算命学余話 #R50

算命学余話 #R50600の有料書籍です。
書籍を購入することで全てのページを読めるようになります。
算命学余話 #R50を購入

算命学余話 #R50 (page 1)

 本屋を物色していたら、『攻殻機動隊』の映画監督で知られる押井守氏の『ひとまず、信じない』というユニークなタイトルの新書が目につきました。中は見ませんでしたが、この人とは意見が合いそうだと思いました。
 最近は人と知り合う機会もめっきり減りましたが、そんな少ない出会いの中にも珠玉の邂逅があるかと思えば、驚くほどのガッカリさんにも遭遇したりします。今年のガッカリさんは前回余話で論じた「無意味な人生」を全身で表現しているような人物で、もう三十路を越えたというのに人の意見を全て鵜呑みにし、常に他者に迎合することで自分が非難されることを避け、故に何の責任も取らないという姿勢を貫いている人でした。まるで幼児です。
 私は昨今のアンチエイジングに奔走する人々に嫌悪感を覚えていますが、彼らのメンタルはあたかも大人になりたくない子供のようで、それは外見を若く見せることにより内面の幼児性を少しでも免罪してもらおうとしているかのように映ります。何か失敗をした時にはぶりっこをして無能ぶりを示し、自分には責任能力がないのだと主張することで責任を免れようとしている、そういう心理が働いているように思われるのですが、皆さんは如何でしょう。今の法律では責任能力なしと認められれば免罪になりますが、これを是とする社会にそのような人間が増えるのも道理かもしれません。
 
 先のガッカリさんはそうしたぶりっこがある程度功を奏する外見の持ち主だったので、この先も年齢より若く見せることによって周囲に愛想を振り撒き、責任回避に終始したお気楽人生を満喫できるかもしれません。しかし算命学的に言えば、こうした生き方は宿命の消化を著しく妨げるので推奨できません。
 陽占に表出される十二大従星を考えて下さい。十二大従星は人間の一生における成長を、生まれる前と死んだ後も含めて順番に表したものです。毎日干支がひとつずつ進むことが示すように、時は止まることなく刻々と流れ、人は変化を強いられます。その変化とは成長のことであり、正しい成長を促す要素として苦悩や挫折、試練や悲哀があるのです。そうした要素を体験していくのは苦痛ではありますが、成長するためには必要なのです。
 これらを一生避けて通る人生があり得るでしょうか。仮にあったとすれば、それは自然な時の流れを押しとどめたり逆行させるものなので、運勢は発展せず、気の流れない澱んだ人生となることが予測されます。何より人間の叡智とは、五徳の中で印が末尾にあるように、人生をこなして年月を経なければ、つまり成熟した大人にならなければ到達できない境地なのです。成長にまつわる痛みを嫌がって回避し続ければ、それは成熟した大人になることを拒否するということであり、知性から遠く離れた人生を構築することになるのです。
 誰しも愚かな人間ではありたくないはずです。なぜなら愚かな人間は不幸を呼び寄せるからです。幸せを求めるならば、若いうちから苦労や苦悩を厭わず経験することです。責任ある言動のできる成熟した大人になることが、運勢向上の近道なのです。
 
 上述のようなガッカリさんの種族は、その話し方からしてすぐに見分けがつきます。最近のテレビ番組は大したことない番組内容をさも大したことあるように見せるために、へ~とかホ~とかエ~といった効果音声を入れていますが、あの音声は使い回しているため何度聞いても同じトーンです。なので頭が空っぽな人ほどその音が脳内に刷り込まれてしまい、まるでコピーしたような同じヘ~やホ~を連発します。自分の意見がないからそういう反応しか示せないわけです。
 また一般に口癖とされる「マジで?」とか「そうですよね~」とか「やばい」とか「カワイ~」とかも同類です。こういう単語をいつも同じトーンで連発している人はあまりおつむが強くないので、交際する際はリスクを承知でお付合い下さい。彼らが真の幸福をもたらすことはありません。
 
 さて今回の余話のテーマは、この種のガッカリさんが鑑定依頼をしに現れたらどうするか、です。結論から言って私は依頼をお断りしています。つける薬がないからです。私の運勢鑑定はその人の人生の向上のための助言をすることが目的なので、向上の見込みのない人に出す助言はありません。向上の見込みのないことは、その人が成長や成熟を拒んでいる態度から知ることができます。
 対面鑑定であれば上述のような同一トーンの口癖からすぐ見分けがつくのですが、メール鑑定だと音声はありませんから、文面から推し量ることになります。今回の余話は、これまでの鑑定で遭遇した依頼人の中から、実際にこちらから鑑定を断った人たちをタイプに分け、どうして断ったのかを論じてみます。もちろん商売第一というのならこうした人たちの依頼も受けるべきだと思います。これから算命学を習得して運勢鑑定で身を立てようとお考えの方は、どういう方針で仕事を受けていくのか将来の参考になさって下さい。
算命学余話 #R50600の有料書籍です。
書籍を購入することで全てのページを読めるようになります。
算命学余話 #R50を購入
土星の裏側
算命学余話 #R50
0
  • 600円
  • 購入

1 / 2

  • 最初のページ
  • 前のページ
  • 次のページ
  • 最後のページ
  • もくじ
  • 購入
  • 設定

    文字サイズ

    フォント