算命学余話 #U65

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算命学余話 #U65 (page 1)

 29歳の米国人女性が病気を苦に自ら死を選んだ事件が話題になりました。メディアは賛否両論を取り上げていたので、一般社会における現時点での意見や論点はほぼ出尽くしたのではないかと思います。もちろん明確な結論が出せるような問題ではありませんが、人間の定める善悪に対して冷淡な算命学の見地からすると、世間で話されていたような論点にはならないので、参考までにこの辺りを取り上げてみます。
 
 結論からいって、算命学は自殺がいいとも悪いとも云ってません。ただ自殺する人はいるよ、という前提でどういった命式にその傾向が強いかということは考えています。当ブログの閲覧者が検索するキーワードは自殺の相があるとされる「調舒星」が圧倒的に多いので、余話の読者の関心もこの辺りに集中しているものと推測しますが、調舒星は十大主星の1つであり、ざっくり見積もって十人に一人がこれを持っていることを考えれば、世の人口の一割が自殺しているはずもないので、調舒星が即自殺につながるという考えが成立しないことは明らかです。また実際に自殺した人の宿命に調舒星がないというケースも多々あります。
 このように、調舒星に限らずとも「これがあると必ずこうなる」と断言できるような星や命式はほぼ無いといってよく、あくまで確率が高いか低いかであり、その確率を高めるのは他の星との組み合わせや後天運の星めぐり、要するに陰陽五行の著しい偏りが生じた時になります。またある程度の年齢であるなら、それまでの生き方や人間関係も大きな影響力を及ぼします。
 
 自殺したがっている人は孤独に耐えかねている人です。調舒星は孤独を意味する星でもあるので、そういう意味で自殺を考える機会は確かに多いのですが、社会に暮らす我々が完全に孤独になるということは難しく、そもそも人間関係がそこそこ円滑で相談相手がいるのなら自殺に踏み切る前に止められるか、自らやめようという気分になるものです。だから自殺を回避するにはまず孤独を回避するべきであり、家族なり友人なりと関係を密にして一人でも多くの相談相手を確保しておくこと、すなわち人間関係を大事にして生きていくことが肝要なのです。ここを押さえていない生き方ならば、調舒星などなくともすぐに死んでしまうと考えて間違いありません。
 今回死に踏み切った女性は、病気が痛いから嫌だとかいうものではなく、脳の病気で認知症のような状態になるのが耐えられないというのが動機でした。自分をコントロールできなくなって周囲に迷惑をかけるのが嫌だというわけです。調舒星があったかどうかは知りませんが、責任感を強く出す星が影響していると推測できます。いずれにしても周囲の人間は彼女の孤独を和らげる力を持たなかったという結果になりましたから、この女性の人間関係は失敗だったという結論を、算命学は冷ややかに導き出します。もしもっと別の人間関係を築けていたなら、或いはこの人はそもそもこの病気には罹らなかったかもしれない、というのが算命学的な推論になります。「卵が先か、ニワトリが先か」。
 
 人間は本来自由なので、キリスト教のように自殺を禁止するといった発想は算命学にはありませんが、自然思想を基に構築された算命学は、人間は自分の意思で生まれてくるわけではないのだから、死ぬときも自分の意思が関与するべきではないと考えています。つまり自然死が算命学の考えるベストな死に方であり、自殺は不自然な死に方であるとして奨励してはいません。しかし不自然な死に方は何も自殺に限ったことではなく、事故死や他殺、病死や自然災害による死など、寿命を全うせずに途中でポッキリ折れてしまう人生は多々あります。その中で自殺だけが特別だという感覚は、算命学はあまり持っていないということです。
 
 せっかく死に方と生き方の話になったので、今回の余話はその点を踏まえて「三分法」について考えてみます。三分法(さんぶんほう)は陽占の基礎技法なので既に知っている方も多いと思いますが、基礎とは汎用性が高いことでもあり、今回の29歳女性の死について考える時、その行為の是非を三分法の観点から紐解くことができます。この女性の宿命は論じませんが、29歳という若さで自殺を決行するということが陽占の理論上どういう意味を示しているか、三分法の仕組みから考察してみます。
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