ぜりーえっぐ -スマイル リズム-

ぜりーえっぐ -スマイル リズム- -1p-

 4 月1日 温か~い昼頃ゴロ。

 人間のスニーカーから、歩いている最中に小さなぬいぐるみの可愛いアクセサリーのCDデッキがブツンと切れて落ちた。

  釣糸を引っ張られるようにしてCDデッキが、誰もいない蔵に入って行く。 太陽の光のピンライトが、当たる所で止まった。

  天使がネズミをからかってほこりの溜まった木の床を動きまわる。 ギー~ィッとにぶい音。

  マイケルのスリラーがCDから流れる。  室内のチリがそこかしこで人間の形を創り、墓から蘇るゾンビの様に不気味に出て来た。 ダンスを踊りだす。
 ムーンウォークをする。
  突然音楽がスリラーから、タンゴに変わり、やがて一階は、中央付近のダンスコンテストの場から、全体を使う舞踏会へ変わって行った。

  色とりどりのプチマッチ棒ペアがフロアーを独占する。
  te、te、te、chul、chu、chu、
 te、re、re、te、re、te、re.

  end前でマッチ棒のリンが円を書いてたかれ、火をつけた。
  キャンプの焚き火の演出をし、床にモナリザの絵を描き出し、最後を迎える。

  一瞬の微風により、灰の絵は、消失し、蔵は、また日頃の静寂さを取り戻したのだった。

ぜりーえっぐ -スマイル リズム- -2p-

  子供部屋には、やわらかいサッカーボールや怪獣人形やヒーローの人形やゲームセットやリカちゃん人形や動物のぬいぐるみ、飛行機のブロックや木の造った電車が足の踏み場もなく散らかっていた。

  突然ゆっく~りと"おもちゃのチャチャチャ"のオルゴールが鳴り始めると、隅の方に有った丸みのある可愛い電車のぬいぐるみがグラグラと揺れ始めた。

  その丸みのある電車が、行きなり、ヒョコッと電気抵抗の単位のΩ (オーム) みたいに縮まった。
  ペニョッ、ペニョッといった感じで青虫みたいにオームに成ったり伸びたりしてクネクネと目の前を歩んで進んで行った。

  壁の向こうに消えて行く。
  しかし、青虫電車には、見えないオモチャ社会のお茶目な友情の糸が付いていた。
  入れ代わりにダンス好きなクネクネした扇風機が、入って来た。

  首や土台が小刻みにブレイクダンスをし、フットステップを華麗に楽しんでいた。 途中一部でタップに早変わりをしたりする。

  腕で床を押さえ、ステップが空中に浮く。
  右手で安全用の放射状の網を外して帽子みたいに別れの挨拶をした。
  プロペラが有り得ないスロー回転し、機体は、浮き逆さに成った。

  "さよなら"を思わせて電気が下がり、辺りが薄暗く成る。 さらに演出が続く。

  逆さの扇風機が星柄を輝かせ、天井に星空を創り出した。
  天の川・流れ星・星座・星群・UFO!?が、大宇宙を描き上げていた。

  かと思うと天井、四方の壁、床といった順番に天体映像が風によって動くオーロラに早変わりした。
  部屋一面が南極と成った。 その中で七匹の各々に色鮮やかな錦鯉が六面を泳ぎ出し、空中にも泳ぎ出した。  艶やかで色が引き立ち、点滅もした、イキのいい芸術だった。
 
 数分後、フェードアウトして幕が閉じられ、普通に戻っていく。

ぜりーえっぐ -スマイル リズム- -3p-

 暑い夏 子供達や親御さん達は、折角の夏休みは、みんなで海に海水浴に行っていた。

  日頃は、御仏壇に線香を上げ、御供え物もしてあるお家だった。
  いつも同じ中央付近の木製の机上に渦巻き状の蚊取り線香が置かれていた。
  昼間は、隅の方にしまってあるのだが・・・!?

  いつのまにか、中央付近にか細い煙が立ち上がった。 下にクリアーの蚊取り線香が現れる。
  か細い煙が天井に付くと同時にクリアーの渦巻き線香は、消えて無くなった。

  一滴の雫が中空から床に向かって落ちた。
  床 寸前で輪のある土星、赤い太陽、青い地球と成り、一番最後に小さい雫が床に落ちた。

  一面が茶のクッションフロワーから、薄青い水面に換わる。
  水面に波紋が広がって行く。

  波紋が無くなる頃に別の円の波紋が無造作に水面に出来ては、消えて行った。
  水面に子供が描いたような緑っぽい太陽が現れた。

  皿を頭上に持ったカッパが水面に顔を現した。
  どことなく上から、楕円形の卵が落ちて来た。
  その卵に気を取られていると上も白い雲とUFOに変わっていた。

  上と下で卵を返すたびに歌手の由紀さおりと安田祥子のアカペラデュエット、"トルコ行進曲" のオルゴールが流れた。
  人のいない居間に癒されるトルコ行進曲が奏でられては、風に流されて外に消えて行く。
  未確認なお二人、カッパとUFOが、ず~っとピンポンを楽しんでいたのだった。

  アラームがセットされているかのように時間と共に霧のごとく自然に消えて無くなっていった。

ぜりーえっぐ -スマイル リズム- -4p-

(おれだって・・・・・・!?)
(わたしだって〜・・・・・・!?)

  こんな奴らにも心の声を傾け、聞き入れた。
  神様は・・・・・・天使達は、叶えてあげようと思った。  夢の世界を。

  疲れたように でも、きれいに成っていた。
(あなたの願い事を叶えてあげるわっ)
(えっ、ほんとう。 叶えてくれるのっ。 あなたが天使なのっ・・・!?)
 魔法の棒を指揮者みたいに振るう。

  色の付いた物や絵柄の入った物、模様の入った物は、皆 汚されて洗濯機で綺麗に洗われ、脱水され、干してあった。

  願い事は、"楽しく空を飛ぶ事"だった。
  いつもは、地面に一番近く、人間の汗を取り、汚く成り、臭く成るのが仕事。  だからストレス発散に気持ち良く、気兼ねなく、空を飛びたいと言う話だった。

  指揮棒が振られ、一緒に干してあるバスタオルの幕に囲まれ、靴下に魔法が掛けられる。
 ピヨピヨピヨ、ニャーオ、ニャ〜オ、そして最後に除夜の鐘のようにゴ〜ンとBGMが流れた。

  ピヨピヨという声に引き付けられたのか!? どこから、ともなく蛇が現れた。
  自然に羽を広げる。  しかし、それは、蛇では、なくゴールドのドラゴンだった。  ピラミッド型のジェットコースターがあるように徐々に上に上がって行く。
  そしてバスタオルの幕を襲ったのだった。

  ドラゴンが消え、バスタオルがひらひらと落ちると同時にソックスの絵柄のオルガンが空中を浮遊した。  分身して何台にも成り、そろばんの形を創り出した。

  ソックスが綺麗にアレンジされ、蝶々型に切られ、模様が付けられ、坂本龍一の癒しのビアノ曲 『エナジー・フロー』(ten ten te te te ten ten) が、流れると同時にそろばん玉 サナギ!?から自然に蝶々に変わり、四方八方に散らばって行った。  羽根の色や大きさを変えて夢の時間を楽しんで空中を舞い踊るソックスチョウが、部屋の一室にいた。

  そして綺麗に成った靴下達がすがすがしく、輝いて物干し竿に下がっているのが、天使には、見えていた。

迷 彩映 (mei saiei・メイ サイエイ)
ぜりーえっぐ -スマイル リズム-
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