白と黄

 美緒は、アイスレモンティーをストローでチュッと吸うと返事した。「今度の土曜日、ゆう子先輩のウチに泊まるの。積もり積もった話があるし。ゆう子先輩に何か伝えたいことある?」伝えたいことといっても特になかった。あえて言うならば、デモには参加しないように伝えてほしかった。「特にないけど。デモはほどほどに、って伝えてくれ。デモなんて、ゆう子姫には、似合わないんだよな~~。ゆう子姫には、日本舞踊とか・・」鳥羽は、ポカ~~ンと口を開けて、ゆう子姫が桜の木の下で優雅に舞う姿を想像していた。アホは死んでも治らない、と思った美緒は、ちょっとからかってやることにした。「あ、そう。先輩のアレ、捨てちゃったの?」鳥羽は、アレと聞いて一瞬首をかしげたが、言いたいことがピンときた。「あ~、アレね。家宝にしてるさ。美緒さんには、感謝してるよ」美緒はうなずき、笑顔を作った。

 

 鳥羽にとって、アレは、三種の神器の一つであった。密かに、アレは八咫鏡(やたのかがみ)と思っていた。毎日、箱を目の前に置き、手を合わせ、”ゆう子姫が健やかにお過ごしなされますように”と神にお願いしていた。一月に一度、箱から出しては、甘い香水の香りをかいでいた。美緒は、マジな顔つきで話し始めた。「それはよかった。あ~いうことは、二度としたくない。鳥羽君のためと思って、命がけでネコババしたんだから。あの時、すっごく、ビビッたんだから。美緒って、どちらかっていうと、尽くすタイプなのかな~。鳥羽君に、そんなに感謝されると、こそっと、アレをもらってきてあげようかな~」ゆう子姫のショーツだけでも幸運の神器と思っていたが、さらに、ゆう子姫の神器をいただけるのかと思うと興奮してきた。「アレって?まだ、何かいただけるのでしょうか?美緒オジョ~様」

 

 周りにお客がいないのを確認した美緒は、もっとからかってやれと思い、お風呂の話をすることにした。「女子って、お風呂で遊ぶのが、好きなのよね~。シャボンをたくさん作って、シャンプーマットまでつくちゃうの。そいで、お互い、洗いっこすんの。ちょっと、くすぐったいんだけど、楽しいのよ。先輩って、洗ってあげると、キャーキャー言って、喜ぶんだから」鳥羽の頭には、真っ白なシャボンに包まれたゆう子姫とブルル~ン・ブルル~ン巨乳を揺らす美緒の姿が浮かび上がっていた。興奮し始めた鳥羽は、すぐにでも続きの話を聞きたかったが、冷静さを取り戻し、軽く返事した。「そうですか。女子は、お風呂が好きなんですね」鳥羽の紅潮した顔を見た美緒は、心でクスクス笑い、話を続けた。「美緒のって、バカデカでしょ。先輩ったら、両手で、ギュッギュギュッギュ揉みながら、デカすぎて洗えないって言うの。まったく、口が悪いんだから。悔しいから、抱きついて、グイグイ先輩の胸に押し付けてやるの」

 

 鳥羽にとっては、ちょっと話が過激すぎた。ヌードの想像がますます膨らみ、股間が膨らみ始めていた。「楽しそうですね。そんな話、初めて聞きました。女子と話す機会があまりないもので。仲がいいって、いいですね」鼻息が荒くなった鳥羽を見ていると噴き出しそうになったが、もっと、喜ばしてやることにした。「先輩も負けてないのよ。アソコ洗ってやるって言って、ゴシゴシ手のひらで、アソコをこするんだから。こっちも、負けてられないから、やり返したりして、キャッキャ、キャッキャ、バカ騒ぎスンの。ほんと、二人とも、アホなんだから。笑っちゃうでしょ」鳥羽の股間はこんもり膨らんでいた。鳥羽にとっては、笑い話ではなかった。美緒が言うアソコとは、アソコしかないと思い、クローズアップされたゆう子姫のアソコを想像してしまった。

 

 美緒は、からかうかのように反応を確かめてみた。「あきれたでしょ。先輩も、結構アホなのよ。これ以上、こんなバカ話、聞きたくないでしょ。もう、やめる?」ここまで聞かされたなら、やめられるわけがないと言いたかったが、コーヒーをすすり喉を潤して、冷静に返事した。「いや~、ゆう子姫も、ヤンチャなところがおありなんですね。いいことじゃないですか。愉快な話を聞かせてもらって、ありがたい。僕は、女子のことは、全く知らないから、参考になります」カラになったカップを見た美緒は、もう一杯、勧めた。「のど、乾いたでしょ。もう一杯どう?」カラになったカップを確認した鳥羽は、アイスミルクティーを注文した。

