エボリューションマン -英雄達の峡谷-

 別名ティッカーテープパレード、『ワールドシリーズ優勝祝賀パレード』は、ニューヨークのマンハッタン バッテリー公園をスタートし、ブロードウェイやウォール街を通って行く。

「キャー、キャーッ」
「ウォー〜、オォー〜」」 ピィ〜イッ、ピィ〜ッ。 建物という建物の間に多色の満開の紙吹雪が飛び、舞っていた。 それに負けまいと多くの車や何万何千という人々もお祭り騒ぎと声援を繰り返していた。
「シンイチロー」
「ジョニー」
「ヒーデOH〜oh〜ウォ〜ホ〜」

 大いに盛り上がる中、突然 音も無く画面が変わった。
 街の中の宣伝用の液晶掲示板とテレビの画面上と携帯の画面に“OPENING OF A WAR” 戦争開始とテロップが流れたのだった。
 "COUNTDOWN”秒読みと" 86400" カシャッ、カシャッ、カシャッ。 時間が段々と少なく成っていく。
 一日分の秒数である。
 パレードで騒いでいて判った人は、少なかったのだった。 何者かによる全世界電波ジャック・・・!?・・・だった。

「ね〜ね〜凄いパレードだね〜、渋滞続きよ〜っ」
「フッ、そんなの関係ないよっ。 みんなと一緒にしてくれるなっ、ケーッ」
 交差点付近でわずかにあいた空間を軽自動車が急発進して急ターン、そして急ブレーキ、そしてまた、車に躍動を与えていた。
 
 キー、キッキッキッ、キュイー、映画のワンシーンのように主役が人の目を引く・・・・・・舞った小さく薄いペーパーをタイヤが踏んだ。 ドッカーン、BiG BoMb、爆発、
bIg bOmB・・・・・・!? 薄いペーパー爆弾の輪唱!?か合唱!?が、そこかしこで起こった。

 訳が判らないうちに!?連鎖的にランダムに車やバイク、建物や窓が、タイマー式!?にペーパー爆弾の少しの圧力に爆発し、爆音・爆風を起こしていった。 
 パレードが台無しになり、心臓や頭をパニクらして考える力を無くしていく。
「ワァーーっ!?」
「ゥオオオオー!!」
「キヤャアーッ!?!?」

ドバドバドッバーン。 ガサガサガサッ、バリバリバリッ、バシャバシャバッシャシャーン・・・・・・ヒューッ、ヒュッ・・・・・・。

 

 

 

 地上のブロードウェイやウォール街に何体かの得たいのしれない奴らが出て来ていた。
 そいつらのせいで尚も事態が悪化していた。
 体は、透明だが、両手にいかつい形をした機関銃や小型ミサイルを持っていて見境なく撃ち放っては、壊して歩く奴だった。 

 ニューヨークで一番高いニアー・ザ・スカイビルが激震した。 そしてミセス秀美の回りの人達が声を荒げた。
 建物の屋上で機械と動物が混ざり合った斑な“ナマケモノ”みたいな怪物が、まぎれ込んで上部を壊していたからだった!?。
「キャー・オッおー・ウォッウォッうぉっ・・・・・・!?」 色々な人の声が飛び交い、混ざり合う。

 ニアー・ザ・スカイの上部付近内部から玉が一階の角まで転げ落ちたみたいな高温で溶けた流線形の空洞跡!?が出来る。
 そして丸まった怪物が解放された。 両手の登山具のピッケルみたいなツルハシ状になっている手がビルや人間や外灯、車、など様々な物を壊していった。

 人間が交戦した結果 逆に驚かされてしまった。  なぜなら、ナマケモノ似の怪物は、空気を掴んで何も無い空中を上がって行ったからだった。  みんなが呆気にとられる。 追い打ちを掛けるようにして地面を揺るがす程の赤や紫の雷!?が地面にいくつか落ちた。

 そして、また驚かされた。 雷により、 ビルを真っ二つにして倒したかと思うと五つのビルは、重力に反して空中に浮いていたのだった。
そして、一つの浮いたビルに目が四つずつ、五匹の異様な怪物もビルにくっ付いて出て来た。 敵と思われる怪しい動く物体をレーザービームを放ち、ビルや車・・・etcを破壊していく。

 

 

 


 

 そして、追い討ちを掛けるように真っ黒いゴミが付いたような海賊船が、帆を空いっぱいに広げつつ逆さ状態で空中に静かに降りて来た。 ミノカサゴみたいな奴だった。 ニューヨークの宙をゆっくりと進んで来て都市の真ん中辺りで停滞する。 
 獲物を待つように何時間も破れた帆をなびかせて、絵画のように止まっていた。 

