算命学余話 #U94

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算命学余話 #U94 (page 1)

 戦禍を逃れ、シリアをはじめとするイスラム教徒が欧州へなだれ込んでいる様子が報道で伝えられています。数日前には3歳の幼児が移動中ボートから落ちて溺死した遺体の映像が流れ、欧米諸国に衝撃を与えたと報じられました。ああした具体的な画像を見ないうちは、同様の事態が生じていても感銘を受けない程度に彼らの想像力は乏しいのだろうかと思ったのは私だけでしょうか。キリスト教的同情の向け方に私は違和感を覚えますし、何よりも論点がずれているというか、故意に誰かがずらしているような気がします。
 3歳児を横死させたのは一体誰でしょうか。両親です。両親が危険な旅に幼児を同伴したからです。ではなぜそんな旅を敢行したのでしょう。住んでいる土地が戦場になったからです。どうして戦場になったのでしょう。そうならないようにこの子の両親は努力をしてきたでしょうか。誰が祖国をあんな状態にしてしまったのでしょうか。19世紀以来の西欧諸国の植民地政策のせいでしょうか。それもありますが、独立してからもう随分経っています。この何十年の間に世代も何度か替わり、自決権もありました。独裁や圧政は彼らが厳しく国を監視していれば防げたでしょう。でも一部の勇敢な活動家を除いて彼らはそれを怠ってのんびり暮らしてきた。そのツケが今回ってきたのです。彼らののんびり度といったら、ハンガリーの駅にたむろする姿を見れば判ります。あれは命からがら逃げてきた人の顔ではない。スマホで得た「ドイツがお金をくれるぞ」という安易な宣伝に乗ってやってきた、「無料配布」の行列に並ぶ考えなしの集団です。3歳児はその考えなしの大人たちの犠牲になったのです。
 
 日本にとっても他人事ではありません。安保法制はまさに同じ事態を扱っています。国防のために国民は何か努力をしたり犠牲を払ったりしているでしょうか。単に戦争に行きたくないから戦争反対と言っている人たちは、まがりなりにも暴力に立ち向かうための存在である自衛官や警官に対し、特別の敬意や配慮を払っているでしょうか。現実に存在する暴力を抑えつけるために特別な努力をしているでしょうか。していないのが普通です。シリア人だってしてこなかった。普通に生きてきただけです。ですがその「普通」が命取りなるのだという例を、シリアをはじめとする難民が身を以って示してくれているのです。日本人はこれを見て、明日は我が身と気を引き締めるべきです。難民が海を渡って日本へやってくる心配をする前に、自分の暮らす社会が住めなくなるほど荒廃するような事態を回避するために、どういう日常を「普通」と考えるべきかを議論する方が先です。
 
 私は安保法制に賛成でも反対でもありません。よく判らない分野のことなので専門家である議員や有識者の議論に任せます。ですがよく判ってもいないくせに誰かの意見の尻に乗っかって正義の味方を気取っている連中を見ると、黙っているわけにはいきません。戦場を体験したご老人が戦争反対を叫ぶのは説得力がありますが、戦後生まれでもう衣食に困ることもないのに「無料」の行列に並ぶような輩が叫ぶ戦争反対など、信用ならない。こういう輩に限って何かを守るために闘ったことなどないのです。逃げて生きて来ただけ。ブダペスト駅の難民と同じです。偉くも何ともないのです。正義すらありません。
 私は武道家であるので、病人や老人子供でもないのに逃げて闘おうとしない健康な男女を軽蔑する体質でありますから、同じ尺度で測るとシリア難民にも同情できかねるわけです。あくまで個人の意見ですので、皆さんが賛同する必要はありませんが、今回の余話のテーマは「移民」についてです。算命学の立場から移民の適性を探り、今のような大挙して集団が越境する危険性と本質的な間違いについて、算命学思想の面から考えてみます。
 
 まず陽占を考えると、移民や移住に適性のあるのは何といっても龍高星です。毎度お騒がせの龍高星ですが、放浪を司る龍高星は同時に知性星でもあります。あくなき探究と改革を求める陽的知性の衝動により、龍高星は現状に甘んじることなく放浪して知的欲求を満たそうとします。放浪の意味は必ずしも転居や移住を意味してはおらず、知的放浪とでもいいますか、研究分野や創造分野における縦横無人な活躍という形で放浪の宿命を消化することもできます。しかし知的才能を活かせる職業というのは非常に限られているため、龍高星が知的欲求や改革願望を満たせる仕事に就く機会は少なく、相対的に肉体が物理的に移動する方へ流れていくので、ほらやっぱり龍高星は移住だ放浪だ、という結果に収まるのであります。このように龍高星は放浪したくてしているわけではないことは、理解してあげましょう。
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