 

 美緒は、レモンスカッシュを注文した。「あ、そう。さっきのアレのことだけど」美緒が考えているアレは、口に出して言えるようなものではなかった。ちょっと声を小さくして話し始めた。「今度、泊まるじゃない。そいで、お風呂にも一緒に入るじゃない。だから、こそっと、アレを失敬しようかなと思ってるの」鳥羽は、いったい何を言いたいのかさっぱりわからなかった。ショーツのほかにもらえるものといえば、ブラではないかと思ったが、ちょっとネコババしにくいのではないかと思えた。お願いしてもらえるものでもないと思えた。というのは、ゆう子姫のCカップブラは、美緒のIカップのバストに合わないからだ。

 

 

 

 何を今度はネコババしてくれるのだろうかと考えていると美緒が話を続けた。「ちょっと、口では言えないのよね。ほら、アソコのアレを23本失敬してこようかなと思って。鳥羽君、欲しくない?欲しくなかったら、いいんだけど。すっごく、ネコババって、気を使うのよね。ドキドキするんだから。いらない?」23本と聞いて髪の毛なのかなと思ったが、髪の毛であれば、アソコとは言わないと思い、まさかと思った。まさか、アソコのアレって?アソコの?ゆう子姫のフサフサ盛り上がったアソコのケを想像した途端、ゴックンと生唾を飲み込んだ。こんなチャンスは二度とないと思った鳥羽は、勇気を出してお願いすることにした。「23本もいただけるのですか。まったくかたじけない。天国まで家宝としてお持ちいたします。ぜひ、お願い申し上げます。美緒オジョ~様」

 

 意味が通じたと思った美緒は、笑顔で返事した。「了解いたしたぞ。鳥羽君のお願いとあらば、命がけで頑張る。任せて。先輩って、すっごくモサモサだから、意外とうまくやれそう。これで、三種の神器の2つ目がそろうってことね。それに、もっと、二人の秘密を話してあげてもいいんだけど、ここじゃね~。あ、もう、お昼じゃない、お腹すいちゃった。鳥羽君、お昼は?」鳥羽は、腕時計で時刻を確認した。「あ~、もうこんな時間か。弁当買って帰ろうかな~」美緒が、即座に食事を誘った。「土曜日じゃない。外食したら。美緒がおごってやるから~。チャンプ・カフェ、って言うハンバーグのおいしいとこ、知ってんのよ。行かない?」鳥羽は、一応は断るべきだと思ったが、頭は、うなずいていた。

 

            決死の絆

 

 84日(日)橋の日。鳥羽は朝食を終えると、安田から昨日の夕方にかかってきた電話を思い出した。用件は、ちょっと相談したいことがあるということだった。そこで、さしはら旅館に午前11時頃に伺う約束をしていた。午前1030分になると、早速、Tシャツにライダージャンパーを着こみ、5階から一気に階段を駆け降りた。駐輪場の愛車、スズキアドレス110に駆け寄るとメインスイッチにキーを差し込み、カチッとシートを開けた。鳥羽は、トランクから赤いジェットヘルメットを右手でヒョイと取り出し、白のドライバーグローブをした。一呼吸するとサイドスタンドをカチ~~ンと右足で払い、愛車を駐輪場からゆっくり引き出し、ドスンとまたがった。

 

 左手でリアブレーキレバーを引き、右手の親指でスタータスイッチを押すとブルル~~ンシュルシュルシュルと軽やかなエンジン音が響いた。以前は、中古のスズキアドレス125に乗っていたのだったが、アドレス125のエンジンのかかりが悪いと安田に悔やんだところ、プラグを交換すれば問題ないということだったが、どういう風の吹き回しかわからなかったが、安田が乗っていた新車同然のアドレス110を譲ってくれた。

 

 平均時速約50キロで国道202号を走ると1055分にさしはら旅館の駐車場に到着した。玄関まで駆けていくとフロント前のティールームで安田が能天気にコーヒーをすすっていた。早速、安田の前に腰掛けると鳥羽は、勢いよく声をかけた。「先輩、お元気そうですね。今日は、改まってなんですか?」安田は、グラスから手を離し、首をかしげ話し始めた。「まあ、何というか、将来のことというか、就職のことというか、まあそんなところなんだが、自分で決めることだとは思うが、ちょっと、鳥羽の意見を聞かせてもらいと思ってな」鳥羽は、いつもになく深刻な話しぶりに緊張してしまった。「何か、困ったことでも起きたのですか?さしはら旅館の経営がうまくいっていないのですか?僕にできることだったら、何でも言ってください。できるといっても、皿洗い、掃除、洗濯ぐらいですが。もしかして、もしかして、浮気がばれて、追い出されたとか?」

 

 

サーファーヒカル
作家:春日信彦
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