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トピック -7p-

 遠くでサイレンの音がしていた。  スーという音も微かにしていた。
散らかった某事務所に宝来正法は、右手にピストルを持って長椅子に横たわっていた。  目が覚め、銃を見て思わず手放す。

「うっ・・・」(ガ・ソ・リ・ン・・・!?)
「うっ・・・」 目をしかめて聞き入る。
 ちゃっぽん・・・ちゃっぽん・・・。   ぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅーっ・・・。
 ふっふっふっふっ・・・。  ぎーっ、ぎーっ、ぎーっ・・・。

 何だっ、と思い宝来は、左右に首を振って右側を見た時だった。
 目の前に髪の長〜い女の人が居た。
「うっ・・・」 鳥肌が立ち、後ずさりした。 そして、ぶつかる。
 目の前には、柳のような長い髪の毛が有った。 目が点に成る。

「私〜の〜髪〜の〜毛ェー・・・」 ( 後頭部に当たっている・・・ひ・た・い・・・!?)
 直ぐ後ろの 《物》 から女のかすれた声が聞こえた。
 体が震え、寒気がし、額から冷や汗が流れた。
 毛が腰あたりから両肩迄 逆三角形を作って広がっていた。

 後ろにさがったのか?、宝来もやや さがった。
 実際は、貧血!?に成ったのか!? ふ〜っ、と倒れたのだった。
 ビックリして一瞬顎を引き、反動で上を見てしまった。
 心臓が緊急停止、そしてフル可動。 唾を飲む。 声が出ない。
 
 見てしまった。 女の怨念の《目》を。
「・・・んっ、・・・ぎゃーーー・・・」 宝来は、何もかも 振り切るように走り回り、ドアを開けて走り出た。

 ドキューン ドキューン 事務所の方から警官隊に発砲!?
 警官隊は、出て来た犯人に対して一斉射撃をした。
パンパンパパンーッ。  蜂の巣状態に成った。
 事務所が大爆発!?をし、炎を噴き出す。

 宝来は、背を燃やし、体を燃やし、爆風で吹き飛ばされ、 膝を付きうつ伏せに倒れた。
 バシャバシャバシャ〜、シャー・・・・・・霧状の雨が、その場の事件を洗い流していた。
 そして宝来正法は、誰一人として判りし得ない闇へと落とされて行ったのだった。
・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

 

(パール フォー クローバーの立ち上げ当時の一人)

トピック -8p-

 静寂だった。 目を覚ましても一番小さい電灯がついているだけだった。
 何となく物寂し気!?毛!? な感じが心!?に肌!?をよぎる。
 何気なく首筋に気に掛かる物を手で指で払う!?

「・・・・・・何・そ・れ・!?・・・・・・嫌・な・の・!?・・・・・・寂・し・い・の・に・!?・・・・・・人・恋・し・い・の・に・!?・・・・・・私・の・気・持・ち・を・判・ら・せ・て・あ・げ・る・!?・・・・・・」

 感じていた。 目をつむっている向こうに誰かが居る事を。
 額に汗をかく。
 一筋の雫が流れ落ちる。  恐る恐る瞳を開ける。
 しかし、薄暗い部屋には、誰もいなかった。
 視界には。

 暗い所に濃紫の服を着た人形現れた、また他の所にも濃青の服を着た人形が現れた。

 ゆっくりと起き上がり、中腰で目と首を動かして顔をキョロキョロさせた。
 
 しかし、視界に映らない所で紫・青・赤の服を着た人形が増えていく。

 まだ感じていた。 存在を、視線を。
 
 黒く丸い幾つかのスポットライトが動いたり、交差したりして人形を隠していく、消していく。

 疑って尚も探す目があった。
 しかし、答えを出さぬまま、また横に成り、布団を掛けた・・・・・・!?

 偽装だった・・・寝たと思わせて直ぐ様・・・起きて・・・真上の電器をつけた。
 周りを見渡した。
 誰も居なかった・・・・・・はずだった。

 しかし、目を止めた目の前にいた。
 赤い服を着たおかっぱ頭の人形が。
 余りの怖さに辺りを見渡された・・・逃げようと・・・忘れようと。

 見る所に見る所に紫や青の服を着たおかっぱ頭の人形がいて、次第に点滅するかの様に皆が皆、赤い服を着たおかっぱ頭の人形に変わっていった。

「わたしたち、私達、ワタシタチ・・・・・・!? 見える!?」
 各々の人形達が声を揃えて喋った。
 目を見開くと同時に床が口を開く。

「わぁ〜ぁ〜あ〜あっ・・・!?」
 腕を伸ばし、天に向かって助けを求めるが・・・!?・・・おかっぱ頭の赤い服の人形達が大勢で男に覆いかぶされたり、引きずり込まされたりして落ちて行った。

 明け方 部屋は、乱されて元の世界に戻っていた。 布団上に《娘からの贈り物》と書かれた紙が・・・・・・!?

