乗り越えること

退院

8ヶ月も入院したのですから、退院は本当に嬉しかったです。私は一人ぼっちでしたが、また、家を追い出されており、新しい土地でのスタートでしたが、希望でいっぱいでした。

しかし、新しい、ひとりぼっちの土地で、何が起きていたか・・・私の心と、実家で起きていたことは、自傷の時と同じく、連動していました。

私は、最初は確かに幸せでした。

大きなマンションを買ってもらい、家の中を自分なりに整理し、楽しんで生きていました。
隣の奥さんも、ご主人と心を通わせあっていた私の、実家のピアノが運び出され、ああマキさんはもう帰ってこない、もう主人の心を取られなくて済むと、安堵した。
しかし、心醜い彼女は、いつか私が帰ってくることを、恐れるようになりました。
奥さんは、私の両親に近づきました。そして、マキさんの病気が怖い、怖い、と、言い続けたそうです。

心の地獄

私は、帰るつもりなどありませんでした。もちろん、お隣のご主人への気持ちももうありませんでした。
しかし、女とは恐ろしいものです。

隣の奥さんは、徹底的に私を追い出すまでは、諦めませんでした。マキさんが帰ってきたら、どうしよう、心の中はそればっかりでした。毎日のように、私の両親を丸め込むために、実家に通いました。
私は、それに全く気付かず、でも、また心を病んでいきました。私の病気は、遠くにいる人の、悪い念波を受け取ってしまいます。私の心は地獄をさまよい始め、私は、再入院しました。

涙。そして、終末

これは、病気のおかげです。私は、病気に蝕まれているのではなく、病気と共にあるのです。

私は、再び退院した後、わんわん泣きました。そして、義父にメールを打ちました。その内容を書きます。

私は、新しい土地で、本当に幸せに生きています。あなたをわずらわせる気持ちは毛頭ありません。今、本気で愛している人は、あなたのご主人ではないのです。だから、どうか許してください。

このメールを、隣の奥さんに見せてもらいました。奥さんは、やっと納得しました。

でも、病気を差別されてしまった、隣の奥さんのみならず、両親にまで。

精一杯の、強がりのメールを書かせてくれた、私の病気。時に私を泣かせるけれど、新しい土地でやりたいことを続けて強く生きていくことを守ってくれた、時を超えて人の念を受け取る、不思議な自分の精神病を、主治医の先生も、訪問看護師さんも、愛してくださっています。
主治医の先生は、一生私を診てくれる、という約束を、果たそうとしてくださっています。訪問看護師さんも、大好きな人がいっぱいいます。

病気を気持ち悪がる人のおかげで、出会えた、たくさんの支えてくださる人々と、傷を乗り越えていきたいです。

karinomaki
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