算命学余話 #U112

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算命学余話 #U112 (page 1 )

 家事代行企業の役員が女性蔑視的発言をしたとかで炎上話があった。その発言によると男性から見て女性は、「口は出すが責任は負いたくないわがままな生き物」、「数字だけでは燃えてくれないめんどくさい生き物」、「解決しなくても共感してくれればいいと思っている意味不明な生き物」だそうだ。
 「責任を負いたくない」のは戦前から続くこの国の、上から下までの一般共通項に思われるし、「数字だけで燃える」のは数値でしか判断できない知的水準の低い人に共通の特徴であるし、「共感してくれれば解決しなくてもいい」のもこの国の国民性と思われるので、別に女性に限ったことではない。こうした発言が炎上するのは結構だが、女性差別に限定する議論で止まってしまうなら炎上する方もまたお粗末である。
 
 当ブログでかつて取り上げた宮本常一著『忘れられた日本人』では、まだムラ社会が残っていたひと昔前の日本人の、外来文化に染まっていない独自の文化に根ざしたユニークな問題解決法「談義」を紹介している。
 それによれば、ムラで何か問題が生じると「談義」が開かれて主だった村人が召集される。そこでは議長のような立場の老人がいるにはいるが、特に場を仕切るでもなく「今日の議題はこれこれである」と通達だけをし、あとは村人の雑談に委ねる。村人は議題を聞いて「そういえば」といったような心当たりの世間話を始め、相槌を打ったり意見や感想を述べたりして雑多なおしゃべりが延々と繰り広げられる。「そうやってクジラの話などをズルズルとひとしきりやった後」、世間話がひと通り済んだところで議長が「そろそろ評決をとるか」と締めに入る。実際に議論らしい議論はひとつもしてはいないのだが、雑談の中で皆が言いたいことを言えて満足しているので、評決はあっさり決まるのだという。
 
 つまり日本人は古来よりこうやって揉め事を解決してきたのであり、現代的というか西欧的な判断基準からすれば解決でも何でもないのかもしれないが、少なくとも全員納得してまるく収まっているのだから、不具合は出ていない。「解決よりも共感」が優先されるのは日本文化の特徴なのだ。こうした国民性に男女の別は関係ないのである。
 そもそも聖徳太子が掲げた「和を以って尊しとする」とは結局これのことではないのか。どちらかに不満を残すことになる評決の是非などは必要なく、全員がそこそこ納得してスッキリすることこそが健全な社会に必要なのだ。
 今日の国際紛争においても、実はこの方式を採用した方がずっと早く解決するのではないか。少なくとも、いま紛争中の国々はもともと西欧文化とは関係のない独自の文化を持っていたのだから、条件は日本と大差ない。「双方に言いたいことを思う存分言わせて、解決策は確定しない。緩やかな方針だけ決めて双方に呑ませ、あとは日々の雑事の中で折り合わせていく」。こういう発想は欧米人にはできないのではないか。日本だからこそできる国際貢献とは、こうした種類のものではないだろうか。
 
 今回の余話は、八相局のうち最後になった八相財局(以下「財局」)です。財局は八相局の中でも意味合いが弱く、敢えて取り上げる程のこともないかと思いましたが、心待ちにしている人が不公平感を抱くといけないので取り上げることにしました。どうして意味合いが弱いのか、については前回の余話#U111にヒントを出したので、自ら考えて答えを探そうとする習慣のついた読者の方には凡そ見当がつくかと思います。
 そんな答えの判りきっている話では物足りないので、財局の構成要素である禄存星・司禄星の本質の話を付け加えます。というのは、算命学中級者向けに書いているこの算命学余話の読者の中には、算命学に関する知識がネットや市販の一般書のレベルの人も少なくなく、そうした一般書は「〇〇星の持ち主はこういう性格だ」ということは述べていても、なぜそういう性格になるのかという理論的解説を欠いたものが主流なので、その辺りを余話で補充していかなければならないと思ったからです。
 皆さん、どうして禄存星・司禄星は「魅力的」なのかその理屈をご存知ですか。どうしてこれらの星が集中すると財局という呼び名になるのか、考えてみたことはありますか。愛と財は同根だ(しかも韻を踏んでいる)という算命学のシビアな話はこれまでに何度も取り上げてきましたが、これに「人物」を加えて理屈の面から星の性質を解き明かしてみます。
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