ほうたる来
011年08月01日
大地震の残骸がこの夏の家
地震降りて瓦礫の山に夏の夢
球形の西瓜いとこと囲んでる
祖母の持つ包丁の夏赤く割れ
何ぼ戸を開けても行けぬ夏の中
2011年08月01日
蜘蛛の家に水宿るその水哀し
蛞蝓の水いっぱいの体まで
でで虫よ汚れた雨を浴びるのか
蚯蚓等の見えない目まで泣かすのか
ほうたる来廃墟の水にほうたる来
2011年08月01日
彷徨って死ぬ牛の眼にほうたる来
水子眠る蛍袋にほうたる来
乞食の隠れた庵にほうたる来
寺婆の念仏堂にほうたる来
杣人の小屋の跡にもほうたる来
2011年08月01日
県令の来て田植え等禁じゆく
爺様の田植歌などふと聞いて
初めての水盗人の心地など
水敵に娘を呉れた話しなど
雨乞いも無論要らない無人の田