算命学余話 #U52

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算命学余話 #U52 (page 1)

 前回の余話では算命学が他の占いと一線を隔している家系論について少し論じてみましたが、意外と購読者が多かったので、こうしたテーマに興味を寄せて算命学を学んでいる人もそこそこいるのだなと、ちょっとほっとしました
 算命学はタロットや星占いのような華やかさがなく、理詰めで組み立てられているため理解には理論の蓄積が求められ、従ってインスピレーションも必要なくインパクトの薄さは否定できないのですが、習得すれば誰でも同じ答えを導き出すことができますし、そこから別のテーマに位相を変えてもブレずに判断を下すことができるという利点があります。通常、運勢相談には陰占と陽占の代表的な技巧を使用するのみで、家系論などの複雑で今日的でない技法は使わないのですが、勿論どちらの技法も同じ理論から組み上がっているので、片方を正しく把握している人ならもう片方の理屈もすんなり腑に落ちる仕組みになっております。

 今悩んでいる人に対する現実的で即効性のある処方としては、ながながとした家系論を持ち出しても効果が期待できないので注目されることは稀ですが、悩みの根源を突き詰めると結局過去に原因を求めざるを得ず、当人の過去の所業による因果関係も勿論ではありますが、そうした個人の因果や人生の履歴が蓄積されたものが家系というわけですから、現代人が一見して初めて遭遇したような問題であっても、その原因は実は数代前から溜め続けた先祖の因縁であり、その蓄積がコップのフチからこぼれた結果が現象となって現れたにすぎません。
 先祖や歴史を尊重しない人にとっては現代問題はどれも目新しく、解決不能に見えるかもしれませんが、尊重してきた人にとっては何も新しいものなどなく、解決策さえ先人によって既にあれこれ論じられ、試されたものであることが自ずと知れるのです。ですから、先祖の所業に興味があるとか、人類の歩んできた道筋(結果ではなく)に価値を見出している人ほど、算命学の家系論には耳を傾けてくれる可能性が高く、それが前回の余話の読者に現れたことが喜ばしいのです。逆に自分の先祖と自分を切り離して考えている人や、好ましくない先祖(実の親も含む)の行為や存在そのものを否定し目を背けて暮らしている人、自分一人の力で上手く生きていると自惚れている人は、算命学に通底する基本理念を理解できていない人だと考えられます。こういう人にはあまり算命学を学んでいるなどと豪語して欲しくないというのが、正直なところです。

 せっかく家系論への関心が多少なりともあることが判ったので、今回のテーマはこれに類する強弱論に触れてみます。これは陰陽バランス論とも云えるもので、世の生物が僅かな例外を除いて雌雄に分かれているように、生物でなくとも昼と夜、表と裏など二元論で支えられているように、世界が陰陽で二分されているのは明白でありながら、実際は陰と陰、陽と陽が寄り集まって集団を形成し、場所によっては陰陽のどちらかに偏っている世の中について考察して導き出された理論です。尤もこれは広義の強弱論であって、今回紹介するのは家庭内のごく狭い範囲の強弱論になります。

 全く偶然ではありますが、私が国外で外国語に触れ、その過程でまがりなりにも音声学としての韻文(詩)に触れて鮮やかな印象を受けたのがロシア語とペルシャ語だったのですが、これらは韻律上、強弱論を宿命付けられている言語です。どちらも一単語につき一つのアクセント(特に長母音)が明確についているため、そのアクセントを軸に二拍子か三拍子を繰り返すのが古典詩の作り方であり、二拍子なら強弱か弱強に、三拍子なら強弱弱や弱強弱、弱弱強などに分かれます。この強弱が交互に並ぶリズムが澱みなく、それでいて「例外的」な不規則変化を適度に差し込んで面白みを出している、というのが優れた詩文の条件なのですが、こうした詩文を日本語に翻訳してもリズムは全く伝わらないのが残念な限りです。
 ペルシャの古典詩にヒントを得た私のホニャララ小説『メタフォーラ・ファンタジア』を精読された方は、この強弱節について触れた箇所をご記憶かもしれませんが、触れたというより限りなく素通りに近い採り上げ方になってしまったのは、結局この算命学の強弱論を盛り込もうとして、とても盛り込めきれないと諦めた結果の残滓になったからなのでした。興味のある方は読み返してみて下さい。初耳の方は「余話」購読サイトにありますから検索下さい。
 ともあれ、日本語にはこうした強弱節は短歌にも俳句にもなく、節の付いた歌にならないと類似のリズムは出てこないのですが、本家中国の例えば五言律詩などは、現地の人に読み上げてもらうとちゃんと二拍子と三拍子が合わさって五言になっているのです。勿論その他の言語の詩文も強弱のセオリーのあるものは多く、却って日本語の方が特殊なのかもしれません。

 余談が長くなりましたが、それでは算命学の強弱論から親子の力学について考えてみたいと思います。通常の鑑定ではお馴染みの陰占や人体図で目に入ってくる陰陽の姿では見えなかった陰陽の力学はもちろん、実生活で親子関係に悩んでいる方にも何らかの解決のヒントになるかと思います。鑑定技法を開示するものではありませんので、ご了承下さい。
 家系論を詳しく知りたがる人は実生活で忙しい現代ではあまりいないので、強弱法の算出技法を開示しても実害ない気もするのですが、開示するとなると非常に面倒くさいです。なぜならこの種の理論は算命学の上級技法に位置付けられている「右律」に属しており、先に右律を順立てて説明しないと算出方法まで繋がらないからです。
 右律の説明はそれこそ理論をいくつも蓄積して組み上がった高層ビルなので、工期は長く、とても余話のボリュームに納まりません。もし今後、余話のこうした理論・思想面における解説に一定の需要があると見做し得た場合は、根気よく右律の順次解説を試みるかもしれませんが、今回は強弱の考え方だけを論じて、その後の活用や解釈は読者の皆さんにお任せすることにします。
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