小説の未来(20)

 人間は、生まれながらに持っているDNAによって、脳機能に差が生じます。生後の環境によって脳機能は変動しますが、脳機能を決定づけるのは、DNA情報です。わかりやすく言えば、同じように1時間勉強しても東大に合格する人もいれば、高校を落第する人もいるということです。

 

 人間のDNA配列については、いまだ解明されてないことが多々あります。現実に、天才といわれるチョ~頭がいい人たちもいますし、精神的、知的障がい者といわれる人たちもいます。

 

 チョ~頭がいい人たちは、歴史的にゲーム娯楽文化を創造してきました。確かに、彼らは、尊敬されるに値する実績を残してきたのですが、彼らが作り出したゲーム娯楽は、多くの悲劇も作り出しました。

 

 

 彼らは、多大な快楽を与えるいろんなゲーム娯楽を作ってくれました。政治、宗教、ビジネス、スポーツ、音楽、競馬、インターネット、など具体的に数え上げればきりがないほどたくさんのゲーム娯楽を作り出してくれました。

 

 ゲーム娯楽を作るのに不可欠なものは、言語・記号です。人間は、言語・記号を発明して以来、急速にゲーム娯楽を増産してきました。人間をしのぐAIもゲーム娯楽の一つです。

 

 特に、不滅と思われるマネーゲーム娯楽は、あらゆる分野のゲーム娯楽の根幹をなすといっても過言ではないと思いますが、人間を凌駕するAIが登場すると、AIが人間をコントロールするまでになっています。ここで忘れてはいけないことは、娯楽は、人間に快楽を与えると同時に、苦痛も与えるということです。

 

           感情言語の娯楽

 

 

 そこで、小説という言語ゲーム娯楽ですが、最近、あまり人気がありません。今一つ、快楽をもたらさないからでしょうか?ほかのゲーム娯楽に押されているせいでしょうか?

 

 バクチ、スポーツ、音楽、ネットゲームなどと比較すれば、快楽度は劣るのでしょう。いずれ、小説は、不要になり、消え去るのでしょうか?歴史的には、小説は庶民が手軽に楽しめる数少ない娯楽の一つとして多くの人に愛されてきました。

 

 確かに、小説は、社会科学のような実用性のある娯楽ではありません。だから、大学の学部において、法学部、経済学部に比べて、文学部は人気がないのでしょう。

 

 

 おそらく、学生の皆さんは、”法学、経済学は社会に出て役に立つが、文学は何の役にも立たない”と思われているのではないでしょうか?さらには、もはやAIの時代では、文学部は必要ないと思われているようでもあります。

 

 あくまでも個人的な意見ですが、社会に出て、文学ほど役に立つものはないと思っています。確かに、処世術的な面でいえば、多少は、法学、経済学は役立つように思えます。

 

 でも、生きるうえでは、法学的、経済学的な技術などは、ほんの少し役に立つという程度なのです。生きるということは、娯楽を求めると述べましたが、同時に、悩むということでもあるのです。

 

春日信彦
作家:春日信彦
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