トピック -9p-

「・・・・・お・や・す・み」
「お・や・す・み・・・・・・」
「・・・・・・Good night・・・・・・」

アメリカ合衆国 A都市 某テレビ局 15階 初夏。
「アーン、もうっ」 飛ぶ鳥 落とす勢いの美人ダンサー歌手
ピュアリア・モーアが、《スタードッキリ》というTV番組で騙されて、
思い出しては、怒っていた。
「フフッ、可愛いかったわよっ」 仲のいい年上のマネージャーのリンナが、モーアの顔を見て、いたずらっぽく軽く微笑んで見せていた。
「もうヤダッ・・・もう・・・ハハッ・・・悔しい・・・」

「アッ、御免 さっき言われた アロエミックスジュース買うの忘れてた。
 直ぐそこの販売機で買ってくるねっ。!!!」
「うん、じゃ私 先にエレベーターで下に降りてるっ。待ってるねー。」
 タイミングよく開いたドアに乗り、振り返って見ていないリンナに手を小さく振っているモーアが、そこにいた。

 エレベーターの奥は、ガラス張りで都市が一望できるように成っていた。
『閉じる』のボタン押し、ドアが閉まる。
 リンナは、小走りでエレベーターの所迄きていた。(あれ、まだ15階待っててくれたのかなー!?)

『下がる(↓)のボタンを押そうと右人差し指を伸ばす。
 気持ちとは、裏腹にエレベーターの扉が指が届く手前で開いた。
「キャーァー・・・」 二人とも同じ叫び声を発していた。
 床に手荷物が落ちる。
モーアは、透明がかった紅いシールドに包まれ 中で燃え苦しんでいた。

 ボーッ 体は、舞い踊るが紅布が、まとわり付き 皮膚や肉が朽ち落ちていく。
「助けてぇー・・・」 右手を差しのばす。
 リンナも右手を伸ばし、シールドの中に手を入れた。
ボーッ 一瞬にして焼け、手首だけに成った。
自らの手首を見る。
「キャーッ」  
 そしてリンナは、失神した。
 モーアは、床に崩れ、紅いシールドは、無くなった。

 叫び声にビックリしたスタッフたちが、リンナの方に近寄って来る。 エレベーターは、閉まっていた。
 エレベーター内には、倒れた人型と白い灰だけが残っていた。
 そして、再度 エレベーターを呼び、開けた時には、黒く焼け焦げた後も全く無く 以前と変わらないエレベーターが、そこには、あった。

トピック -10p-

 下界では、白い煙 すする音や咳払いをしていて 人は、みな黙って
一定の方向を向いていた。
三百二十人余を飲み込んでいる新宿歌舞伎町五階のゴーストオデヲン。
真夜中 夏の夜長。 映画カンバックキャンペーンで臨時に午前0:00に主催する
恐怖映画だった。

 一階の入場扉は、閉められて電気も消灯。
世間の人々は、関心が有るとみえて宣伝をしないシークレット映画でも満席だった。  IT社会だからか!?
 恐怖映画の三本立てが始まってから二時間。

 厚手のゴム手袋から、フィルム張りでフラットタイプの競技用飛行機がプロペラを回して放たれた。
 ゆっくりと室内の上空を中央に向かい進んで行く。 プロペラも回る。
 時間がそこだけ止まっているようだった。
 部外者立ち入り禁止の映写室内では、二人の死体と四人の宇宙服を着た奴がいた。

 皆 競技用プロペラ機の動向を一心に見ている。
 プロペラ機は、改造されていた。  胴体 主翼 水平尾翼がわずかに凹んでいて そこに白い微粒粉が乗せて有った。 そして直ぐ後ろ辺りには、網状の小さい穴が開けられていた。
 進んで行く風力で、少しずつ下へ落ちて、舞って、散っていく。

 空中では、音も無く ゆっくりとプロペラ機が室内を旋回し、進んで行く。
 秘密裏に行われた国家!?の細菌兵器 { 魔集フェロモン・D19-1615184 }の試作テストだった。
 映像が流れていく中、映写室内では、ガスマスクの呼吸音が微かに響き渡っていく。

迷 彩映 (mei saiei・メイ サイエイ)
作家:MONALI PADORA
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