  伸びてゆく。
「何だ、ありゃ〜・・・・・・!?」
「白い光・・・・・・!?」 
「・・・・・・!?」
 輝く柱の源にカメラが寄った。 寄ッた、酔った。
 全世界が海賊船から出た白い光にテレビに釘づけに成る。 視聴率が上がる。

 周りの生物体からカムフラージュした人口惑星から、流れ星☆が放たれた。
 丸く光る天使の輪・チリの輪を!?を撃ち抜き、消え、ワープする。

 真下に居たのは、真っ白い悪魔!?、四方を真っ黒いコマイヌを座らせ、ラバラバ(長い巻きスカート状の真白い服)を着たキリスト似の男がさびた鎖のつなを四本持っていたのだった。

 コマイヌ悪魔は、顔を上に向けて大きなあくびをした。
「ア〜ウ・・・・・・!?」
 西郷隆盛と犬のようだった。 分身したみたいに武装した真っ黒い四人の魔物が、コマイヌ悪魔の横に各々現われた。
 五分ごとにネズミ算式に増えていく。
 四人、八人、十六人、三十二人・・・・・・。 

 そして羽織っていた黒いマントを脱ぎ捨てていった。 異様過ぎるシルバー一色の完全武装した人間型人間大のマシーンが現れた。 死神のようなサメのような冷たい目を持っていた。 各々で光り方が違っている。

 アメリカは、緊急トップ会議を早急に行い、話し合いをし、計算・計画をし、苦肉の策を出した。
 参加した誰もが頭を抱えながら、痛めながら、唸りながら意見を出し合っていった。 
 鋭く落ち着きのある目に変わる。 
 冷や汗をツ〜と一本流す。
 そして大統領が命令を下した。

  しかし、鍛えられた精鋭の一軍隊が敵に圧倒され負けていた。 
 暗号信号が入る。
「至急 陸と空に応援を頼む」  SOSに近い非常用の援助要請だった。

 本部は、信号が入るのを予測していた。
 それは、いくつかの戦闘映像(計算しつくされた!?速過ぎる)から、分析し、出した結論からだった。

  完全に読まれた人間・・・・・・。 目・視界(霧やガスによって目をつぶらされる)や耳・聴覚(高く大き過ぎる音)や鼻・嗅覚(ガスを吸って体内を苦しめられる)や肌・触覚(激痛やただれによる皮膚呼吸困難)を攻め続けられ、脳を困惑させられ、戦意を喪失させられていった。

 その物体は、レーダー上に写っていた。
「・・・・・・」
「・・・・・・!」
「・・・・・・!?」
 一室は、静寂無言状態に成っていた。
 それは、確実に現在のニューヨークのはるか上空の雲の上に来て停滞し続けていた!?
 
「何か見えるか・・・・・・!?」
 何回も何回も、何人もの人達がレーダーのモニター画面や世界中のいくつかの衛生画面を覗いて確かめ直していた。
「い・いや・・・・・・!?」
「何も見えない・・・・・・!?」
「いや・・・・・・居ないはず・・・・・・」
「いや・・・・・・居ない・・・・・・目に見えない!?」

 全世界がニューヨークに注目する。

「目視で敵兵士を確認」
「了解」
 本部がレーダーを見て確認した。
 緊張感が伝染して行く。
 雲か建物の影に入って一瞬 目をくらました時だった。
 皆が目を瞬かせた、目を細める。
「こちらイーグルΨハント・・・・・・敵が消えた・・・・・・海賊船に続いて全ての兵士が消失した!?」
 本部がレーダーを確認した!? 再確認した!? 数人で確認した!?。
「イーグルΨハント・・・・・・イーグルΨハント・・・・・・こちら本部・・・・・・兵士達の姿が見えない・・・・・・消えた!?」
 そして本部からの結論は、前進して《再確認・再調査》しろという事だった。 

「キリスト似の男の居た辺りに到着・・・・・・やはり・・・いない」
  室内だけじゃなく、敵味方関係なく、今、目の前で凄まじいばかりの銃撃戦をしていた全ての兵士や機械が、忽然と姿を消していたのだった。
  操縦士が言葉を失なっていた。 目を白黒させる。
「何だと・・・・・・何が・・・・・・ここで起こったんだ!!・・・・・・有り得ない!?・・・・・・」
  本部は、レーダーのモニター画面を見続け、上空では、地上の監視が続いて旋回ばかりをしていた。
 長い時間が過ぎていく。
 

迷 彩映 (mei saiei・メイ サイエイ)
エボリューションマン -英雄達の峡谷-
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