に損傷が起きると認知症になってしまいます。
頭内では、約数百兆個のシナプスを持った約2000億個のニューロンが、約2兆個のグリア細胞、脳内ホルモンなどと共生しています。脳は、未知なる内部宇宙と言えるでしょう。
記憶力が悪い人は、どうしたら記憶力が良くなるんだろう。ブサイクな人は、なぜ、ブサイクに生まれてきたのだろう。運動会でいつもびりの人は、一生懸命に走っているのに、どうして、走るのが遅いのだろう。このようなことを思ったことがある人は多いのではないでしょうか?
人は、同じニューロンを持っているのですが、ニューロン機能の違いによって、頭がいい人、悪い人、運動が得意な人、不得意な人、イケメン、ブサイク、様々な人が誕生するのです。
男性も、女性も、白人も、黒人も、黄色人も、英語を話す人も、中国語を話す人も、日本語を話す人も、皆、同じニューロンを持っているのです。
人は、誰しも、ニューロンの恩恵を受けていますが、いまだ、ニューロンの有効活用方法についてはわからないのです。
AIロボットを作り出すニューロンが存在するのに、ニューロン機能の解明は、いまだ不十分なのです。というのも、数百兆個のシナプスが、神経伝達物質の授受をしているからです。
さらに、ニューロンを取り巻く4種類のグリア細胞が、ニューロンの成長と機能に大きくかかわっていることは、ある程度分かっています。グリア細胞の役割は、脳内環境の維持、代謝的支援、栄養物質の供給、などですが、ニューロンとグリア細胞の相互作用は研究段階にあります。
ニューロン機能が低下した時、ニューロンはグリア細胞機能を昂進させ、ニューロン機能の回復を図る、と私は推測しています。ニューロンのグリア細胞への能動的作用が解明されれば、革命的発見となることでしょう。