第三章 解放のち放蕩
7月28日
帰ってくるなり、えらくご機嫌がいいので、何か企みがあるとみられる。
7月29日
時間オーバーの昼寝をしている。
さっそく「門司の税理士」に連絡。保険屋税理士の件である。
7月30日
今日「門司の税理士」と面会。水曜日に面接の段取りのようであるが、先生本人ではなく奥さんとであるところが何やら怪しい。
7月31日
午前10時7分、下関のまだ向こうまで、海水浴に行きました。計画が死んでいなければいいのですが、試験は待ってはくれないので、計画がすでに死んでいれば、来年の合格はない。税理士に変更するなら、まだやることは先にあると思う。一つに懸けるのであれば、1年ぐらいは、万事に代えて一の大事に当たるべき。税理士の試験をなめてはいけない。同じことを繰り返すわけにはいかない。まだ遊びが多い。公認会計士もだめだったのなら、一層の自粛を必要としているはずなのに、そうとは見えない。すべてが終わっても、それからです。まだ何も始まっていないのです。したがって、どうしても計画で勝っていないと勝てない。「アリとキリギリス」の話イン北方荘。
モラトリ君は、やっぱりなぜあんなに現金なんでしょう。帰ってくるなり、花火大会に行こうとしきりに要求するから行くことにするかと思っていたら、すぐに中止にしようという。
8月1日
彼の状態は予想通りであった。
「だんだん落ちぶれている」としきりに自ら漏らす。
今日も現代会計入門の本を読んでいたが、午後4時ごろ電気治療に出かけて行った。
会計士事務所では出会いがないと漏らす。
部屋の掃除も本の横積み状態も全く手が付けられていない。本読みで行き詰まったのは、自分の性質とは異なっていることを無理してしようとするからです。行動型、本来は本読み人間ではない。
8月2日
久々の電話攻撃、防戦一方である。時間は、午後8時2分から13分と8時51分から57分。たぶんまだかかってくるものと思われる。もめるの予想は外れていなかった。以前に何か悪いことをしたに違いありません。結論に達するには、時間がかかりそうである。
死んで寝ていた。「女の電話攻撃」が効いているのでしょう。
8月23日
よくこんなところに11年もいられるなと思う。
第四章 また、いつもの流れに
9月2日
今日から再び文教スクールの勤務に入る。続投はないの発表は何だったのか。
検索したら、続投はないの発表は、6月15日だった。まったくの嘘つき状態になってしまっている。
9月3日
調子のいいやつだとしか思われない。きちっとけりをつけたら、あれほどまでの状況だったのだから、効き目はあっただろう。モラトリアムは、成敗されなければならない。真剣に徹底討論してやったのに何ら進歩がない。本当の勝負をしないから、その範囲からは出られない。当分は、足踏み状態でしょう。
10月2日
「家賃を払ったか」と、モラトリ君が聞く。
私は、「夏も終わってしまったな」と、答えた。
エピローグ
暑かった夏も終わって、彼はいったいどこへ行こうとしているのでしょうか。
今でも、部屋は40センチほど、全体的に本が横積みされている。10年間、まともに掃除をしたことがないと言っていた。
【完】
本作品は、創作の文芸であり、実在の人物・団体とは一切関係がありません。