算命学余話 #R20

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算命学余話 #R20 (page 1 )

 脳科学者の池谷裕二氏と作家の中村うさぎ氏の対談『脳はこんなに悩ましい』に興味深い話を見つけました。現在の遺伝子解析ではガン体質などの人の健康のみならず、性格や行動傾向、価値観まで明らかにする要素が判明しているそうです。その話の中から掻い摘んで引用します。
 
――浮気遺伝子とでもいうべきこの遺伝子を持っている人は、離婚率が二倍以上も高いのです。或いは特定の女性と結婚せず、同棲するくらいにとどめている率が高かったりもする。少なくともスウェーデン人は十人中四人がこの遺伝子を持っています。(スウェーデン人はフリーセックスが許容されている国です)
…あくまで統計的な傾向を示しているだけで、浮気遺伝子があるからといって必ず浮気するってわけではないんです。人間の行動パターンはやはり環境因子によって決まる側面もあって、特定の個人に当てはめるのは時期尚早かもしれません。…(従って)占い感覚で楽しむくらいがよいでしょう。遺伝子占いです。
…血液型占いは、遺伝子占いの一種です。また星座占いも、直感的には意味がないように思えますが、意外とそうとも言えない。たとえばD4というドーパミン受容体遺伝子の「型」によって「公平さを重んじる」傾向が違うのです。でもその傾向は生まれた「季節」によって変わるんです。男性についていえば、公平さを重要視しないD4遺伝子を持っていても、冬生まれの場合は影響が出ません。夏生まれの場合のみ、この遺伝子が有効になります。そういう意味で、星座占いもあながちウソとは言えない。生まれた直後の生活環境は、脳の成長への影響が強そうです。生まれてからしばらく暑かったか寒かったかが、成長後の性格に影響を与えたとして不思議ではありません。いずれにしても、性格は遺伝子だけで完全には決まらない、環境因子とも関係があるということが重要です。――
 
 算命学の学習者には、何の話かピンときたかと思います。算命学が提示する宿命とは、まさにここで語られた遺伝子に相当するもので、この宿命だからといって必ずしもこういう性格だとか、こういう人生になると決めつけることはできないのです。宿命は生まれた時に備わっている因子を表してはいますが、その因子が実際に顕現するかどうかは、その後の生き方、つまり環境因子や本人が実際に行なった活動によって決まるのです。
 人生は、宿命が半分、運命が半分です。持って生まれた宿命は変えられませんが、その宿命をどう活かすか殺すかという運命は変えられます。だから同じ生年月日の人でも、人生まで同じという人は一人もいないのです。
 運勢鑑定の依頼人の中には、こうした理屈が判っておらず、何でも宿命のせいにしたがる人がしばしばいるので、この点は明確に説明する必要があります。往々にして、宿命のせいにしたがる人は人生経験が足りず、努力を怠っているので、その点を指摘して改善を促していかないと運勢の向上は見込めません。
 
 もうひとつ、同じ対談からこのような話も聞かれました。池谷氏は、自身の遺伝子解析結果から、世界レベルのスプリンターたちが持つのと同じ速筋型遺伝子を持っていることを知りました。
「そういえば高校時代には50m走が5.8秒で、確かに足は速かった。しかし運動は苦手で体育会系の部活はせず、にもかかわらず毎日練習している陸上部員よりも速い。何の努力もせずに、生まれつき足が速かった。つまりちっとも偉くない。本当にすごい連中は、才能などに関係なく、自分の可能性を信じて毎日トレーニングを積んでいる陸上部員の方なのです。もし優秀なスプリンター遺伝子を持つ私が陸上部に入っていたらどうだったでしょう? 素晴らしい選手になったでしょうか? きっとダメだったと思うのです。なぜなら、走るのが嫌いだからです。おそらく、才能を開花させるためには、「足が速い」だけではだめで、「練習を継続する能力」や「走るのを楽しむ能力」それから「トレーニングによって成績が向上する能力」などを備えていなければ、選手として大成できないと思うのです。つまり一個くらい良い遺伝子を持っていたところで、ただの宝の持ち腐れ。この辺りに遺伝子検査の難しさを感じました。」
 
 ここで語られる遺伝子検査の難しさは、そのまま算命学の運勢鑑定の難しさに相当します。宿命には膨大な数の情報が織り込まれ、目立つところだけ取り出しても20や30の要素はすぐに発見できます。問題は、「一個くらい良い要素」があったからといって、その他がその長所を打ち消すような要素ばかりだと、せっかくの長所も宝の持ち腐れとなり、実生活においてその片鱗さえ見せないということです。
 算命学をかじっただけの人は、こうした目立つ長所ばかりに着目し、それを打ち消す要素がすぐそばに幾つも並んでいることに気付きません。或いは気付いても見えないフリをしてしまいます。鑑定者の責任ある態度とは、こうした見たくない要素、都合の悪い要素も洩れなくあぶり出し、厳しい現実を当人に伝えることです。「せっかくの長所が今のままでは台無しだ」という事実を伝えるのは勇気が要りますが、これを隠して当人を喜ばせる言葉ばかりを並べても、当人の運勢は一向に向上しないのです。厳しい現実を直視してこそ、改善が望めるのです。そして改善に向けた誘導をするのが、鑑定者の正しい仕事です。
 
 今回の余話は、冒頭の「どういう季節に生まれたか」について、少し話を掘り下げます。
 陰占において本人を表しているのはずばり日干ですが、干支としては日干支になります。日支は単独では配偶者に相当しますが、人間必ずしも結婚するとは限りませんので、結婚を除外視して見る場合は、日支は日干とセットと見做されます。それがどういうことを意味しているのかは、例えば余話#U80では辛金生まれの人を、余話#R17では乙木生まれの人を例に挙げて説明しました。日干支の組合せは、本人そのものを表しているため、まず着目すべき重要項目です。
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