死んでも俳優~それこそが役者魂(プライド)~

7.スタッフ達も信じられない雨澤の死

「でも、これからどうする?」

「う~ん・・・・・・」

「あ!そうだ!!」

「ん?」

「俺が代わりに事情を説明するから、とりあえず、ドラマのスタッフさん達のところへ行こう!!」

「あ、うん」



雨澤と阪部は、ドラマのスタッフ達のところへ行った。



「ハァハァ・・・・・・」

「ん?どうしたんだ?」とドラマスタッフが言う。



「あの、多分、見えないと思いますけど、ここに雨澤が

いるんです!!!」

「は!?何、馬鹿な事を言ってんだよ!!!」

「俺も、最初は信じられませんでした!!!」

「おいおい・・・そりゃ、一体、どういう事だよ?」

「実は、雨澤は、死んでしまったらしいんですよ!!!」

「え!?いや、雨澤君は、昨日も、元気だったじゃないか!!!それが何で急に!?」

「いや、コイツの話によると、昨日、帰って、朝起きたら、

いつの間にか死んでいて、幽霊になってしまっていたそうなんですよ。ですが、俺にだけは、コイツの姿も見えたし、声も聞こえて」

「って事は、今、そこにいるっていう彼は、幽霊なのか?」

「そうです!!!」

「ん~・・・そう言われても、信じられないね~・・・・・・昨日まで元気だった雨澤君が突然死んで、幽霊としてそこに立っているなんて・・・・・・」



すると・・・・・・

8.肉眼で見えない雨澤の姿がカメラに!!!

「ア・・・アレ・・・・・・!?」とカメラを調整していたカメラマンが言った。

「ん?どうした?」

「ここに雨澤君と思わしき人の姿が映ってます!!!」

「何だって!?」



「え!?」と、驚いた雨澤が言った。



カメラマンは、録画したその数秒の映像を再生し、阪部や

他のスタッフ達に見せた。



「アレ!?本当だ!!!それに、声まで入ってる!!!」

「阪部君、本当に雨澤君は、死んだのか!?」

「はい」

「そうか。念のため、もう一度撮ってみよう。雨澤君、

そこにいるなら、カメラを意識しながら適当に動いたり喋ったりしてみてくれ」

「はい」と、カメラマンに声は届かないが、雨澤はそう答えた。



「本当だ!!!やっぱり撮れてる!!!姿も声も、生きてる人間と全く同じように入ってる!!!」

9.死んでも俳優が出来る?!

「でも、何でカメラには雨澤の姿も声も入るんでしょうね」と、阪部が言った。

「さぁ?それは分からないけど、今、こうして、我々の眼には見えない雨澤君がカメラには映っていて、声も入っているという事は、〝雨澤君が死んで幽霊になった〟というのは、

本当のようだね」

「はい」と阪部が答えた。

「とても残念だよ・・・・・・」



「あ!!!」

「どうしたんですか?」と阪部が聞いた。



「でも、こうやって、雨澤君の姿も声も、カメラに収められるなら、雨澤君は、俳優を続けられるんじゃないのか!?」

「え!?」

「まぁ、共演者達は、姿も見えない、声も聞こえない雨澤君と演技をするのは大変だけど、色々工夫すれば・・・・・・」

10.1つだけお願いがあります

「分かりました!!!やります!!!」と雨澤が答えた。

「え!?」と、阪部が驚いた。



「どうした?阪部君」とプロデューサーが聞く。

「コイツ、今、〝やります〟って言いました」と阪部が答える。

「そうなのか」

「はい」



「でも、お願いしたい事が1つだけあります」と、雨澤が言った。

「あの、コイツ、今、〝お願いしたい事が1つだけあります〟と言いました」と阪部がスタッフ達に言った。

「え?」

「僕が死んだ事を世間には公表しないでください」と雨澤が言う。

その事をまた阪部が雨澤の代わりにスタッフ達に伝える。



「コイツ、ファンの人達に自分が死んだ事を言わないで欲しいみたいです」

「そうなのか!?」


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