算命学余話 #U92

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算命学余話 #U92 (page 1)

 女子大生が憧れる職業にテレビアナウンサーというのがあり、確か私の学生時代にもそういう話が方々で聞かれた。アメリカ口語を嬉々として教える若くて浅い某講師(教授ではない)も大学生の成功は花形の職業に就くことと考える俗物であり、女子学生の華やかなサクセス・ライフを約束する業種としてアナウンサー業を挙げていたのを、今も覚えている。
 当時ヘビー級ロシア文学とペルシャ語講読で溺れかけていた私は、ろくに就職のことなど考えずに多忙な学生生活を送っていたが、そんな私の頭には、アナウンサーなど原稿を読み上げるだけの職業がどうして長い人生の充実を約束するであろうかと、世間の価値観が意味不明に映っていたものだ。今思えば、女子アナは芸能人ではないがテレビ業界の一員であり、テレビに映るからにはある程度容姿やファッションも優れていなければならず、華やかな芸能人や著名人と出会うチャンスが多く、要するに玉の輿に乗るのにうってつけの職業ということでもて囃されているのだと理解できるのであるが、それでは大学で学問を学ぶ必要などないではないか。ひと昔前の若い女性が花嫁修業として裁縫や料理の技術を身に付けるために払った労力ほどにも、原稿読み上げ作業に技術など必要ないではないか。これが高学歴の人間に課すべき仕事なのか。そんな風に今も思っている。
 しかも最近では、これに気象予報士の資格というのが加わるらしい。女子アナへの近道としてこの資格を取っておくと有利だと考えられているそうだ。気象オタクの人なら文句はないが、お天気おねえさんになるために欲しい資格だとはガッカリさせる。志の低いことだ。大体、天気予報なんて外れても誰からも文句を言われないから、誰も責任を取らなくて済む仕事ではないか。そんなに責任を取りたくない人間ばかりが大学で量産されているのかと思うと、同じく高学歴で構成される政治家や官僚など指導層が責任回避に明け暮れる様も頷けるというものだ。宮脇淳子氏の咆哮の如く、日本の教育は今後、責任を取れる人間の育成に努めるべきである。そうならない大学生など社会に無用である。高卒で充分だ。
 
 欧米一辺倒のこの国の価値基準に対して振りかぶって一石を投じている元外交官、佐藤優氏は、『佐藤優の10分で読む未来~戦争の予兆編』で以下のように米国をこき下ろしている。(ウクライナの紛争は、ウクライナ人ネオナチの民族差別運動に始まり、金儲けは上手だが国民の利益を考えてはいない商人が政権を取ったことで混迷を深めた。現政権はお世辞にもまともな政治集団とは呼べない、という分析に続いて、)「ロシアはけしからんからといってウクライナの怪しい政権に肩入れするのは間違っている。この当たり前のことができないのが米国だ。米国にはそういう難しいことは判らないからだ。米国にはこういう総合的な問題の判る専門家がいないし、一番弱い。米国の学者たちは「宗教だけ」「クリミア情勢だけ」「イスラム原理主義だけ」というように1つのことだったらよく見えている。しかしそれらを総合的に見ている人がいなければ、こういうことは判らない」。
 
 米国は個人主義の国なので、自分の専門以外のことに責任を感じる風土はない。「宗教だけ」「イスラム原理主義だけ」と個別の分野で自信をもって発言できる人は多くとも、それに繋がる隣のシマとの連携は皆無。だから全体像を把握できないし、する必要性も感じてはいない。しかし人間の営みとは、本来そんな一分野に限定できるものであっただろうか。宗教も領土も地域紛争も、いずれも人間の営みの一形態であるというのに、それぞれバラバラに、何の関連性もなく個別に論じることができる対象であるだろうか。
 西洋医学は病気の原因を突きとめてそこだけを治そうと治療を施すが、そこだけが治っても患者の健康が上向かないということはよくある。一方東洋医学はピンポイントで病巣をつつくことはしないが、患者の健康が総合的に上がるよう免疫力アップに力を注ぐ。病巣が完治しなくとも患者が人並みの生活を取り戻せればそれでいいという考え方だ。
 
 脳科学者、茂木健一郎氏は、脳の活動について以下のように分析している。「人間の脳は、全体像を把握する方に重きをおいて情報を処理している。取るに足らない細かな情報も脳に届いてはいるが、そのいちいちの意味に注目せず、そうしたこまごました情報を総合して全体で何が起こっているかをいかに早く認識するかに血道を上げている。だから細かい情報そのものをすぐ忘れるし、目の前で起こっていることであっても、全体にとって重要でないと判断されれば記憶に留めない。一方、機械はそうした総合判断は現状ではできない。機械は人間より記憶力も正確且つ膨大で、誤謬がない。しかしそれは機械が大量にデータを蓄積して検索する能力に長けているというだけのことである。いちいちのつまらない情報もこぼさず取り込んではいるが、それらを総合して何が起こっているのか、全体像を把握することはできない。人間と機械が将棋をすると、最近は機械が勝つようになった。しかしこの時も機械は、データとして取り込んだ膨大な棋譜の中から次の有効な一手を選んでいるにすぎず、条件に合ったデータを高速で検索しているにすぎない。人間の脳は機械のように高速で検索することはできないが、将棋に勝つという目的のための最善策を全体像から導き出すという作業をしている。これが機械と人間の決定的な違いだ。」
 
 こうした話から、人間の人間たる由縁や、人間として何を目指すべきかを、もうお年寄りは手遅れですが、若い人には考えて将来に役立ててほしいものです。
 今回の余話は久しぶりの守護神です。守護神も第四回となり、今回の冬月生まれで甲木守護神は終了です。甲木の締めくくりとして、甲木生まれの元大リーガーの命式を例に挙げ、その甲木らしい一本気な性質について少し解説してみます。
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