算命学余話 #G9

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算命学余話 #G9 (page 1)

 前回の余話#G8では、天堂星を引き合いに正しい老人のあり方について論じてみました。既にお気付きとは思いますが、算命学は人間を対象とした思想体系ですので、人間に対する観察は大変鋭く、厳しいものです。そして「人間はこうあるべき」や「人間はこうなってはならない」というモデルを、各星やその組み合わせによって比較的明確に提示しています。特に十二大従星の星々は人間の一生を反映しているため、幼児期、少年期、青年期、壮年期、老年期における人間とはそれぞれどういう傾向のあるものか、どうあれば好もしく、どうあれば疎ましいのかを、算命学は細かく分析し、解答を出しています。
 前回余話はその一例として、老年期の星である天堂星を取り上げました。そして老人とは本来どういう性質のものなのか、どういう老人になれれば成功で、どういう老人の姿が失敗なのかを、算命学の厳粛な視点から導き出しました。こうした算命学の示す世代別の理想的人間像は、その星を実際に宿命に持つ人にとって人生の指標となるだけでなく、その星がなくともその年齢に達している人にとって、同様に生き方の見本となるものです。

 見本といっても、あれしろ、これしろと細かく行動を規定しているわけではありません。人間が無理なく自然に生きるとはどういうことか、集団の生き物である人間がどう集団と、つまり他者と関わって生きるのが理想的なのかを、算命学の星々は明示しているのです。それは今日的かつ普遍的な道徳とほぼ同義であり、万国共通のものです。算命学が確立した二千余年前も今も、人間の営みとその価値観は大して変わってはいないのです。
 従って、十二大従星の各星の特徴を読めば、その星を持っていない人であっても、その年齢に達している自分がどういう生き方をすべきなのかが容易に知れるのです。そういう意味で、「十二大従星を基礎から考える」シリーズは、算命学学習者でなくとも読みやすく、目指すべき人間像から円滑な交友関係まで、更には自分の現状が誤った方向へ向かっていないかを調べるチェック項目として、日常生活に活用できると思います。

 さて、十二大従星が掲げる十二種類のモデルは、現世における人間の一生と、その前後に控える彼岸の世界を表しています。理詰めで押していく算命学が、誰も行ったことのないあの世の存在を前提としているのも不思議な気がしますが、陰陽五行の理論を積み上げていくと、どうしてもあの世の存在を認めざるを得ず、現世に通ずる理論の軌道の先にある確実性の高い憶測として、死後の世界を設定しているのです。
 天堂星(老人の星)の次が天胡星(病人の星)。天胡星の病状が進むと死を迎え、次の天極星(死者の星)へと移ります。ここからが死後の世界の始まりです。その次が天庫星(入墓の星)、最後が天馳星(完全な彼岸)です。この先はというと、一巡して天報星(胎児の星)に戻ります。死後の世界に星が設定されているからといって、「死んだ後までこう生きるべき」という指標はありませんが、こうした死後の星を宿命に抱える人がどういう性質を持って生まれ、それをどう活用すれば良いのか、という点では、他の現世の星と変わりはありません。

 ところで、彼岸の星のうち天極星・天馳星・天報星の三つを「霊星」と呼び、霊感に関わる星だとしています。これに「死にかけている」天胡星を加える場合もあります。局法や格法は、この霊星があるかないかで意味合いに差が出てきます。ところが、入墓の星である天庫星は霊星には入りません。なぜかと言うと、入墓というのは遺体なり遺骨なりが現世の墓に収められることであり、その行為なり祭礼なりを行うのが死者当人ではなく生者であることから、現世との繋がりが密接だと考えるからです。
 霊星は一般に「非常に自由」な性質なのですが、その理屈は、肉体を手放して現世のしがらみから解放されているからというものです。しかし天庫星は墓という土地に縛られ、そこで厳粛な祭礼を受け、生者たちの弔問に応じなければならない。これは霊星の「自由」とは遠くかけ離れています。つまり、人間は死んだ後もしばらくは自由になれないということを、天庫星は物語っているのです。
 そんな天庫星が死してなお続けなければならない祭礼や応接とは、言い換えるのなら「義務と責任」です。このため、一般に天庫星を持つ人は、責任感としてのプライドが高いと考えられています。

 算命学では、プライドの高い星や星並びというのを把握しています。典型的なのは官星です。官星は名誉を重んじる星なので、当然プライドは高いです。逆に言えば、官星のない人というのは、あまりプライドが高くないか、全然名誉が気にならない人です。そのため、身なりに気を配らないといった症状が出ることもしばしばです。
 しかし官星のプライドと、天庫星のプライドは、質が違います。ついでに加えるなら、天貴星(幼年の星)もプライドの高い星ですが、天貴星のプライドもやはり他とは質が違います。なぜ違うかというと、それぞれの星の特徴が、それぞれのプライドの根拠を規定しているからです。
 というわけで、今回の余話のテーマはプライドについてです。十二大従星の各星の性質が、世代によって変化する人間の性質を正確に反映しているのと同様に、プライドを表す星々も、その根拠がどこにあるかによって、人間のプライドには種類があることを物語っています。そうした人間の細やかな機微について考察してみます。
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